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コラム
公開日: 2014-05-20 最終更新日: 2014-07-04
広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「身元保証人の責任は?」
2014/5/19(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「身元保証人の責任は?」
■身元保証人の責任は?
Q: 今月も、番組に寄せられましたお手紙やメールから、いろいろなご相談について法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
江さん、本日もよろしくお願いします。
今日は、50歳、男性からのご相談です。
「先日、ある会社から採用内定を受けた兄弟の子ども、甥から連絡があり、就職する会社に提出する身元保証人になってくれるように頼まれました。
保証人になってもいいのですが、身元保証人がどのような責任を負うのかわからず、不安です。
私が子どものころは、近所の家で身元保証人になったばっかりに、借金の肩代わりをさせられ家や土地を失ったとの噂話があり、死んだ祖父なども「保証人にだけはなるものではない」とよく言っていました。
私もそんなことを自分が頼まれるなど夢にも思いませんでしたが、さてかわいい甥っ子のために頼まれれば保証人を引き受けてもやりたいのですが、そんな身元保証人の責任とは、どのようなものなのでしょうか。」
という質問をいただきました。
A: はい、よろしくお願いします。
保証人と一言で言ってもいろんな形がありますが、このご質問の場合は甥子さんの就職の際の「身元保証人」ということで、労働問題としての身元保証人ということで、法律的にお話ししたいと思います。
Q: そうですね。
そもそも就職の際の身元保証人というのは、どの会社でも必要なのでしょうか?
A: そうですね。
必要でない会社もありますが、日本の慣行として就職の際、身元保証書に身元保証人を指定する必要がある場合が多いようです。
ただし就職に際して、身元保証人を必要とするという制度は、法律によって規定されているものではないため入社に当たって拒否しても良いわけですが、これを理由に企業側が入社を拒んでも、これも違法とはならず、実際に入社できなかったケースもあります。
Q: 実際、身元保証人は何を保証するのですか?
A: はい。
採用する会社の側、いわゆる使用者が労働者を雇って使用する際に、例えば、労働者の使い込みなどにより使用者が損害を被る場合に備えて、親戚や知人などに、その損害を補填するように約束させておくことは、広く行われています。
このように、雇用契約に伴って使用者が労働者によって受ける損害を第三者に担保させることを身元保証といいます。
Q: 身元保証人になると責任が重いですよね。
A: 雇用契約に伴う身元保証については、保証人が不当に重い責任を負うことのないように、昭和8年に定められた「身元保証ニ関スル法律」(略して「身元保証法」といいます。)に規定が置かれています。
Q: 昭和8年に定められた法律ですか。
A: そうなんです。
また、この「身元保証ニ関スル法律」は、全て強行規定である為、この法律の定めに違反する当事者間の特約は全て無効になってしまいますのでご注意下さい。
まあそれくらい強い規定なんですね。
Q: なるほど。
その身元保証法では、保証人の責任についてはどう規定されていますか?
A: はい。
身元保証法の規定では、その第一条・第二条に、期間の定めのない身元保証契約の存続期間は原則として3年となり、期間を定める場合でも5年を超えることはできないと規定しています。
また契約を更新することはできますが、その場合でも更新期間は5年を超えることはできないとしています。
Q: なるほど。
保証人の責任期間は最長で5年間ということですね。
A: そうですね。
しかも、労働者に業務上不適任や不誠実な事柄があって身元保証人の責任が発生しそうなときや、労働者の任務や任地を変更したために身元保証人の責任が重くなったり、労働者の監督が困難となったときは、には、遅滞なく身元保証人に通知しなければならないとしています。
また身元保証人がこの通知を受け取ったり、身元保証人自身がこのような事実があることを知ったときは、将来に向けて身元保証契約を解除することができるとしています。
さらに、労働者の監督に関しての使用者側の過失の有無、身元保証人が保証をするに至った事由や払った注意の程度、労働者の任務や身上の変化など、一切の事情を考慮した上で、身元保証人の損害賠償の責任やその額について裁判所が判断するという規定もあり、身元保証人が、労働者の行為による使用者の損害について、その全額を賠償しなければならないというものではなく、身元保証人の責任の軽減が図られています。
Q: つまり、身元保証法によって、身元保証人が不当に重い責任を背負うことのないよう、配慮されているということですね。
いやあ、ご相談の方も今のお話を聞かれたら安心されるんではないでしょうか。
A: どうぞ、法律の専門家である弁護士にお気軽にご相談ください。
Q: ひとりで悩まず、地元広島の山下江法律事務所に、まずはご相談されてみてはいかがでしょうか?
フリーダイヤルをお伝えしておきます。
山下江法律事務所フリーダイヤルは 0120-7834-09 0120-7834-09 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
今日は、就職の際の身元保証人の責任の範囲などについて、くわしく教えていただきました。
■次回のテーマ
「息子が5月病に・・・。」について
2014/5/26 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)
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