コラム

2015-02-03

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「内定取消が有効となる場合」

2015/2/2(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「内定取消が有効となる場合」
内定取消 広島 相談 弁護士

■内定取消が有効となる場合

Q: 今月は、特に分野を限らず様々な法律問題について、みなさまから番組に寄せられましたお手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日も、よろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今日は、51歳女性からのご相談です。

 「昨年でしたか、某テレビ局のアナウンサーとして内定通知を受けていた女性が接客業をしていたことが明らかになったとして採用内定を取り消されたが、これを不服として裁判を起こしたことが話題になっていましたよね。
 私の娘も今年の4月から勤務と言うことで、内定をいただいています。
 今回の内定取消をめぐる裁判のニュースを聞くと、うちの娘にもそのようなことが起こらないか心配です。
 内定取消というのは、どのような場合に有効となるのか、教えて欲しくてメールしました。
 よろしくお願いします。」

 江さん、この女性の方、内定を受けている娘さんこともあり、内定取消が有効となる場合は、どういった場合かというご質問のようですね。

A: そのようですね。
 内定取消のことに触れる前に、「採用内定」とは、法律的にどういうことかをまず、ご説明しましょう。
 結論から言うと、ちょっと難解な表現になりますが、採用内定とは、「解約権留保付き、就労始期付き労働契約」が成立した、ということになります。

Q: 「解約権留保付き」「就労始期付き」ですか・・・

A: そうです。
 そのことの説明の前に内定も契約ですので、契約一般について説明します。
 契約というのは、申込みと承諾によって成立します。
 例えば、1個100円のパンを売っていたとします。
 購入者が「そのパンをください」というのが「申込み」であり、販売者が「分かりました」というのが「承諾」ということになり、ここに100円のパン1個の売買契約が成立したことになります。

Q: なるほど、分かり易いですね。
 要するに、契約は申込みと承諾により成立するということですね。

A: はい、そういうことです。
 今回の内定に当てはめますと、会社による従業員募集に対して、これに応え応募したり、採用試験を受けることが、先ほど申し上げた契約の「申込み」に該当します。
 これに対して、会社が採用通知を発することが「承諾」となります。
 これにより、会社と応募した人との間に、労働契約という一つの契約が成立したことになります。

Q: なるほど、採用内定というのは、申込みと承諾による労働契約の成立なのですね。

A: はい、そういうことです。
 ここで気をつけなければならないのは「内定」という言葉からくるイメージです。
 内々の採用決定だから正式な契約では無く、取り消しがしやすいと思われがちということです。
 この認識はまったく間違っており、内定は、完全な契約の成立を意味していることを認識する必要があるのです。

Q: なるほど、完全な契約の成立ということですね。

A: はい、ここをキチンと押さえておく必要があるということです。
 その上でですが、冒頭で述べました「解約権留保付き」「労働始期付き」を説明しましょうかね。

Q: はい、お願いします。

A: 分かりやすい「労働始期付き」の方から説明しますね。
 これは、4月から勤務というように、契約成立即労働ではなく、労働の始期が付いていることです。

Q: これは分かりやすいですね。

A: はい、次に、「解約権留保付き」の意味です。
 これは、予定通り大学や高校を卒業できなかったり、内定通知や誓約書に記載されている内定取消事由に該当することがあれば、会社側は労働契約を解約できるという権利が留保されている、ということです。

Q: 内定通知書や誓約書に記載されている内定取消事由とはどんなものがあるのでしょうか。

A: はい、学校を卒業できなかったとか、健康を著しく害したとか、逮捕・起訴されたとか、あるいは、履歴書や面接内容に重大な虚偽があったとかですかね。

Q: こうした「内定取消事由」に該当するようなことがあれば、無条件に内定取消は有効となるのでしょうか。

A: 内定取消事由に該当すれば、多くの場合で内定取消が有効となると思われますが、必ずしもそうではない、というのが判例の立場です。
 裁判例では、内定取消が有効となる要件として、次のように述べています。
 「留保解約権の行使(内定取消)は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当な場合に是認できる。」

Q: 長い文章ですね(^_^;)

A: 判例の文章を分解しましょうかね。
 内定取消が認められるのは、まず、採用内定当時知ることができず、または知ることが期待できないような事実を理由としなければなりません。
 すなわち、内定当時会社が当該事実を知っていた場合には、すでにそれを前提にして内定通知を出したのですから、後にこれを理由に取り消すことはできない、ということです。
 次に、内定当時知らなかった、あるいは知ることが期待できなかった事実が、後に分かった場合でも、内定を取り消すことが客観的に合理的で、社会通念上相当な場合でなければならない、ということです。

Q: なるほど、内定取消の有効性の判断については、会社が事実を予め知っていたか、社会通念上相当かという、2つの観点から判断が必要なのですね。

A: はい、そういうことです。

Q: 内定取消事由に該当したが、内定取消が無効とされた例はありますか。

A: はい、一つ紹介しましょう。
 朝鮮籍の方が履歴書に日本国籍と偽って記載していた場合に、これをもって内定取消とするのは社会通念上認められないとして、内定取消を無効と判断した裁判例があります。
 ちなみに、某テレビ局の内定取消の件では、先月裁判で和解が成立し、内定者は予定通り就労できるようになったようですね。

Q: ありがとうございました。
 ところで、逆に、内定通知を受けた人についてですが、これも同様に、内定辞退(労働契約解約)をすることに制限があるのでしょうか。

A: これに関しては、民法に「雇用は、解約申し入れの日から2週間を経過することによって終了する」との規定があります。
 ですから、内定辞退についても、とくに理由などは必要では無く、2週間の期間をおけば有効ということになります。
 ただし、あまりに突然の内定辞退で、そのことにより会社に具体的な損害を与えるような場合には、損害賠償責任が発生する場合がありますので、注意が必要です。

Q: 内定を辞退する方は、理由など必要は無く、割と自由にできるということですね。

A: はい、そういうことです。

Q: 今日は、内定取消及び内定辞退について、江さんに教えて頂きました。
 内定取消や内定辞退、あるは、労使関係についてお悩みの方は、地元広島の山下江法律事務所に、まずはお電話されてみてはいかがでしょうか?
 フリーダイヤルをお伝えしておきます。
 山下江法律事務所フリーダイヤルは 0120-7834-09 0120-7834-09 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ
「隣の家からの落雪に迷惑している」について
2015/2/9 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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