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コラム
公開日: 2015-03-17 最終更新日: 2015-03-24
広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「彼女の浮気、慰謝料とれますか?」
2015/3/16(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「彼女の浮気、慰謝料とれますか?」
■彼女の浮気、慰謝料とれますか?
Q: 今月は、「離婚や男女トラブル」をテーマに、みなさまから番組に寄せられました手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
江さん、今日も、よろしくお願いします。
A: はい、よろしくお願いします。
Q: 今日は、29歳男性からのご相談です。
「ぼくには、2年前からつきあっている女性がいます。
その女性のことでの相談です。
その女性とは将来結婚しようと思っておりましたが、最近、どうも他に好きな男性がおり、つきあっているようだということが分かりました。
大変なショックを受けております。
悔しくて悔しくてたまりません。
もうその女性はあきらめるしかないと思っているのですが、ぼくが受けたショックについて、何か相手の男性やその女性に対して慰謝料を請求することはできないのでしょうか。」
という内容です。
江さん、相談者の方は、女性に裏切られてしまったようですね。
こうした場合に、法的な損害賠償請求とかはできないか、というご相談のようです。
何か、良い方法はありませんかね。
A: う~ん。
自分のショックに対して慰謝料を欲しい、というこの相談者の気持ちは良く理解できます。
しかし、残念ながら、法律的には、その女性に対しても、相手の男性に対しても、原則として慰謝料の請求はできない、ということになると思います。
Q: 原則として慰謝料請求はできない、ということですね。
その理由はどういうことになりますか。
A はい、法律的に慰謝料請求が可能となるためには、その法的根拠が必要となります。
例えば、交通事故で他人に怪我をさせたとしましょう。
この場合ですが、まず他人を理由無く傷つけてはならないという法的規範があります。
にも関わらず、不注意(過失)により他人を傷つけた、これによりその他人に損害を与えた。ということになりますよね。
ですから、この場合には、加害者の行為は、民法709条の不法行為に該当し、加害者は被害者に対して、その損害を賠償しなければならない、となるわけです。
Q: なるほど。
で、今回の男女間の浮気の場合はどうなるのですか?
A: はい、男女間の性的な関係については、いろんな考え方があるでしょうが、少なくとも現在の日本の法的規範としては、独身の男女間においては、お互いに貞操を守らなければならないという義務はありません。
そのような法律もありません。
分かりやすく言えば、独身においては恋愛は原則自由ということになっています。
だから、つきあっている相手の人が他の人と性的関係を結んだとしても、原則として、損害賠償義務が生じることはない、ということになります。
Q: 江さんは、先ほど「原則として」とおっしゃいましたが、独身同士でも損害賠償義務が生じる場合があるのですか。
A: そうですね。
例えば、独身同士だけど、結婚の約束をしていた、すなわち婚約関係にあった場合ですね。
婚約は近いうちに夫婦になるという約束ですから、通常、お互いに貞操義務を守るという暗黙の同意があると考えられる場合が多いと思います。
ですから、相手方の浮気に対しては、損害賠償請求をすることができる場合が多いと思います。
また、婚約はしていなくて、単なる恋人同士だが、お互い浮気はしない、というような契約をしていた、キチンと契約書を作成していたような場合でしょうか。
こうした場合には、契約違反、すなわち、債務不履行ということで損害賠償義務が生じる余地もあると思われます。
Q: なるほど、独身だから無条件で賠償義務はないとまでは言えないのですね。
A: はい、そういうことです。
Q: さて、江さん、結婚していて相手方が浮気をすると、相手方や相手方の浮気相手に対して、慰謝料請求ができますよね。
その法律的な根拠はどういうことになりますか。
夫婦間では独身同士と異なり、貞操義務が法律で定められているということですかね。
A: 近いですが、正確ではありません。
実は、夫婦の貞操義務を定めた法律、直接の条文、はありません。
Q: 定められている条文はないのですか。
では、どうして夫婦に貞操義務があると言えるのですか。
A: はい、説明しましょう。
民法で規定されているのは、次の2つです。
一つは、離婚原因を定めた民法770条。この番組でも何回か説明したように、同条に定められている離婚原因は5つあるのですが、その一つに、「配偶者に不貞な行為があったとき」というものがあります。
これは、配偶者に不貞行為があったときは、離婚請求ができるということです。
もう一つは、重婚の禁止の規定です。日本は一夫一婦制をとっていますので、一人の人が、何人もの人と夫婦になることはできなくなっています。
こうした2つの法律の規定から、夫婦間には貞操義務があると一般的には考えられているわけです。
Q: なるほど、そういうことですか。
要するに、夫婦間においては、浮気をすれば、配偶者から離婚を請求されることがある、ということですね。
A: はい、そういうことです。
加えて、不貞行為により精神的ショックを受けたとして、相手方から慰謝料請求、言い換えれば、不法行為に基づく損害賠償請求を受けることがあるということです。
なお、夫婦関係がすでに破綻している場合には、婚姻共同生活の平和の維持という守るべきものがすでになくなっているので、不貞行為による損害賠償義務は生じません。
Q: よく分かりました。
ところで、江さん、さきほど、夫婦間の貞操義務は直接的には法律で定められていないと言われましたが、何か法律で定められた夫婦間の義務というものはあるのでしょうか。
A: はい、「同居、協力及び扶助の義務」というものがあります。
民法第752条です。
「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」と定められています。
Q: そうですか。
「同居」と「協力扶助」ですね。
良く分かりました。
A: 夫婦間の扶助義務について、一言付け加えます。
例えば、夫婦のどちらかが一緒に生活することに耐えられなくて家を出て別居した場合でも、収入が多い相手方に対して、生活費を請求することができるようになっています。
夫婦はお互い同程度の生活を保障し合わねばならないことになっているからです。
これを婚姻費用分担請求と言い、家庭裁判所に申し出ることにより、認められます。
以外と知らない人もいらっしゃるので、もし別居中で生活費に困っている人がいましたら、当事務所にご相談いただければと思います。
Q: そうですか。
心強いですね。
今日は、恋人に浮気された場合の慰謝料や夫婦の義務などについて、江さんに聞きました。
離婚や男女トラブルでお悩みの方は、地元広島の山下江法律事務所に、まずはお電話されてみてはいかがでしょうか?
フリーダイヤルをお伝えしておきます。
山下江法律事務所フリーダイヤルは 0120-7834-09 0120-7834-09
この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
江さん、今日はありがとうございました。
■次回のテーマ
「性格の不一致で離婚できますか?」について
2015/3/23 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)
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