コラム

2015-04-17

弁護士コラムvol.97 「土地管轄~どこの裁判所に訴訟提起できるのか~」 山口 卓

山下江法律事務所 弁護士 山口卓

土地管轄~どこの裁判所に訴訟提起できるのか~

 誰かに対して貸付金の返還請求をしたい,損害賠償請求をしたいけれども,相手方が任意の支払に応じてくれない場合,やむなく訴訟を提起することがあります。では,どこの裁判所に訴訟を提起すればよいのでしょうか。以下の簡単な事例に則して見ていきましょう。
  (事例1)広島市在住のAさんは岡山市在住のBさんに対して300万円を貸し付けたが返済してくれないので,貸金返還訴訟を提起したい。
  (事例2)広島市在住のAさんは山口市において岡山市在住のBさん運転車両に衝突されて怪我をしたので,不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起したい。
 ある事件についてどの裁判所が裁判権を行使するかに関する定めを「管轄」(かんかつ)といい,そのうち,所在地が異なる同種の裁判所の間での事件分担に関する定めを「土地管轄」といいます。つまり,どこの裁判所に訴訟を提起できるのかということです。
 訴訟提起する者を原告,提起される者を被告と呼び,被告の生活の本拠地は事件の種類を問わず常に管轄権が発生します(民事訴訟法4条)。これは,訴訟をするときには,原告が被告の生活の本拠地に出向くのが公平であると考えられているからです。したがって,事例1も事例2の場合も,Aさんは,Bさんの生活の本拠地である岡山市を管轄する地方裁判所,つまり岡山地方裁判所に訴訟を提起できます。
 しかし,上記以外にも管轄が生じる場合が定められています(同法5条)。同条においてよく見られるのが,「財産権上の訴えにおける義務履行地」(同条1号)と「不法行為訴訟における不法行為地」(同条9号)です。事例1は財産権上の訴えに該当します。借主は貸主の現在の住所において返済をするのが原則ですので(民法484条),義務履行地はAさんの住所となります。つまり,Aさんは,広島地方裁判所にも訴訟を提起できます。事例2は財産権上の訴えにも不法行為訴訟にも該当します。まず,加害者は,被害者の現在の住所において損害賠償金の支払いをしなければならないので(民法484条),義務履行地はAさんの住所となり,広島地方裁判所に訴訟提起できます。また,山口市が不法行為地に該当するので,山口地方裁判所にも訴訟提起できます。
 どこの裁判所に訴訟提起できるのかは訴訟提起を考える者にとって重要な問題ですが,以上見てきたように,事案内容によって異なってきます。お困りの場合は,お気軽に当事務所までご相談ください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 山口 卓 (広島弁護士会所属)

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