コラム

 公開日: 2015-02-06  最終更新日: 2016-02-18

弁護士コラムvol.92 「亡くなった親の介護をしていた相続人は通常より多くの・・・」 久井春樹

山下江法律事務所 弁護士 久井春樹

亡くなった親の介護をしていた相続人は通常より多くの遺産を取得することが出来るのか

 兄弟がいる中で、例えば長男が高齢の親と同居し、1人介護をするといったことはそう珍しくないでしょう。その親が亡くなった場合ですが、親の遺産は、兄弟間では均等の割合で相続することが原則です。しかし、ここでもし長男が、「自分は1人で親の介護をしてきたのだから、兄弟より多くの遺産を受け取れるはずだ」と主張した場合、その主張は法的に認められるのでしょうか(介護は無償で行われていることを前提にしています。)。
 長男のこうした主張が認められるためには、まず長男が行ってきた介護が、「特別の寄与」であると評価される必要があります(なお、この「特別の寄与」をしたことにより、増える相続分を「寄与分」と言います。)。「特別」という文言からも想像いただけると思いますが、介護が、子どもだったらそれくらいのことは普通するでしょうという程度に収まる限りは、「特別の寄与」とは認められません。例えば、食事や歩行を援助するといった程度では、中々「特別の寄与」とまでは認められないでしょう。親が日常生活における意思決定などが困難な状態で、衣服の着脱やトイレにも援助を要するような場合に献身的に介護をしてきたといった事情まであれば、「特別の寄与」があったと認められる余地が出てくるかと思われます。
 また、長男の主張が認められるためには、介護が「特別の寄与」と認められるほか、介護をすることで親の財産が維持または増加したと評価される必要があります。例えば本ケースでは、本来は費用を支出してヘルパーを雇わなければならなかったところ、長男が介護したことによってヘルパーを雇わずに済み、結果、親の財産を減らさずに維持することが出来た、といった事情が認められなければなりません。
 この介護に絡む「寄与分」の問題は、ここに挙げたほかにも難しい法的問題をはらんでいます。本ケースのような事態に陥ってお悩みの場合は、一度専門家に相談することをお勧め致します。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 久井春樹 (広島弁護士会所属)

弁護士・久井春樹のプロフィール

■相続専門サイト「特別受益と寄与分の問題」 

■弁護士コラムバックナンバー【相続】
・vol.89 「相続税制の改正」 松浦亮介 2014/12/26
・vol.83 「遺言無効確認訴訟」 山口卓 2014/10/3
・vol.71 「成年後見制度とは何ですか?」 新名内沙織 2014/7/18
・vol.71 「これからの信託」 加藤泰 2014/4/4
・vol.70 「将来認知症等になった場合に備える任意後見契約」 笠原輔 2014/3/20 
・vol.66 「エンディングノート」 副所長 田中 伸  2014/1/24
・vol.59 「非嫡出子の相続分」 城 昌志 2013/9/27 
・vol.58 「嫡出でない子」 齋村美由紀 2013/9/13
・vol.52 「相続(その4)」 副所長 田中伸 2013.6.21
・vol.46 「相続でトラブルになりやすいケースについて」 蔦尾健太郎 2013.3.22
・vol.43 「ペットに財産を残せるか」 山本淳哲 2013.2.8 
・vol.41 「身近な人の判断能力に衰えを感じたら」 片島由賀 2013.1.11
・vol.38 「遺産分割の対象となる財産の範囲」 山口卓 2012.11.22
・vol.35 「相続(その3)」 副所長 田中伸 2012.10.12 
・vol.28 「遺産相続でもめた場合には」 城昌志 2012.7.6 
・vol.26 「遺言書の方式」 山本淳哲 2012.6.8 
・vol.19 「成年後見制度について」 山口卓 2012.3.2
・vol.16 「相続(その2)」 副所長 田中伸 2012.1.20
・vol.9 「遺産相続でもめないために」 齋村美由紀 2011.10.7
・vol.1 「相続」 副所長 田中伸 2011.6.17
 
弁護士コラム一覧

この記事を書いたプロ

山下江法律事務所 [ホームページ]

弁護士 山下江

広島県広島市中区上八丁堀4-27 上八丁堀ビル703 [地図]
TEL:0120-7834-09

このコラムを読んでよかったと思ったら、クリックしてください。

「よかった」ボタンをクリックして、あなたがいいと思ったコラムを評価しましょう。

3

こちらの関連するコラムもお読みください。

<< 前のコラム 次のコラム >>
最近投稿されたコラムを読む
お客様の声

交通事故の解決事例をマンガで紹介しています山下江法律事務所 交通事故専門サイトトップページ ↓↓↓http://www.hiroshima-jiko.com/■その他の事例もご参照くだ...

相談料

無料相談について、詳しくはこちら↓をご覧下さい。■交通事故専門サイト■借金問題専門サイト相談予約専用フリーダイヤル0120-783409 (なやみよま...

 
このプロの紹介記事
山下江 やましたこう

依頼者に笑顔になってもらうために、全力を尽くします。(1/3)

 ドアを開けると、ずらりとスタッフの並ぶカウンター。案内された部屋で待っていたのは穏やかに微笑む山下江さん。まるで大病院の受付みたいですねと感想を伝えると、「そうですか? ハハハハ」と楽しげに笑う山下さん。山下江事務所は、弁護士15人・秘...

山下江プロに相談してみよう!

中国新聞社 マイベストプロ

「親切な相談」「適切な解決」これが私たちのモットーです。

事務所名 : 山下江法律事務所
住所 : 広島県広島市中区上八丁堀4-27 上八丁堀ビル703 [地図]
TEL : 0120-7834-09

プロへのお問い合わせ

マイベストプロを見たと言うとスムーズです

0120-7834-09

勧誘を目的とした営業行為の上記電話番号によるお問合せはお断りしております。

山下江(やましたこう)

山下江法律事務所

アクセスマップ

プロのおすすめコラム
広島の弁護士・江さんのお知らせ「空き家、相続・贈与税対策 無料セミナー」
イメージ

専門家が教える<不動産>のアレコレが満載!マエダハウジング不動産と山下江法律事務所が共同開催する、今年...

[ お知らせ ]

広島の弁護士・江さんの『「卍(まんじ)じゃね」 ?!?!』ほか
イメージ

 「卍(まんじ)じゃね」 ?!?! 昨日(30日)朝の「めざましテレビ」(フジテレビ)で、女子高生流行語...

[ ブログ ]

相続アドバイザーの「平成27事務年度における相続税の調査の状況」ほか
イメージ

 弾丸トラベル国内篇 こんにちは。相続アドバイザーブログ、月曜日担当の山口亜由美です。先週末は、大移動...

[ 相続アドバイザー ]

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「個人再生なら家を残せますか?」
イメージ

2016/11/28(月)13:30~FMちゅーピー(76.6MHz)「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、OA内容をお...

[ 法律相談 ]

広島の弁護士・江さんの『企業法務セミナーで「金コイン」プレゼント(堤田貴金属工業株式会社様』ほか
イメージ

 企業法務セミナーで「金コイン」プレゼント(堤田貴金属工業株式会社様提 11月25日(金)夜、当事務所横...

[ ブログ ]

コラム一覧を見る

スマホで見る

モバイルQRコード このプロの紹介ページはスマートフォンでもご覧いただけます。 バーコード読み取り機能で、左の二次元バーコードを読み取ってください。

ページの先頭へ