コラム

 公開日: 2016-10-11 

従業員代表の定義は?

 就業規則等の作成や変更について”意見書”に意見を記載したり、36協定をはじめとする各種の”労使協定書”に従業員の過半数を代表する者として協定締結当事者となる「従業員代表」とは、どのような人のことを言うのでしょうか?(正社員だけでなく、パート社員なども含めたうえでの従業員代表となるのでしょうか。)

 これにつきましては、基本的には各事業場にパート社員などがいる場合には、パート社員なども含めた全従業員の過半数を代表する者として選出された者をいうと解されています。
 そして、適正な選出手続きを経て選出された者であれば、当該代表者は必ずしも正社員である必要はなく、パート社員でも構いません。

 では、誰が従業員代表を選出する権利のある従業員かと言えば、各事業場(≠企業)に働く全ての従業員(パート社員などを含む)であることは前述のとおりです。
 とはいえ、「労働者の過半数を代表する者」はどういう者をいうのかにつきましては、労働基準法等には明確な定義づけはなされていません。

 そこで、これについて行政通達(S46.1.18基収6206号、S63.3.14基発150号、H11.3.31基発168号)では、「労働者の過半数を代表する者」の“労働者”とは、『労働基準法第9条の定義によるのが妥当と考えられる。』と言っています。

 では、労働基準法第9条に”労働者”の定義がどのように定められているかと言えば、以下のように定められています。
≪労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。≫
 この定義にもとづけば、管理職も含め、すべての従業員が対象であると考えられます。(管理職も使用されて賃金を支払われる者ですので。)

 よって、労働者の過半数を代表する者を判断する際には、従業員代表としては選出できないことになっている(以下のリンク先の資料参照)管理監督者も全従業員として分母に含めて考えるということになります。
    http://www.check-roudou.mhlw.go.jp/pdf/36kyoutei_teiketsutoujisha.pdf

 そういうことになれば、逆に言うと、管理監督者を除いた従業員の中から従業員代表を選出していた場合、選出された人は適法な従業員代表とはならないということになってしまいます。この点には注意が必要です。

 つまり、肩書きが課長や部長などの管理監督者であっても、労働時間管理のもとに置かれる従業員は、従業員代表を選出する権利(選挙権)だけは有しているということです。
 ただし、上記リンク先の資料の「ポイント1」にも記載されているとおり、管理監督者である従業員は従業員代表に選出することは適切ではありません。(管理監督者である従業員は、選挙権はあっても被選挙権はないということです。)

 以上のことから、管理監督者のみならず、時間外労働等が禁止されている年少者、時間外に制限がある育児・介護休業者、出張中の者、長期欠勤者、休職者、パート社員やアルバイトなど、すべての従業員を「労働者の過半数」を算定する際の分母に入れる必要があると解されます。(管理監督者、年少者、休業者、出張中の者、長期欠勤者、休職者、及びパート社員やアルバイトなどについては除外できるとする根拠条文は存在しないからです。)

 事実、行政通達(S46.1.18基収第6206号)においても、「労働基準法第36条の協定は、当該事業場において、事業場に使用されている労働者の過半数の意思を問うためのものである。」と示しています。(このときの注意点は、「事業場≠企業」という点です。従業員代表は、事業場が複数ある企業の場合、各事業場ごとに過半数代表者を選出する必要があります。)

 このような背景から、全従業員の中には事業場ごとにパート社員やアルバイト、嘱託社員なども含むと解されるわけです。

 よって、正社員(管理監督者を含む)のみでなく、パート社員やアルバイト、嘱託社員なども含めた全従業員を分母として、その過半数を代表する者を選出し、その人が従業員代表として意見書に意見を記入したり、労使協定書の締結当事者いなるということになります。
 選出された従業員代表がたまたま正社員であれば、パート社員の就業規則等の作成や変更であっても正社員の方が意見書に意見を記載する形になります。ただ、逆もあり得るということです。

 従業員代表とはどのような人をいうのか、だいたいイメージできましたでしょうか?

この記事を書いたプロ

社会保険労務士法人ジャスティス [ホームページ]

経営コンサルタント 高正樹

広島県呉市焼山中央1丁目1-10 TAKAMATSU BLD 203号 [地図]
TEL:0823-30-3012

  • 問い合わせ
  • 資料請求

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

0

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
 
このプロの紹介記事
高正樹

中小企業を存続させるための最新の労務管理ノウハウを提供(1/3)

 「大切な会社を守るためのサポーターとして、常に最新の労務管理ノウハウを提供します」。そう力強く話すのは呉市焼山中央「社会保険労務士法人ジャスティス」代表の高正樹さん。「ジャスティス行政書士事務所」と「ジャスティスソリューション」の代表も兼...

高正樹プロに相談してみよう!

中国新聞社 マイベストプロ

中小企業を存続させるための最新の労務管理ノウハウの提供

会社名 : 社会保険労務士法人ジャスティス
住所 : 広島県呉市焼山中央1丁目1-10 TAKAMATSU BLD 203号 [地図]
TEL : 0823-30-3012

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

0823-30-3012

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

高正樹(たかまさき)

社会保険労務士法人ジャスティス

アクセスマップ

このプロにメールで問い合わせる このプロに資料を請求する
プロのおすすめコラム
退職の申し出は、退職日の3ヶ月前までにしなければならないとする就業規則の規定は有効か?

貴社では、従業員が自己都合で退職しようとする場合には退職日の何日前までに会社に申し出なければならないこと...

[ 就業規則等 ]

マイカー通勤者等から申告された通勤距離の妥当性検証方法

 従業員の通勤に要する費用の全部又は一部を補填するための通勤手当、貴社でも支給されているのではないでしょう...

[ 賃金 ]

ご存知でしたか? 「65歳超雇用推進助成金」

 就業規則等で65歳以上への定年の引上げや、希望者全員を66歳以上まで継続雇用する制度の導入等を行った会社...

[ 助成金 ]

マスクを外さない従業員への対応

 最近、マスクを着けたまま業務に従事している人を見かけることがあります。特に接客される際に、意味もなくマス...

[ 労務管理 ]

当日請求の年次有給休暇は拒否できる!?

 以前のコラムでもお伝えしたとおり、労使トラブルは私人間の基本原則(民法第1条)にもとづいて解決されるとい...

[ 年次有給休暇 ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ