コラム

 公開日: 2016-03-09  最終更新日: 2016-03-11

マンションにお住まいの方へ、塗り壁の勧め

そもそもマンションの表層は

集合住宅、いわゆる分譲マンションの新築時は、パッと見明るい白色で天井、壁が覆われ、床にはピカピカのフローリングが敷かれていて、とてもゴージャスで素敵な空間に見えますが、多くの分譲マンションで新築時に施工されている建材たちは、いわゆる新建材という種類の建材で、ビニール製であったり自然素材の柄を印刷した合板であったりします。こういった素材は施工性やコスト、メンテナンス性が高いのである意味とても使いかっての良い優れたマテリアルなのですが、例えば古民家を改装したカフェなどで体験するような、「なんだかわからないけど、心が落ち着く気持ちの良い環境」で暮らしたいという欲求や希望が生まれてきた場合には、化学製品に囲まれたマンションの空間には居心地の悪さを感じる事になります。

マンションに施工できる自然素材

あのカフェで感じた空間の心地よさはなにに依るものか?周りの風景、鳥のさえずり、BGM、天井の高さ、そしてふんだんに使われている自然素材…etc。
風景は真似できないにしても、たちまち自然素材を使ってリフォームしてみることで、今よりも心地よい空間が手にはいるかもしれない。
では、マンションに施工できる自然素材にはどのような物が考えられるのか?
実は色々な自然素材がマンションの仕上げとして採用可能なのです。

まずは自然素材の代表選手、無垢の木材。これは床、壁、天井、家具、棚板など色々な場所でマンションでも施工可能。
そして次に思い浮かぶのが珪藻土や漆喰、自然塗料などの塗り壁になります。こちらもマンションに施工可能です。その他には素焼きタイルやアイアン、大理石もありますね。
その中でも実現可能で満足感の高い「塗り壁リフォーム」に焦点をあてて今回はコラムを書いて見たいと思います。
ここで一点、今回は珪藻土、漆喰、自然塗料をまとめて「塗り壁材」という呼称で書きますが、壁にしか塗れないとか、壁にしか塗らない材料、という訳ではありませんので、そこのところはご承知ください。

実例⇒広島市安佐南区Y様邸

塗り壁施工その1 下地処理と下地造り

塗り壁にとって下地処理はとても大事です。これがしっかりしていないと後からひび割れ(クラック)が塗り壁の表面に無数に出るような事になります。ただ、マンション、特に高層階などでは、人が感知しないくらいの周波で壁が振動していたりするので、注意深く下地処理を行ってもクラックが出てしまう事が多いです。そこは自然素材を使うデメリットといいますか、味ですので大らかな気持ちでクラックも受け入れましょう。
下地ですが、正攻法の場合、既存のビニールクロスを一度剥いで、石膏ボード下地面にはもう一枚、石膏ボードをボンドとタッカーを併用して二重貼りとし、隣人との戸界壁などコンクリート面は内側に木下地組を行い「ふかし壁」とし、そこに石膏ボード(できれば二重貼り)を貼って塗り壁下地とする事になります。
塗り壁の下地ボードを石膏ボードではなく合板にすることは、余り望ましくありません。塗り壁の表面に合板からのアクが滲み出ることがあるからです。合板にアク止め処理をしたり滲み出たアクの上から再度塗り壁材を塗り込むという補修もありますが、極力石膏ボードを直接の下地とし、棚板固定用の補強が必要な場合は石膏ボードの下に合板を捨て貼りまたは合板との二重貼りとするのが好ましい工法です。

新たに石膏ボードを塗り壁下地として貼り終えたら、いよいよ左官職人さんに登場してもらいます。因みにここまでの作業は大工工事または軽鉄内装工事です。
まず最初は養生です。造作材や巾木などといった塗り壁と接する部分に塗り壁材が付着しないように接する部分の際に沿ってマスカというマスキングテープと透明シートが一体になった養生材を留めていきます。
木種によっては塗り壁材に触れると化学反応を起こして変色してしまう造作材があるので、そこは慎重に養生しないといけません。

養生が済んだら次は石膏ボードと石膏ボードの継ぎ目のパテ処理です。これをしっかりしておかないと、石膏ボードの継ぎ目の表面上、(特に水平ラインの継ぎ目や扉の縦枠の延長垂直ライン)にクラックがおきやすくなります。
 この継ぎ目処理の仕方、(もっと言えば事前の大工工事での石膏ボードの貼り方)はコストのかけ方や職人さんの腕によって違いが出ますので、ここは工務店の担当者とよく打ち合わせをして進めていく必要があります。

 と色々小難しい事を書いてきましたが、実はもっと簡単でスピーティーな下地造りの工法があります。だったらそれを早く書けよ、とお思いの方もいらっしゃいますでしょうが、正攻法の大変さを知るからこそ、次に書く工法の簡単さがよく解るというもの。
 その工法とは…ずいぶん前の段落で、まず最初に既存のビニールクロスを剥がしますと書きましたが、最近は既存のビニールクロスの上から直接塗れる塗り壁材が販売されています。これを使えば下地を造る必要がありません。 ただし、既存のクロスが剥げかかっていたり、割れていたりする場合や、間取り変更などで新たな壁が増えた部分には、新規でクロスを捨て貼りして、その上に塗り壁材を塗るということになります。
あと、せっかく自然素材でリフォームと考えての行動ですから、クロスがビニールクロスだと、なんだかなーという感じになりますので、弊社では既存クロスを全て剥がし、紙やウッドチップを原材料とする自然素材のクロスに貼り替えた上からの塗り壁をお勧めしています。(EX:オガファーザー、コバウ)
 全てクロスを剥がして自然素材クロスに貼り替えても、手間やコスト面で正攻法よりもお手軽に塗り壁の空間を作り出せます。 デメリットはクロスが剥げると一緒に塗り壁も剥げてしまうという事と、使える塗り壁材がクロスの上から施工できる商品に限られるという事です。

実例⇒広島市佐伯区N様邸

塗り壁施工その2 仕上げ塗り

 いよいよ仕上げ材の塗り工程です。珪藻土や漆喰は色々なメーカーから発売されていて、下塗りのいるものから、一発塗りで良いとされているもの、色粉を現場で混ぜて着色するもの、着色されて現場に入ってくるものなど様々な種類があります。
もちろん色粉を入れずに、塗り壁材本来のマッドな白にしても良いですし、大方のユーザー様はそちらを選ばれます。
 ただ、コテの使い方によって壁に扇や櫛目などの柄、いわゆるコテムラを出していく塗り壁特有の楽しみは各ユーザー様、それぞれこだわりの柄をお持ちで、その柄はいつどうやって決めればいいのか?という質問は、塗り壁リフォームをされるユーザー様から必ず出る質問です。

 この塗り壁の柄の決め方(あるいはタイミング)は工務店、設計事務所、各者まちまちだと思われますが私が主宰する工房住空間建築デザインでは、塗り仕上げの初日の朝に、ユーザー様に立ち会っていただき、実際その場で左官職人さんに色々なパターンのコテむらを作ってもらい、それをユーザー様に見ていただきます。
 そして、その中でユーザー様のイメージに近いものを選び、更に細かいご要望があればお聞きして、できる限りイメージ通りの柄を作り出す、という方式を取っています。 この決め方のメリットは、ユーザー様と職人さんが直接コミュニケーションを取れるので、イメージの詳細が伝わりやすいという事と、職人さんが実際に手を動かして作った柄なので、必ずその職人さんで再現できるという点です。そのようにして決めた柄で塗っていくのですが、日数としては左官職人一人で、LD廊下と洋間2部屋の壁、天井を3日ないし4日といった日数で塗っていきます。

実例⇒東広島市K様邸

コストコントロール


今まで書いてきた文書をお読みいただければお判りの事と思いますが、塗り壁リフォームは養生から下地造り、仕上げまでと、とても多くの手間がかかります。手間イコール労務費ですので、リフォーム費用は普通にビニールクロスを貼り替える事に比べれば4倍から5倍はかかるものと思っていただいたほうが良いでしょう。そこで私がよく使う、少しでもコストを抑えるアイデアを二つご紹介いたします。

一つ目は皆が思いつくDIY、そう自分たちで塗るという選択肢です。お父さんとお母さん二人で一緒に土日をフルに使えばLDKと廊下くらいは塗ることが可能です。お子さんにも少し手伝ってもらえば思い出も増えます。ただし、石膏ボード下地に塗る場合は下地処理と養生はお金が掛かってでもプロの職人さんにやってもらいましょう。この作業は素人には正直無理だと思います。クロスの上から塗るケースでも養生は工務店さんに依頼したほうが良いと思います。なにしろユーザー様にとってはなれない塗り壁作業です。塗る事だけに集中したいものです。養生を先行してもらっていれば時間の節約にもなります。

二つ目は私がよくご提案させていただく手法で、壁と小梁のみ自然素材クロスを下地貼りした上から左官工事で塗り壁仕上げとして、天井と大梁はクロスメーカーさんから発売されている「塗り壁クロス」をクロス工事で貼るという手法です。このクロスは表面に珪藻土などの塗り壁材が塗布されている機能付きクロスで、塗り壁材をコテで直接壁に塗るほどの厚みはありませんが、ビニールクロスとも明らかに質感が違います。壁面にしっかり左官で塗り壁が塗りこまれていれば、天井がこの塗り壁クロスでも、しっかり自然素材からの恩恵は得られます。そして天井面はクロスの貼り換え工事の単価で済むのでコストと工期が大幅に圧縮できます。
そして、DIYの際もこの手法にすれば、コテ裁きの難しい天井面を塗らなくて済む事になります。
私はこれまでの経験・実績から、この手法こそマンションでの塗り壁リフォームのベストの選択だと確信しています。

実例⇒広島市安佐南区H様邸

塗り壁リフォーム後の空間

随分長々と書いてしまいましたが、それだけ塗り壁には注意すること、知っておくことが多いのだと私自身が今回気づきました。
OB様宅を訪問させていただく機会があった時に、塗り壁リフォームを選択されたお客様のマンションに伺うと、コンクリートに囲まれたマンションにも関わらず古民家カフェと同じ様に空気がおいしいと感じますし、空間にゆとりの様なものを感じます。

塗り壁には工事の際のコスト高という問題のほか、生活していく中でのクラックや伸縮、汚れなどのネガティヴな心配事が付いて回ります。が、それらを差し引いても得られる満足感の方が随分と大きいと私は感じています。
クラックや多少の汚れに寛容な気持ちで対処できる「心持ち」が得られるのが、マンション自然素材リフォームかもしれません。

実例⇒広島市南区H様邸

問い合わせはお気軽に

 最後までコラムをお読みいただきありがとうございます。
マンションのリフォームやリノベーションでは、完成イメージのご要望は同じでも、物件毎に様々なクリアすべき問題や使える工法が違ってきます。うちの場合はどうなのか?費用面はどうなのか?など、もっと詳しくお知りになりたい方はお電話か問い合わせフォームでご連絡ください。まずはお話だけでも構いませんよ。

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