コラム

 公開日: 2016-01-22 

弁護士コラムvol.117 「遺言書を作る理由」 松浦 亮介

山下江法律事務所 弁護士 松浦亮介

遺言書を作る理由

 ここのところ,新聞や雑誌等で相続を扱うものが目立って多くなったように感じます。今回は,いわゆる相続対策における最重要項目の一つである遺言書について簡単に述べたいと思います。

 遺言は,自分の死後,一定の法的効果を発生させるために自らの最終意思を表明するものです。この遺言を書面にしたものが遺言書ですが,法的に有効で意味のあるものにするためには,民法の定めた一定の方式に従って作成する必要があります(いわゆるエンディングノートはこの意味での遺言書作成を目的としておらず,有効な遺言書にはならないものがほとんどですのでご注意ください)。
 遺言書を作ろうと考えるきっかけはひとそれぞれでしょうが,理由を突き詰めるとほとんどは①死後,自分の財産を誰にどのように引き継がせるかを自分で決めたい(自己決定),②死後,相続人間で遺産をめぐって争いにならないようにしたい(紛争予防)の二つに行き着くと思います。
 例えば,Xには推定相続人としてA,Bの2人の子がいるとします(配偶者とは死別)。Xが遺言書を残さず亡くなった場合,民法の規定に従い,Xの財産は,A・B各2分の1の割合で相続され,その後A・Bは遺産分割協議で具体的に誰が何を取得するかを決めなければなりません。いくら,Xがかねがね長年同居で世話になった子Aに財産を多めにやりたいと考えていたとしても,Xの死後,その思いを法的に代弁してくれる人はいません(自己決定の不実現)。2人の話し合いでは決められず,遺産分割調停・審判へと発展して仲たがいしてしまうリスクも出てきます(紛争の顕在化)。
 この状況は,Xが遺言書を作成してさえいれば基本的に避けられるものです。
 相続対策について考えられるとき,遺言書を作ることによるメリットと同時にその裏返しで遺言書を作らないことによるデメリットを考えてみられても良いかも知れません。

 いざ遺言書を作るとなると,内容面では,遺留分や相続税などさらに目を配るべき要素があります。また,自己決定の目的をさらに推し進めると,遺言に代えて,信託などの別の手法を検討すべき場合もあります。遺言を作りたいと思われる方は,ぜひ一度当事務所にご相談ください。

 執筆者:山下江法律事務所 松浦 亮介 (広島弁護士会所属)

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