コラム

2016-05-17

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「従業員がセクハラ事件を起こした」

2016/5/16(月)13:30~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「従業員がセクハラ事件を起こした」
企業法務 弁護士 相談 広島

従業員がセクハラ事件を起こした

Q: 今月は、企業法務や労働問題をテーマに、番組に寄せられました手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日もよろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今日は、65歳の男性からのお悩みです。
 「私は20名程の社員を抱える会社の経営をしています。
 社員の人数が少ないこともあり、みんな仲が良く、アットホームな雰囲気で仕事をしています。
 出入り業者の人たちからも、ここはみんなが仲良くてうらやましい。
 こんな事務所で働けたら楽しいでしょうね。
 などと、言われる程…。
 私自身も、自慢の会社だと思っています。
 ただ、困ったことに、先日、一身上の都合で辞めた女性から、話があると呼び出され、そこで意外な事実を告白されました。
 それは、ある社員から一年に渡り、セクハラ行為を受けていた。というものでした。
 私は一緒に仕事をしていて、少しも気付かなかったのですが、彼女はそのセクハラに耐え切れず、会社を辞めたというのです。
 彼女は特に、会社に恨みを持っているわけではないが、どうして辞めるに至ったのか、きちんと伝えた方がいいと思い、全てを話してくれたようです。
 既に彼女は会社を辞めているものの、経営者として何も対処していないことに反省をしています。
 セクハラをした人間は会社のナンバースリーで、彼のマンパワーは会社にはなくてはならないものです。
 ただ、これからもセクハラ行為を続ける可能性はゼロではないのかな?という一抹の不安も持っています。
 従業員がセクハラ行為を行った場合、会社としてはどうすれば良いのでしょうか?
 また、セクハラ行為が事実だとしたら、会社も何らかの責任を負わなければならないのでしょうか?」

という内容です。
 さぁ、江さん、これは困りましたね。
 少人数の会社で、しかも社員同士が仲が良い。
 その中でのセクハラ告発です。
 セクハラをしていた社員は、そのことを知らないでしょうし…
 さて、会社として、社長として、どのような対応をするべきなのか、教えてください。

A: はい。
 会社として、まずしなければならないことは、この件に関係している人物から事情を聞き、事実関係を確定させることです。
 当然のことながら、両当事者からも話をきくことになります。

Q: セクハラというのは、当事者の言い分がまったく異なることもあると聞きますよね。

A: そうなんです。
 セクハラ事件の場合はどうしても双方の言い分が真正面から対立することが多いですから、慎重に客観的事実を冷静に聞き取るよう、努めなければなりません。
 まずは、事実関係を確定させることが必要です。

Q: 例えば今回のご相談で、セクハラが事実であった場合、誰に、どのような責任が発生するのでしょうか?

A: セクハラが事実だとしたら、社員の男性が行った行為は、元社員の女性に対する不法行為となりますから、男性は女性に対して、損害賠償責任を負わなければならないことになります。

Q: 会社としては、責任を問われることはないのですね。

A: いえいえ、そうとも限りません。
 今回セクハラをしていたと疑惑のある男性社員は、会社との関係でみると、被用者・使用者の関係になります。
 男性の行為が、会社の業務に関連して行われたものであれば、会社は被害女性に対して、損害賠償義務を負うこととなります。
 ただし、セクハラ行為が、業務とまったく無関係なところで私的に行われた場合であれば、会社の責任は生じないことになると思われます。

Q: 業務との関係が問題となるわけですか?

A: この場合の被用者は、セクハラ行為の疑惑のある社員のことを指しますが、会社は被用者を使って利益を受けていますから、被用者が第三者に損害を与えた場合には、会社も責任を負うべきだという考え方に基づいています。
 しかし、会社の業務と無関係なところで、第三者に損害を与えた場合まで、会社に責任を負わすことは酷ですので、会社が責任を負うのは、あくまで被用者が「業務の執行について」すなわち、業務の執行に関連して不法行為を行った場合に限られるということです。
 これを「使用者責任」と言います。

Q: 業務の執行に関連して…というのはなかなか微妙な表現ですね。
 今回のご相談のように、同じ会社の社員間ともなると、業務時間外に接触することもあるでしょうし…その場合をどう判断するのか、難しいですね?
 例えば、勤務が終わってから、社員で懇親会に出かけていった先で、セクハラ行為が行われた場合はどうなるのですか?
 業務が終了しているから、これは「業務の執行について」にはあてはまらないと思うのですが…。

A: 確かに、懇親会がただの飲み会であった場合、原則として業務が終了してからのものであるため「業務の執行につき」という要件は満たさないことになります。
 しかし、勤務終了後の飲み会といえども、参加することが事実上強制され、業務の一環と評価できる場合もあります。
 このように業務の一環として評価されれば、「業務の執行について」という要件を満たす可能性もあります。
 これを「業務執行性」と言っています。
 最近では、この「業務の執行」については、かなり広い範囲で認定されるようになりました。

Q: 分かりやすい裁判例を挙げていただけますか?

A: 裁判例としては、会社の懇親会の後に社員同士で行ったカラオケルームで、女性従業員に抱きついたりキスをしようとしたという事案があり、これは、会社にも「使用者責任」があるとして、会社に対して損害賠償を命じたものがあります。

Q: なるほど…会社としては、社員が行った行為について、責任を取る「使用者責任」というものがあり、会社にその使用者責任が生じた場合は、被害者の女性に対して損害賠償を支払わなくてはならないのですね。
 そして、その責任範囲も、最近ではかなり広く考えられる傾向にあるということですね。

A: はい、その通りです。
 上司が部下に対して行うセクハラの手として、何かにつけて、業務を理由に誘い出すというものがあります。
 こうなると、会社が巻き込まれてしまう可能性は高くなります。

Q: 迷惑な話ですね。
 例えば、社員がセクハラをして、会社が賠償金を払わなければならなくなった場合、その損害について、会社は、セクハラ行為を行った社員に対して、その賠償金を請求するということはできないものなのでしょうか?

A: 丸子さん、鋭いですね。
 判例では被用者の業務内容や加害行為の態様などを考慮して、損害の公平な分担という見地から、信義側上相当と認められる限度において、会社から、被用者(社員)に対して、その損害の賠償または求償の請求ができると述べています。

Q: セクハラは、わからないところで行われていることが多い事件ですから、会社としても注意をしてみておく…というのは難しいものかもしれませんね。
 しかし、事件があってからでは大変です。
 それにより、職場の雰囲気も変わってきますしね。

A: そこも気がかりなところですね。
 セクハラ事件が起きたことが広まれば、その他の社員も職場で働く意欲が低下するものです。
 セクハラが起こらず、社員の皆が楽しく働ける職場を作ることが会社を成長・発展させることに繋がりますからね。

Q: 今回、相談をくださった会社の社長さんは、立派な方ですね。
 元社員の女性からセクハラの話を聞いて、会社として何らかの対応をしなければ…と考えていらっしゃいます。
 江さん、セクハラはデリケートな問題ですから、事実を聞き出すにも、十分、気を遣わなければなりませんよね。
 一度、事務所の方に相談に行かれるといいと思うのですが…。

A: そうですね。
 是非来ていただければ、今後の会社としての対応の方法など、もう少し丁寧にお話しできるかもしれません。

Q: ひとりで悩まず、是非、山下江法律事務所に相談をされてみてはいかがでしょうか?
 それではここでフリーダイヤルをお伝えしておきます。
 山下江法律事務所フリーダイヤルは0120-7834-09 0120-7834-09 
 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 また、今日の番組の内容は、まちの専門家をさがせるウェブサイト「マイベストプロ」でもご覧いただけます。
 今日は「従業員がセクハラ事件を起こした」という相談に答えていただきました。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ 
「会社破産しようと思っている」について
2016/5/23 13:30~13:40 FMちゅーピー(76.6MHz)

■企業法務専門サイト【労務問題】

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TEL:0120-7834-09

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