コラム

 公開日: 2015-02-17 

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「未登記の土地を売られてしまった」

2015/2/16(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「買ったまま登記していなかった土地を別の人に売られてしまった」
所有権移転登記 相談 広島 弁護士

■買ったまま登記していなかった土地を別の人に売られてしまった

Q: 今月は、特に分野を限らず様々な法律問題について、みなさまから番組に寄せられましたお手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日も、よろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今週は、不動産に関するお悩みです。
 こちら、67歳の男性からのお便りです。

 「私は15年前に、Aさんから土地を購入しましたが、登記手続きをしないままでした。
 すると、Aさんがこの土地をBさんに売ってしまっていることが判明しました。
 慌ててAさんに連絡したら、Aさん曰く、私が土地を購入して未登記のまま10年以上経っているから、時効が成立しているとのこと。
 10年が経過すると、所有の権利がなくなるなんて、初めて聞きました。
 こんなことがあるのでしょうか?
 既に他の人の手に渡ってしまっているので、私にはもうどうすることもできないのでしょうか?」

というご質問です。
 これはビックリしますね。
 ひどい話ですが、こんなことって現実にあるんですね。
 この土地は、もう諦めないといけないのですか?

A: うーん、事情をもう少し聞かなければなりませんが、少なくとも、Aさんの行為は、相談者との関係では、横領罪ないし不動産侵奪罪に該当する可能性があります。

Q: 横領罪ですか・・・。
 もう少し説明していただけませんか。

A: はい、横領罪とは、「自己の占有する他人の物を横領する」犯罪です。この土地は相談者が購入したものですから、相談者の所有物です。
 登記がAさんのままになっていたことは、法律的にはAさんに占有があると評価されます。
 すると、Aさんの行為は、自分の占有する他人(相談者)の土地を勝手に処分したので、横領罪が成立することになるのです。

Q: そうですか。
 分かりました。
 もう一つの不動産侵奪罪…ですか?初めて聞きましたが、どのような罪なのでしょうか?

A: はい、不動産侵奪罪とは、・・・侵奪の侵は、侵略の侵です。奪は、奪うです。
 そう他人の不動産を侵略して奪う、というと分かりやすいですかね。
 この罪は刑法235条の2に規定があり、「他人の不動産を侵奪した者は、10年以下の懲役に処する。」としています。
 侵奪に該当する行為はいくつかあり、不動産について、他人の占有を排除したり、自らの占有を設定したりした場合です。
 今回の件が、相談者が占有していた土地に対し、Aさんがその占有を排除して、第三者に売ってしまったというような場合にはこの不動産侵奪罪が成立することになるのです。

Q: 今、説明のあった「他人の占有を排除したり…」という行為が侵奪に該当するということですね。
 ただ、この土地は登記をしていないということですから、相談者の土地だと証明することができませんよね?

A: いい質問ですね。
 土地などの不動産については登記制度があり、これが所有権を示す一つの証拠になることは間違いありません。
 しかし、登記があれば、所有権も登記している人にあるかというと、そうではないということです。

Q: そうなんですか。

A: はい。
 本件の場合には、その土地の所有権は、登記上所有権が誰と記載されているかに関わらず、相談者にあります。
 なぜなら、相談者のこの方が15年前にAさんから土地を購入しているからです。

Q: 登記手続きをしていなくても、購入した事実があれば良いということになるのでしょうか?

A: はい。
 登記上の所有権が誰か…ということではなく、購入者が誰かが明確になっていれば、その購入者がその土地の所有者であるということです。

Q: では、Aさんはどうして、相談者が土地を買ってから未登記のまま10年以上経っているから、時効が成立していて、相談者には所有の権利がない。なんて言うのでしょうかね?

A: これはきっと、Aさんが勘違いをしているか、もしくは、あまり考えたくありませんが、それを理由に納得させ、新たに利益を得ようとしていたのかもしれません。
 しかしながら、所有権の登記がないまま10年が過ぎると、所有権が時効で消滅するなんてことはありません。
 ただし、論理的には、Aさんが「所有の意志」を持って10年間占有すると、Aさんに土地の「時効取得」が成立することも一応ありえます。

Q: 土地の「時効取得」とは、どういうことですか?

A: 法律では「10年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する」と規定しています。
 ここで「善意」というのは、一他人のものであるということを知らないことです。
 すなわち、今回の場合だと、Aさんがこの土地を所有の意思をもって10年間平穏かつ公然と占有していた場合は、時効取得も一応考えられます。
 しかし、今回のご相談内容では、Aさんはこの土地を相談者に売っているという事実がありますから、Aさんが土地を自分のものと思うわけがないので、Aさんには「所有の意志」があるとは言えず、時効は成立しないということになります。

Q: なるほど、よくわかりました。
 しかし、それならどうして登記というものが存在するのでしょうか?

A: 登記というのは取引の安全を図るための公示制度の一つで、土地を取得した人が登記して備えていれば、第三者に対抗できるという効果があります。
 不動産取引や融資などの実務においては、不動産登記がないと全てが円滑に進まず、大変なことになるからなんです。

Q: 登記に載っている所有者は、必ずしも所有権を持っている人というわけではないということなんですね。

A: そういうことです。
 不動産の所有権が現在の登記名義人から他人に承継された場合、第三者に対抗するためには、原則として、所有権移転登記が必要となります。
 こうして、その土地や建物が誰から誰へ移っている、ということが分かるようになっているのです。

Q: 相談者は、Aさんによってこの土地を他の人に売られてしまった。
 さぁ、江さん、今後、相談者のこの方は、これからどうしたらいいのでしょうか?

A: まず土地の所有権ですが、同じ土地を購入した方Bさんが、すでに所有権移転登記をしてしまっていれば、第三者(相談者)に対抗できるので、Bさんが所有権を取得することになります。
 この場合は残念ながら相談者が土地を取得することはできません。
 しかし、本来なら相談者の土地であるわけですから、15年前にAさんから購入した事実を提示し、被った損害について、Aさんに損害賠償請求をすることができます。
 それだけではなく、刑事告訴も可能となります。

Q: 同じ土地を二重に売って利益を得ようとしているわけですからね。
 きちんとその罪を償ってもらわなければいけませんよね。ただ、このような話になると、素人ではもろもろの手続きすら大変な労力になるはずです。
 このような場合はやはり、法律のプロ、弁護士に頼った方がいいですよね?

A: そうですね、不動産の権利トラブルは、意外と複雑なんですね。
 ですから、困った時は是非、弁護士に相談していただけるといいですね。

Q: わかりました。
 ではここで地元広島の山下江法律事務所相談予約のフリーダイヤルをお伝えしておきましょうね。
山下江法律事務所フリーダイヤルは 0120-7834-09 0120-7834-09 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 今日は、「買ったまま登記していなかった土地を別の人に売られてしまった」というお悩みについて、お答えいただきました。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ
「友人がお金を返してくれません」について
2015/2/23 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■不動産トラブル専門サイト「解決事例」

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TEL:0120-7834-09

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