コラム

 公開日: 2016-05-10 

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「残業代を請求したい」

2016/5/10(月)13:30~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「残業代を請求したい」
残業代請求 相談 広島

残業代を請求したい

Q: 今月は、企業法務や労働問題をテーマに、番組に寄せられました手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日もよろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今日は28歳男性からのメールに答えていただきます。
 「僕は今年の3月に、6年間勤めてきた会社を辞めました。
 大学生の頃からバイトをしていて、その流れで就職した会社は地元の出版社で、とにかく忙しく、家にいるより会社にいる時間の方が長いという状況でした。
 社員のみんなも同じだったので、出版社だし、こんなもんだろうと思っていました。
 しかし、あまりに自分の時間を作れないことから、ストレスが溜まり、いつしかうつ状態になっている自分がいました。
 このままでは本当に身体を壊してしまう。と危機感を覚え、悩んだ結果、退職しました。
 退職後、会社の先輩から連絡があり、「会社を辞めたんだから、これまで働いてきた残業代を会社に請求するべきだ。サービス残業だと勝手に思っていたのは間違いで、本来ならばきちんと支払われなければならない時間外の労働だ」と言うのです。
 先輩は、本当なら在職中に声を出すべきだけど、そうすることで会社に居づらくなるのが分かっているから自分も我慢をしているし、だれにもこんな話はしたことはないが、退職してしまえば気にすることはない。だから、会社に対して請求するべきだと教えてくれました。
 退職した後でも、残業代が請求できると言う話は、本当なのでしょうか?
 もし、できるのであれば、やってみようと思っています。
 退職後の残業代請求について、詳しく教えていただけませんか?」

というご相談です。
 江さん、残業代はたしか、退職してからでも遡って請求できましたよね?

A: その通りです。
 この先輩が助言しれくれたように、退職後の残業代請求は可能です。
 以前も番組でお話ししましたが、そもそも残業にサービス…というものはありません。
 サービス残業というものがあるとするならば、それは残業代不払いの残業であり、違法行為となります。

Q: サービス残業という言葉が当たり前のように使われていますから、てっきり、世の中に存在するものだと思ってしまいますよね。

A: そうですね、困ったものです。
 残業に関して、労働基準法は、「労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、割増賃金を支払わなければならない」としています。

Q: すなわち労働時間を延長して働いた場合には、正規の賃金に一定の割増率を加えた賃金を支払う義務が会社側にはあるということですね。

A: そういうことです。
 ちなみに今回の相談者は、午後10時から午前5時までの時間に当てはまる深夜労働や休日労働もあったように、メールの文面からは想像できますね。
 この場合の割増率も、参考のために申しておきましょうかね。
 残業に関わる割増律は、通常の残業とされる時間外労働の場合、25%以上、休日労働は35%以上、深夜労働は25%以上とされています。

Q: 結構な割増率なんですね。

A: そうですね。
 例えば休日労働でそれが深夜に及んだ場合には、35%プラス25%で60%以上の割増率になります。

Q: 時間外労働が重複する場合は、その割増率が合算されるということですか…これは、経営サイドにしてみれば、大きな出費となりますね。
 だからといって、サービス残業が当たり前…というような風潮を放っておくわけにはいきませんね。
 江さん、残業代を支払っていない会社は、罰則を受けるような法律はないのですか?

A: 時間外労働に対しての不払いに対しては、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金に処すると、法律では定められています。
 ただ、場合によっては、残業代が「職務別手当」等の名目で実質的には支払われている場合もあります。
 ですから、給与規定や給与支払明細などで確認をしておくことも大事です。

Q: なるほど、すでに手当として支払われている場合もあるんですね。
 相談者はまだお若いですし、なにより、会社のことを分かっている先輩社員からの助言での残業代の請求ということですから、きっと、職務別手当などはなかった…と理解しいていいかもしれませんね。
 さて、その残業代の請求ですが、会社を辞めた後からでも、できるということですが、そこについて詳しく教えていただけますか?

A: はい。
 先輩がアドバイスしているように、なかなか会社にいるときに、残業代の申請を自らする…というのは、若い社員になればなるほど、やりにくかったりすると思います。
 ですから、会社を辞めた後に、これまでの残業代を請求するというケースが、このところ増えてきたように思います。

Q: なるほど、悪いことをしているわけではないけれど、やはり在職中は、言い出しにくいものなのでしょうか…ね…。
 ただ、残業代の請求にも時効がありませんでしたか?

A: あります。
 残業代の請求は、賃金の請求と同じです。
 賃金、すなわち給料債権は、時効消滅期間が2年となっています。
 ですから、残業代請求権も2年の時効にかかります。
 よって、遡ること2年分しか請求ができないということになります。

Q: そういえば、そうでしたね。
 だからこそ、会社を辞めたらすぐにでも請求をしておかないと、2年から、会社を辞めてからの期間を差し引いた分しか請求できないことになるのでしたね。

A: その通りです。
 辞めて1ヶ月で請求すれば、2年分の残業代から1ヶ月分を差し引いた、1年11ヶ月分の請求ができますが、退職後半年くらい経って請求をすると、2年から6ヶ月を差し引き、結果、1年半分しか請求できないことになりますから、注意が必要です。

Q: 相談者は、会社に入って6年間、きっとものすごい時間の残業をしてこられたはずです。
 それなのに、請求できるのが最大2年分…って、なんだか気の毒ですね。
 しかも、会社を辞めたから、ようやく請求できる…というような現状も、おかしな話ですよね。

A: 本当にそう思います。
 本来、働いている時に、きちんと支払われていればこんなことにはならないのですが…、なかなか在職中に言い出すのも、勇気がいるのかもしれませんね。

Q: しかしですよ、やはりこういうことは、在職中にきちんとしておくべきものだと、私は思います。
 もし、残業代が支払われていたら、ストレスが軽減されていた可能性もありますよね。
 結果、会社を辞めなくてもすんだかもしれません。
 在職中に会社側に請求する、なにか良い方法はないものですか?

A: そんな時は、是非、労働基準監督署に申し出てください。
 使用者、すなわち会社側には、匿名にして欲しいと告げておけば、誰が言い出したのかは、わかりません。
 労働基準監督署は、申請者に迷惑がかからない方法で、会社への調査を行い、是正勧告を行ってくれるはずです。

Q: 会社としては、労働基準監督署から調査が入ることによって、今後の対応を直さざるを得なくなりますしいい機会かもしれませんね。

A: そうですね。
 ただ、この場合も、請求できるのは、現時点から遡って2年という期間はかわりません。
 何年も残業したのに、2年分しか…と思われるかたもいらっしゃるかもしれませんが、2年分しか…とネガティブに考えるのではなく、とりあえず、2年分、そして、今後のためにと前向きにとらえて行動に移していただきたいですね。

Q: そうですね。
 先輩から教えてもらえたという相談者さんは、本当にラッキーです。
 先輩の助言がなければ、知らなかったことでしょうからね。
 今度は、まだ在職している先輩の為にも、是非、労働基準監督署のことを、教えて差し上げていただきたいと思います。
 今日は、未払いの残業代請求についてお話しいただきましたが、同じような悩みを持たれている方、また、もっと詳しくお聞きになりたい方は、是非、山下江法律事務所に相談をされてみてはいかがでしょうか?
 それではここでフリーダイヤルをお伝えしておきます。
 山下江法律事務所フリーダイヤルは0120-7834-09 0120-7834-09 
 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 また、今日の番組の内容は、まちの専門家をさがせるウェブサイト「マイベストプロ」でもご覧いただけます。
 今日は「残業代を請求したい」というお悩みに答えていただきました。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ 
「従業員がセクハラ事件を起こした」について
2016/5/16 13:30~13:40 FMちゅーピー(76.6MHz)

■山下江法律事務所HP【残業代請求について】

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弁護士 山下江

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TEL:0120-7834-09

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