コラム

 公開日: 2016-09-27 

早出のすべてが早出残業と認められるわけではない!?

 残業(正しくは「時間外勤務」)といえば、何も終業時刻後に残って業務をする場合に限らず、始業時刻前に早めに出社して来て業務をする場合も含まれます。

 そこで、早めに出社してタイムカード等を打刻し、出社した時刻から始業時刻までの間は”早出残業”だとして残業代を請求された場合、これを支払わなければならないのでしょうか?
 これについて、東京地方裁判所で会社側にとって心強い判決が出されていますのでご紹介します。


≪Y本舗事件、H25.12.25東京地裁判決≫
 『終業時刻後のいわゆる居残り残業と異なり、始業時刻前の出社(早出出勤)については、通勤時の交通事情等から遅刻しないように出社する場合や、生活パターン等から早く起床し、自宅ではやることがないため早く出社する場合などの労働者側の事情により、特に業務上の必要がないにもかかわらず早出出勤することも一般的にまま見られるところであることから、早出出勤については、業務上の必要性があったのかについて具体的に検討させるべきである。』


 この裁判では、上長が出社している場合の早出については業務上の必要があったと認めました。
 ところが、毎日始業時刻の1時間前に出社していたことなどから、すべてが業務上の必要性があるとは認めませんでした。
 つまり、タイムカード等に記録された出社時刻から始業時刻までの間の時間を必ずしも早出残業時間と認定するわけではないということで、裁判所も早出の実態をよく理解している判決だと言えると思います。

 なお、この事件においては、労働基準監督署から早出残業代を支払うように勧告を受け、勧告を受けた部分の早出残業代は支払い済みだったこともあって、それ以外に労働者が請求した早出残業については、残業には当たらないと判断されています。(もちろん、労働基準監督署の判断に従ったとしても裁判では負けることもあります。)

 なかには不必要に早出をして残業代を増やそうとする非常識な労働者がいることもありますよね?
 そのような労働者から早出残業代を請求された場合、抗弁材料として、この東京地裁の裁判例は使えると思います。経営者の方はこの裁判例はチェックしておいて下さいね。

 とはいえ、早出残業については、この裁判でも判示されているとおり、個別具体的な事情が考慮されるので、早出が必要であったか否かなどが判断できるような個別事情をしっかりと“記録”しておくことが重要なことは言うまでもありません。

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