コラム

2014-12-26

弁護士コラムvol.89 「相続税制の改正」 松浦亮介

山下江法律事務所 弁護士 松浦亮介

相続税制の改正

 平成26年も残すところ1週間足らずとなりました。新年から変わるものの一つに相続税制があります。
 平成27年1月1日以降の相続については,①基礎控除額の引き下げ(相続税法15条),②最高税率の引き上げ(同16条),③未成年者控除等の税額控除額の引き上げ(同19条の3,19条の4),④小規模宅地等特例の対象となる宅地等の面積拡大(租税特別措置法69条の4)などの点で今年の末までの相続と変更があります。①②については相続税の納税義務者・納税額の拡大に作用し,③④は縮小に作用しますので,一概に増税とは言えませんが,特に①は全ての相続に適用される基礎控除額の引き下げであるため,影響は無視できないものがあります。
 「基礎控除額」というのは,簡単にいうと遺産のうち相続税の対象から外される額のことで,基礎控除額よりも遺産の総額が小さければ相続税はかかりません。その基礎控除額が小さくなるということは,今までであれば相続税がかからなかったケースでも相続税がかかる場合が出てくる,ということです。
 このことを,6000万円相当の遺産を有するAさんに,配偶者B,子C,子Dの3人の法定相続人がいるという例で簡単にみてみます。

・ケース1 これまで(平成26年12月31日まで)
 今年末までの相続に適用される基礎控除額は「5000万円+法定相続人の数✕1000万円」でした。したがって,平成26年12月10日にAさんが亡くなった場合は,Aさんの相続における基礎控除額は8000万円(=5000万円+法定相続人3人✕1000万円)となり,Aさんの遺産の方が小さいため,B~Dには相続税がかかりません。

・ケース2 これから(平成27年1月1日以降)
 ところが,来年からの相続に適用される基礎控除額は「3000万円+法定相続人の数✕600万円」に引き下げられます。そのため,Aさんが亡くなったのが平成27年1月10日の場合は,Aさんの相続に適用される基礎控除額は4800万円(=3000万円+法定相続人3人✕600万円)となり,遺産の方が1200万円大きいため,B~Dには相続税の納税義務が生じる可能性が出てきます。

 ケース2で「納税義務が生じる可能性」という言い方になるのは,実際に相続税がかかるかどうかは基礎控除額のみで決まるわけではなく,配偶者控除や小規模宅地等特例などの納税者に有利な制度の適用を受けるなどすれば最終的には納税義務はないケースも多いと思われるからです。しかし,そのようなケースであっても,これらの制度の適用を受けるためにはその旨記載した相続税の申告をしなければなりません(相続税法19条の2第3項,租税特別措置法69条の4第6項)。この意味で,上記のケースでのBらは今までであれば遺産が基礎控除額を下回ることを確認するのみでよかったのに(上記ケース1),今後は,税務申告という不慣れな作業に無関心ではいられなくなりますので,ご注意ください。

 当事務所では,相続関係にも力を入れており,相続税がらみの案件についても提携先の税理士事務所等と連携して対応可能ですので,判断に困ることがあれば一度ご相談ください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 松浦亮介 (広島弁護士会所属)

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