「相続」と「企業法務」を得意とする法律のプロ
コラム
公開日: 2014-11-04
広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「アパートの部屋の一部損壊と家賃」
2014/11/5(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「アパートの部屋の一部損壊と家賃」
■アパートの部屋の一部損壊と家賃
Q: 今月は、「広島土砂災害と企業法務」をテーマに、番組に寄せられましたお手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
江さん、今日も、よろしくお願いします。
A: はい、よろしくお願いします。
Q: そんな中、土砂災害関係で、61歳の男性から、このようなメールが来ましたので紹介します。
「私は、山と緑が好きで、約20年前から安佐南区の山裾のアパートを借りて住んでいます。
この度の土砂災害ではこのアパートが土砂に流されて全壊するということはなかったのですが、私が借りている部屋の一つ、寝室に使っていた部屋に土砂が流れ込み、使えなくなりました。
いずれは修復するとは思うのですが、使えなくなってる期間について、大家さんに家賃の減額を請求することはできるのでしょうか。
また、この際、もう少し安全な近くのアパートに引っ越ししようかとも思っているのですが、一部が使えなくなったことを理由に、賃貸借契約を解約することはできるのでしょうか。
解約できた場合に、このような災害の場合でも、入居時に大家さんに支払った敷金は戻ってくるのでしょうか。」
という内容です。
江さん、まず、家賃の減額請求についてですが、これはできるのでしょうか。
A: はい、原則としてできると思います。
Q: そうですよね。
常識的に考えても、私もそう思います。
A: そのとおりですが、その理由、法的な根拠を説明しましょうかね。
Q: はい、お願いします。
A: 部屋を借りること、これを法律上、建物賃貸借契約といいます。
この建物賃貸借契約において(大家さんのことですが)は、賃貸人は、賃借人(借り主のことですが)に対して、対象物件について、当初の建物賃貸借契約書記載どおりの完全な利用を提供する義務があります。
一部の部屋が使えなくなったと言うことは、賃貸人、大家さんが、その義務の一部を履行していないことになります。
ですから、その履行していない部分についての賃料相当額の減額が可能となる、ということになります。
Q: なるほど、大家さんは完全な部屋を提供しなければならないのに、その一部の提供ができなくなったので、その部分については減額される、ということですね。
A: はい、そのとおりです。
Q: 相談者の次の質問ですが、流れ込んだ土砂によって一部の部屋が一時使えなくなったことを理由にして、部屋の賃貸借契約を解約できるか、ということですが、どうでしょうか。
A: これは、ケースバイケースということになると思われます。
Q: ケースバイケースですか。
具体的にはどういうことでしょう?
A: はい、使えなくなった部屋の破損の程度やその部屋の修復が可能かどうかによって異なると思います。
破損の程度がさほど大きくなく、修復が比較的容易に早急にできるような場合には、これを理由にしての賃貸借契約の解約はできないのではと思います。
この場合には、大家さんによる修繕義務の問題が発生するだけであり、解約理由にはなりにくいと思われるからです。
Q: では、解約できる場合というのは、どういう場合ですか?
A: 部屋の破損の程度が大きく、修復が不可能な場合や、修復はできても長時間を要し、賃借人の生活に大きく支障をきたすような場合には、解約はできると思います。
こうした場合には、大家さんのさきほど述べた義務、賃貸人として当初契約書記載通りの完全な物件を提供すること、そうした義務の履行がもはや不可能となっているからです。
Q: なるほど、大家さんが賃貸人としてのその義務をもはや果たせなくなっている場合には、借りている人は解約できるということですね。
A: そういうことです。
Q: 相談者の方の場合に、今までに江さんにお聞きした解約理由に該当しないような場合には、解約はできないのでしょうか。
A: そうですね。
土砂災害を理由にしての解約はできないということになります。
が、通常の賃貸借契約書には、一定の予告期間や同期間の賃料相当額を支払えば解約できるという条項が入っています。
その期間は、1か月のものがあったり、3か月、6か月などがあると思います。
ですから、賃貸借契約書に記載された予告期間の賃料相当額を支払えば、すぐにでも解約して転居できることになります。
Q: なるほど、そういう方法もあるのですね。
相談者の最後の質問ですが、こうした災害の場合にでも賃貸借契約を解約して出ていく場合、入居時に大家さんに納めた敷金は返ってくるのでしょうか。
A: 結論からいいますと、敷金は返ってくる、ということです。
Q: 敷金は返ってくるのですね。
A: はい、そうです。
敷金というのは、借り主の家賃の未払いや退去時の修繕費用などを担保するために、借り主が貸し主に預ける金額です。
未払いや修繕などの必要が無い場合は、全額返ってくるのが原則です。
Q: 土砂災害が原因で修繕が必要となった場合でも、その費用は、返還時に敷金から差し引かれるのですか。
A: いえいえ、そんなことはありません。
ここにいう「修繕」は、借り主の使用時の責任によって修繕が必要となった場合ということであり、借り主に何の責任もないのに、敷金から修繕費用を差し引かれるということはありません。
Q: そうですか。
相談者の方も安心ですね。
A: はい。
土砂災害に伴う建物賃貸借契約を巡る不安や争いがありましたら、やはり、法律の専門家である弁護士に、そう、地元広島の当事務所にご連絡いただければと思います。
Q: そうですね。
どうぞ、ひとりで悩まず、地元広島の山下江法律事務所に、まずはご相談されてみてはいかがでしょうか?
フリーダイヤルをお伝えしておきます。
山下江法律事務所フリーダイヤルは 0120-7834-09 0120-7834-09 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
今日は、土砂災害によってアパートの一部の部屋が毀損した場合の賃料減額や解約、敷金の問題などについて、江さんに教えていただきました。
江さん、ありがとうございました。
■次回のテーマ
「土砂災害、住宅ローンはどうなる?」について
2014/11/10 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)
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