コラム

 公開日: 2015-08-18  最終更新日: 2015-08-30

ハラスメントへの対応・2

加害者に対応する・2


ハラスメントの加害者の中には、前回のAさんのように自説を曲げない人もいれば、苦しみながら変わっていかれる人もおられます。


Bさんは、50代。
職場の立て直しに孤軍奮闘する先輩Cさんに請われての異動 でした。

それから、半年。
「職場をよくする」ために、みんなで頑張っているー そう、Bさんは信じて疑いませんでした。

ところが、Bさんの職場から立て続けに3人がEAPのカウンセリングを利用し、Bさんと働く苦痛を訴えたのです。
Bさんの強引な指導と感情的な個人攻撃に消耗し、うち2人は離職を検討していました。

EAPコンサルタントから連絡を受けた産業医との面談は、Bさんにとっては、まさに寝耳に水。
憤りを抑えきれず、Cさんに、産業医は何もわかっていないと言い募りましたが、Cさんは、なだめるばかりで、具体的な説明はしませんでした。

が、Cさんは、実際には、その3人から相談を受けていましたし、会社内でBさんのことが大きな問題にならないように、かばい続けていたのでした。

しかし、すでに会社としても見過ごしにできない状況でした。
会社から、EAPコンサルタントへの相談を強く勧められたCさんは、来談したものの、「被害者」である当該部署の全員面接を求めてきました。

「全員」の中には、Bさんも入っています。
しかも、面接の目的がBさんの「ハラスメント」であることは伏せ、会社全員へのセルフケア面接の一環であると説明するよう、求めてきたのです。

EAPコンサルタントは、これでは、問題解決に繋がらず、何より、Cさんが安全配慮義務を果たしていないことを説明しました。
そして、Bさんに対して、職員に苦痛を与えている事実と、会社が問題にしていることを伝えて欲しいと、お願いしました。さらに、セルフケアのための面接としてもいいけれど、それが必要になったのは職場の人間関係の問題があったからだという説明をする了解をいただきました。

が、残念ながら、面接に現れたBさんは、職員の意識が高まれば自分の意図はわかってもらえるはずだと、自分への批判など、まるで意に介さない態度で話されました。

展開を見たのは、2ヶ月ほどたって、Bさんが再度、面接を求めてきてからでした。

あれから、自分がどこで間違ったのか考えあぐね、信頼できる人に相談もしてみたが、日々つらく、誰も信じられなくなっていることを話されました。

「ここに自分から来るのは、かなりの決心が必要でした。
申し込み方も調べないと、わかりませんでした。
それを越えて、3人もが相談に来たということは、
それだけの事を私はした、ということなのですね。
私はどうすればいいのでしょう」

そのBさんに変化の可能性を感じたEAPコンサルタントは、問題解決サイクルを示し、
まずは、「何が起こっているか」を知ること、
次に「それはどういうことか」を考えること、
その上で、「では、どうするのか」を検討すること
を勧めました。

Bさんは、いくらかホッとされた様子で、まずはCさんと話すことから始められました。
さらに認知行動療法を学び、Cさんの支援も得て、ゆっくりとではありますが、部下の中からサポーターもでてくるようになったのでした。





この事例が教えてくれるのは、上司による建設的直面化の重要性です。

自分が他者にどんな影響を与えているかについての、事実に基づくフィードバックなしでは、人は行動を修正することはできません。

確かに、建設的直面化は、勇気が必要です。
リスクをとる覚悟も必要でしょう。

そのため、自分はあえて問題にせず、次の上司に託すことも、よく起こります。
しかし、それが、加害者を育て、難事例を生み出してしまうことになるのです。

上司だけでハラスメントが解決できると考えているわけではありません。
ただ、事実を正面から伝え、部下に気づかせる。
その役割をしっかり果たしていただきたい、まずは、そこからです。

そして、もうひとつ大事なことは、
支援者もしっかりと対象者に直面化するということ。

傾聴してもらってはじめて傾聴できるように
直面化も経験してはじめて、できるようになります。

支援者の直面化が上司のちからを引き出す。
それを期待して、どしッと構えましょう。

この記事を書いたプロ

オフィス・インテグラル株式会社 [ホームページ]

臨床心理士 澤田章子

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