コラム

2015-01-09

弁護士コラムvol.90 「借家からの立ち退きを求められた場合に」 粟井良祐

山下江法律事務所 弁護士 粟井良祐

借家からの立ち退きを求められた場合に

 マンションやアパートの一室を借りて,住んでいる方は多いと思います。ある日突然,家主から「契約を解約したい。半年後には出ていって欲しい。」と言われた場合に,出ていく必要があるのか。自分や,周りの人が,このような事態に直面したことのある方も少なからずいるかと思います。このように解約を求められた場合に退去する必要があるのでしょうか。

 一般的に建物を借りる際には,建物の賃貸借契約の契約書を作成します。賃貸借契約では,「賃料」「期間」「解約の方法」「修繕の方法」等が定められています。家主から契約の解除を言われる場合には,契約書に記載してある「解約の方法」に則って行われることが多いです。

 「解約の方法」として,「家主は契約を解約するときは,借主に対して6か月前に申入れをしなければならない。」と契約書に記載されていることが多いです。家主はこの規定に従って,「半年後に出ていって欲しい。」と言ってくるのです。契約書は,家主と借主が合意して作成するものですから,契約書に書いてあることに従う必要があるように思えます。確かに,法律の世界では,自分の意思に基づいて約束をした場合には,その約束に拘束されるのが原則です。私的自治の原則と呼ばれるものです。

 しかし,建物の賃貸借について,契約を自由に結ばせるようにした場合には,衣食住という生活の基本の内の住居について,借主が不動産を持っている家主より著しく不利な立場にあり,借主の地位がひどく不安定になってしまいます。そこで,借地借家法が,賃貸借契約の中身に一定の制限を設けています。
解約については,6か月前に解約を申し入れる必要がある旨を記載するとともに,その申入れをする際には,解約の申入れに「正当の事由」が必要であると規定されています(借地借家法28条)。したがって,契約書の中身が6か月前に解約の申入れをしてもよいとなっていても,法律による制限があるため,申入れに合わせて「正当の事由」が説明されていなければいけません。

 それでは,どういう場合に「正当の事由」が認められるかですが,考慮要素として,賃貸人が建物を使用する必要性,建物の賃貸借に関する従前の経過,建物の利用状況,建物の現況,明渡の条件として財産上の給付を申出たか否か,が挙げられています。

 例えば,建物の現況が,倒壊する恐れがある場合などには,所有者として建物の管理の責任を問われることもあるので,正当の事由があるようにも思えます。しかし,上にあげた事情を総合考慮するので,その事実のみで認められるわけではありません。明渡の条件として財産上の給付の申し出があればより認められやすくはなるでしょう。どのような場合に,正当の事由が認められるかは,個々の事例の判断になります。

 どのような場合に,正当の事由があり出ていく必要があるのか疑問に思った場合は,弁護士に相談してください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 粟井良祐 (広島弁護士会所属)

弁護士・粟井良祐のプロフィール

■山下江法律事務所「建物の明け渡し請求・立ち退き」 

■弁護士コラムバックナンバー【不動産】
・vol.54 「家賃滞納で困っています。」 稲垣洋之 2013.7.19
・vol.53 「建物を人に貸すときに注意すること」 柴橋修 2013.7.5
・vol.3 「不動産の二重譲渡と登記」 稲垣洋之 2011.7.15
・vol.2 「不動産賃貸借トラブル」 柴橋修 2011.7.1

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