コラム

 公開日: 2016-09-15 

事実上の使用関係がない長期休職者の社会保険の取扱い

 貴社では、従業員が病気やケガなどで長期欠勤を余儀なくされた場合、どうされていますか? こんなとき「休職制度」があれば、休職させて様子を見ることになります。

 そもそも休職制度とは、私傷病等により長期にわたって働けない状態になった従業員について、会社が一定期間にわたり従業員としての身分を保障することで、安心して療養してもらい復職のチャンスを与える制度で、就業規則などの定めにもとづき成立するものであり、法的には休職制度を設ける義務はありません。しかし、実務上、休職制度は中小企業においても多くの会社で設けられています。
 休職制度を設けている会社では、休職制度における休職期間中の給与については、ノーワークノーペイの原則により不支給(無給)としているのが一般的です。

 しかしながら、給与が支給されない休職期間についても、社会保険の被保険者資格は継続しており、その間も健康保険証などを使って病院にかかれること等から、社会保険料は本人負担分も会社負担分も休職前と同額が徴収されてしまいます。
 これは、会社にとってみれば、休んで会社に貢献してくれていない従業員についても、社会保険料だけはしっかり負担させられることになり面白くありません。
 また、休職している従業員には支給される給与がないため、本人負担分の社会保険料を給与から徴収することができません。そのため、結果として、会社は休職期間中の本人負担分の社会保険料も立て替えて納付する形となり、休職期間が長期に渡れば、その立替え額も膨大な額となり、中小企業にとっては頭が痛いところです。(最悪の場合、本人やその家族に支払い能力がない場合、立て替えた社会保険料がいつまで経っても回収できないということもあります。)

 しかし、一般的には、「休職期間中も社会保険の資格を切ることはできない(社会保険料を納め続けなければならない)。」という誤解が蔓延しています。貴社でもそのように理解されていたのではないでしょうか?

 でも実は、“事実上の使用関係”が失われているような長期休職の場合には、社会保険の被保険者資格を喪失することができる場合があるのです!!
 これは解雇できるという意味ではありませんので、その点は誤解しないようにして下さい。あくまで社会保険の資格を喪失させ、社会保険料を負担しなくてもよくなるだけで、休職期間中は、従業員としての身分は保障しておかなければなりません。

 長期休職の場合に社会保険の被保険者資格を喪失させることができる根拠として、以下の行政通達があります。
   ・昭2.2.5保理第366号      ・昭2.2.25保理第983号      ・昭6.2.4保発第59号
  ・昭25.4.14保発第20号     ・昭25.11.2保発第75号の2    ・昭26.3.9保文発第619号
   ・昭27.1.25保文発第420号

 これらの行政通達を根拠に年金事務所と交渉すれば、長期休職者の社会保険の資格喪失が認められるかもしれませんよ。

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