コラム

 公開日: 2011-04-04 

死亡推定の短縮を検討


これは、4月3日付け日経新聞の社会面の記事のタイトルです。
厚生労働省が災害で死亡したと推定するまでの期間を現行の「1年」から「3ヶ月」に短縮する方針を固めた、という記事が載っています。
記事の内容が分かりにくいので、少し解説してみましょう。

この記事を理解するには、民法の失踪宣告という制度についての基礎知識が必要です。
民法では、行方不明になって帰ってこない人について、死亡を認定する制度が設けられています。
それが失踪宣告という制度なのです。

通常の場合は、7年間生死不明の状況が続くと、利害関係のある人は家庭裁判所に失踪宣告の申立が出来ます。
その場合、7年間の経過とともに死亡とみなされるのです。

これは、「みなす」のであって、「推定」ではありません。
法律的には、死亡と扱ってしまい反証を許さないので、本人が仮に生きていたとしても、その失踪宣告を取り消さないと生存と扱ってもらえないのです。

さて、普通の場合は7年くらいの期間でよいと思うのですが、今回の大震災のように危難にあったときは、これでは長すぎます。
そこで、法律も期間を短縮して、危難が去った後から1年としているのです。これを、特別失踪といいます。

年金関連法や労災保険法は死亡認定を支給条件としていることが多いはずです。
そうすると、今回津波などによって行方不明になった者は、特別失踪として1年経過して初めて失踪宣告が下されることになります。

逆に言えば、津波でさらわれた可能性が極めて高いのに(現に目撃した人もいるはずです)、1年間待たなければ失踪宣告を受けられないことになるのです。
それでは、余りにおかしいということで、厚生労働省が期間短縮の法律案を準備するという記事なのです。

飛行機事故や海難事故では3ヶ月後に死亡したと推定して支給する規定があるようです。
そうであれば、今回の大震災について特別立法を用意するのは、むしろ当然ではないでしょうか?

1995年の阪神淡路大震災では、こうした法改正までは行われなかったわけですから、今回の災害が如何に酷かったかの証になるかもしれません。
速やかに法案を成立させ、少しでも被災者をサポートすべきだと思います。

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