コラム

 公開日: 2016-09-28  最終更新日: 2016-09-29

カープ優勝の立役者!? マツダスタジアム

優勝おめでとう!!


25年ぶりの優勝!おめでとうございます!
広島はカープ優勝の余韻が冷めやらない中、次はクライマックスリーズに挑むカープ。
次は是非日本一を勝ち取ってもらいたいですね。

僕たちの子供のころは、浩二、衣笠を中心に強かったカープ。
小学生の頃、授業中にもかかわらず日本シリーズの中継を観ていたのを思い出します。
多くの子供がそうであったように私も子供のころの将来の夢は「カープの選手」でした。

カープ帽をかぶった野球少年
↑カープ帽子をかぶった息子と対決中。今も昔も少年のキャップはカープですね

さて、気ははやいですが来年以降も強いカープが続き、カープの黄金時代が再びやってくる!なんて思っているカープファンも多いのではないでしょうか?
私もその一人です!!


25年も優勝がなかった中で、ここまで圧倒的な強さでセリーグを制したのはなぜ?
とインターネットなどのメディアで色々話題となっているようですが、その中で建築の専門家である私がやはり挙げずにいられないのが、“マツダスタジアム “ですね。

マツダスタジアム

寝ソベリアやパーティールーム、砂かぶりシートなど、多様な座席を提供していることが取り上げられるマツダスタジアムですが、実は建築的にも色々工夫されています。

設計者はだれ?


余程のことが無い限り、建物の設計者はあまり表に出ることはありません。
「あそこのマンションは××不動産が建てるらしいよ。工事は〇〇建設だって。」なんて会話はよくありますが、設計者名が話題にのぼることはあまりありませんね。

さて、マツダスタジアムの設計者は誰か、ご存知でしょうか?

設計者は仙田満氏(環境デザイン研究所会長)。
東京工業大学で教鞭をとり、日本建築学会の会長まで務められた建築界の重鎮です。設計者であると共に“こどものあそび空間”の研究において第1人者であり研究内容を踏まえた設計の実践をされています。

http://www.jpnsport.go.jp/newstadium/tabid/430/Default.aspx
↑ザハ・ハディド氏が選定された新国立競技場の国際コンペにも参加。(日本スポーツ振興センター 新国立競技場基本構想国際デザイン競技報告書 p98に提案書あり)

どこがすごい?

野球は試合時間が3時間前後。
正直、人間が3時間集中して試合だけ見続けることは不可能に近いですね。

サッカースタジアムは選手も観客も45分間、試合に集中して一体感を醸し出すことを好むため、スタンドの傾斜がある程度あり「そそり立つようなスタンドがよい」とされます。しかし、野球の専用スタジアムであるマツダスタジアムは1階のスタンドの傾斜は緩く、上空の多くが開放されたのんびりした空間となっており、ゆったりと過ごせる雰囲気となっています。
観客席の並びや傾斜角度は観客の視線ラインを検討して決定していきますが、見切り席(フィールドの一部分が席から見えない席)も結構ある感じですね。これまで私が観戦した中でも「ボールどこ行った??えっ、フェアなの?」なんてところもありましたので、当然視線ラインの検討は行っているものの、それよりも席における居心地のよさを優先している気がします。

スタンドの傾斜

そして、特記すべきなのがコンコース(売店やトイレのある広い通路部分)のつくりです。
一般的なスタジアムのコンコースは・・・、
スタンド下の空きスペースを利用した閉鎖的な空間で、長居するところではなかったのです。
コンコースは試合の合間にちょっと買い物をし、ちょっとトイレを利用するだけの暗くて閉鎖的なジメジメした場所でした。

コンコース

ところが、マツダスタジアムのコンコースは開放的で上部にブリッジがかかるなど人のアクティビティ(動き)が感じられ、かつ、どこからでも試合を眺め感じることができます。
まるで、「循環する線状の広場空間」となっています。
これは、必要な与条件を逆手に取ってうまく活用しています。
例えば
・芝の生育のために、適度な通風と太陽光が必要 → コンコースと1階スタンドは開放し全周通風可能とする → 開放的でコンコースのどこからも観戦可能
・カープのスタジアムにおいてビジター席は最小限でよい → レフト側スタンドを最小限 → JR線側に視線が抜ける開放性の確保

こどもの集中力は長く続きません。
それでもこどもが楽しむ空間がどのようなものかということを研究し実践してきた設計者だからこそ、スタジアムを訪れたすべての人が長居することを楽しめる空間、ゆったりと自由に野球観戦をベースに楽しむ場として設計されています。

この素晴らしいスタジアムが年間200万人もの観客を呼び、経営を安定させるとともに常に満員で選手に力を与えたことは間違いないと思います。

ハードがソフトの良い循環を生む好例ですね。

建築物をつくるという行為自体、多大なるコスト、エネルギーの消費と環境への負荷となる中で、公共建築などは“箱もの“というレッテルが張られ、その存在価値自体が否定的でもある昨今。
僕たち建築の力を信じているものには大きな勇気を与えてくれます。

ただ、デザインがよい、使いやすいというだけではなくその先にある見えにくい価値を生み出せるものを提供していけるように努力していきたいなと思います。

この記事を書いたプロ

高野俊吾建築設計事務所 [ホームページ]

建築家 高野俊吾

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