コラム

 公開日: 2016-10-06 

労使慣行っていうけど、どこまで拘束されるもの?

 そもそも「労使慣行」とはどういうものを言うのでしょうか。
 労使慣行とは、法令や就業規則等に根拠を持たないけれども、長年それが事実として行われてきたがゆえに、それが労働者と使用者の間で労働条件や職場規律などに関する”事実上のルール”となっているものをいいます。

 ただ、前述したとおり、それは法令などに根拠を持ちませんので、法的な請求権を根拠づける労使慣行として成立していると言えるためには、以下の3つの要件が必要とされています。
① 慣行的事実・・・・・・・その慣行が長期にわたって反復継続していること。
② 普遍性・・・・・・・・・・・その慣行に対し、労使双方が明示的に異議を唱えていないこと。
③ 規範意識の存在・・・その慣行が労使双方(特に使用者側でその慣行について決定権
               又は裁量権を有する者)に一種の規範として認識されていること。

 よって、単に前例があるだけでは、法的な請求権を根拠づける労使慣行が成立しているとは言えないのです。
 ですから、使用者側としては、前例があるというだけで安易に労使慣行として認めたり、労使慣行が成立している等と言うべきではありません。

 実際、裁判になった場合、ケースバイケースで労使慣行が成立していると認められる場合と認められない場合があります。
 以下に労使慣行に触れられた主な裁判例を新しいものから順にご紹介しておきますので、興味がおありの方は裁判例を検索してみて下さい。

 【労使慣行に触れている裁判例】
 槇町ビルヂング事件(東京地裁・H27.6.23判決)/協和精工事件(大阪地裁・H15.8.8  判決)/共同交通事件(札幌地裁小樽支部・H12.12.4判決)/岡山電気軌道事件(最高裁第一小法廷・H10.6.25判決)/アイエムエフ事件(東京地裁・H5.7.16判決)/東京中央郵便局事件(東京地裁・H3.8.7判決)/国鉄国府津運転所事件(横浜地裁小田原支部・S63.6.7判決)/国鉄精算事業団事件(東京地裁・S63.2.24判決)/京都新聞社事件(最高裁・S60.11.28判決)/大和銀行事件(最高裁・S57.10.7判決)/三菱重工業長崎造船所事件(最高裁・S56.9.18判決)/大栄交通事件(最高裁・S51.3.8判決)/国鉄青函局事件(札幌高裁・S48.5.29判決)/宍戸商会事件(東京地裁・S48.2.27判決)/静岡県教祖事件(最高裁・S47.4.6判決)/日本貨物検数協会事件(東京地裁・S46.9.13判決)/国鉄田町電車区事件(東京高裁・S43.1.26判決)

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