コラム

 公開日: 2015-12-15 

広島の弁護士・江さんのなんでも法律相談「母の遺言では私には何も無かったのですが」

2015/12/14(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「母の遺言では私には何も無かったのですが」

広島 相続 相談 弁護士

母の遺言では私には何も無かったのですが

Q: 今月は、相続・遺言について、みなさまから番組に寄せられました手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日も、よろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今日は65歳の女性からお便りをいただきました。

 「江先生、丸子さん、こんにちは。
 初めてお便り差し上げます。
 今日は、私の悩みにアドバイスをいただきたく、筆を走らせています。
 是非、相談に乗ってください。
 先日、実の母が亡くなりました。
 母は93才でしたので、本人も悔いなく人生に幕を下ろしたと思います。
 母はとても強い人で、亡くなる直前まで一人で暮らし、身の回りのことも全て自分でこなしていました。
 しっかり者の母だけに、財産管理や保険の書類も全てきちんと整理されており、残された遺族は、何がどこに、どれだけあるのか、一目瞭然、とても助かりました。
 もちろん、遺言も残されており、きちんと封がされ、押印もありましたので家庭裁判所に提出しました。
 その後、指定された検認の日、弟と共に裁判所に出向きました。
 そこで開封された遺言書には、相続人として弟の名前が記されていました。
 私の名前は相続の欄にはなく、メッセージとして「ありがとう」の言葉が残されていました。
 別に遺産がどうしても欲しいというわけではないのですが、全てを弟に…という思いに至ったのは何故か…どうして私の名前がないのか…母の本当の気持ちがわからず、ショックを受けています。
 人の気持ち…というより、法的に答えを出した方が気持ちも切り替えられるかもと思い、番組宛に手紙を書いている次第です。
 このような場合、どのように対応するのがいいのでしょうか?教えてください。」

というお悩みです。
 人の気持ちを考えると、なかなか答えが出ないものです。
 今回のご相談については、きっぱり、法律では…という判断のもと、答えを導いていただきたいと思います。
 江さん、よろしくお願い致します。

A: はい。
 では、今回はあくまでも法律上では…という立場でお話しましょうかね。
 ご相談者は、実のお母様が亡くなり、相続人は相談者のこの方と弟さんだけと考えていいでしょうかね?

Q: そうですね、お父様の話も出てきませんし、弟さん以外にご兄弟の有無についても触れられていませんから…

A: では、相続人を、ご相談者と弟さんのお二人として、お話しましょう。

Q: はい、よろしくお願い致します。

A: 原則、遺言というものは、亡くなられた方の自由な意思に基づいて作成することができるものですが、その内容が100%実現されるというわけではありません。
 今回のご相談のように、「ある一人の子どものみに全財産を相続させる」とか「お世話になったから親族ではないがある特定の他人に全てを譲る」なんていう遺言をすると、その他の残された家族は生活できなくなってしまうことがありますね。
 あるいは公平性からもどうかと思われるようなことがあります。
 このような問題を起こさないために、法律では、一定の相続人に最低限取得出来る取り分を認めているわけです。
 これを「遺留分」と言います。

Q: そうでしたね。
 以前の番組でも紹介された「遺留分」ですね。
 その遺留分の権利を主張することの出来る一定の相続人とは誰になるのでしょうか。

A: はい。
 兄弟姉妹を除く法定相続人です。
 すなわち、亡くなられた方の配偶者、子ども、両親や祖父母がそれに当たります。
 亡くなられた方、「被相続人」の兄弟姉妹には、遺留分が認められていませんので、注意してください。

Q: それでは、今回の場合で言うと、亡くなられた被相続人が93才のお母様で、相続人は、相談者のこの方と、弟さんの2人ということだと思いますが、相談者の遺留分はいくらになるのでしょうか。

A: 相談者の相続分は遺産の2分の1ですが、遺留分はその2分の1、すなわち、遺産の4分の1ということになります。
 ちなみに、遺留分の割合は、法律ではつぎのように定められています。
 相続人が直系尊属のみ、すなわち、相続人が父母か祖父母のみであるときは遺産の3分1。
 その他の場合は、相続分の2分の1。
 今回の相談者の場合は、その他の場合に該当します。

Q: 相談者は、遺言書に、遺産の受取人として自分の名前はなかったものの、法律上では、遺産の4分の1は受け取ることができるということですね。

A: そうですね。
 ただ、この「遺留分」は、自動的に取得できるものではなく、請求をおこさなければならないことを覚えておいてください。
 この請求を「遺留分減殺請求」といいます。

Q: そうでしたね!
 「遺留分減殺請求」!

Q: どのようにして請求すれば良いかを、江さん、もう一度教えていただけますか?

A: はい、説明しましょう。
 遺留分を請求するには、遺留分を侵害している人に対し、この場合は弟さんですが、「遺留分減殺請求」を、相談者がしなければなりません。
 そして、この請求は、相続開始及び減殺すべき贈与又は遺贈があったことを知った時から1年内にしなければなりません。

Q: この弟さんへ請求は口頭でいいのでしょうか、それとも手紙か何かで?

A: はい、請求の方法については、特に法律で決められておりません。
 ですから、遺留分侵害者に対し、意思表示をするだけで、すなわち口頭で請求するだけでも、その効力は生じます。

Q: あれ?
 そんなに簡単な方法で請求できるのでしたっけ?

A: はい、口頭だけでも法律的には問題ありません。
 ただし、遺留分減殺請求をする場合というのは、その殆どが、揉め事になっている又は、今後揉め事に発展する要素を持ったものと言えます。
 ですから、後々のことを考えて、証拠をを残すという意味で、通常は確定日付のある内容証明郵便によって請求するのが一般的となっています。

Q: そういうことだったんですね。
 やはり、ここはきちんと内容証明郵便を利用する方が良いのでしょうね。

A: そうですね。
 念には念を!と思います。
 今回の相談者の場合は、お姉さんが4分の1取得することで弟と合意できればそのようにし、合意が難しいようなら遺留分減殺請求するということになります。

Q: よく分かりました。
 しかし江さん、この番組で勉強すればするほど遺言についての考え方が変わってきました。
 私は以前は遺言を残しておくと、残された人が助かるだろうと思っていたのですが、曖昧な遺言内容になると、残された家族を争いに巻き込んでしまう可能性があるので慎重に作らなければいけないな…と思うようになりました。

A: 相続させる側にはそれだけの思いがあって遺言に残すわけですが、遺言執行の際には、その思いが口で説明できるわけもなく…という状況になるのですから、少しでも誤解を招くような遺言書を残さないようにするなどの心がけは必要かもしれませんね。

Q: 本当にそうですね。
 勉強になりました。
 相談者の方も、お母様がどのようなお気持ちで遺言を残されたのかわかりませんが、ありがとうの言葉が残されている以上、財産を渡したくないというのではなく、弟さんに渡しておけば、後は子どもたち二人で仲良く分けてくれるだろう…と思われていたのかもしれませんよね。
 どうか、スムースに遺産分配が出来、姉弟仲良く付き合っていけることを祈るばかりです。
 今日は「遺留分とその請求」について、江さんに聞きました。
 参考になりましたでしょうか?
 相続・または遺言について、疑問や知りたいことなどがありましたら、まずは法律のプロである弁護士に相談されることをお勧めします。
 ここで、地元広島の山下江法律事務所のフリーダイヤルをお伝えしておきましょう。
 山下江法律事務所フリーダイヤルは0120-7834-09 0120-7834-09
 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 また、山下江法律事務所では、相続に関して、弁護士だけでなく、NPO法人相続アドバイザー協会の認定を受けた「相続アドバイザー」・「上級アドバイザー」が常駐。
 法律問題だけでなく、相続税や不動産の問題など、相続手続き全般のご相談やサポートのお手伝いをさせていただきますので、是非、気軽にお電話ください。
 そして、今日の番組の内容は、まちの専門家をさがせるウェブサイト「マイベストプロ」でもご覧いただけますので、こちらもチェックしてみてくださいね。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ
「遺言に代わる家族信託とは?」について
2015/12/21 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■相続専門サイト「遺留分の問題」

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