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コラム
公開日: 2014-02-10 最終更新日: 2014-07-04
弁護士・江さんの何でも法律相談「別居中の夫から生活費をもらいたいが・・・。」
2014/2/10(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「別居中の夫から生活費をもらいたいが・・・。」
■別居中の夫から生活費をもらいたいが・・・。
Q: 今月は、「離婚・男女トラブル」をテーマにご相談を受け付けております。
相談のメールをご紹介します。
今日のご相談は42歳の女性の方からです。
「現在、夫と離婚に向けての話し合いをしており、昨年4月より子どもをつれて実家に帰り、別居しています。
結婚を機に勤めていた会社を辞めて専業主婦になっていましたので、現在近所のスーパーマーケットでパートタイムで働いていますが、子育てにもお金がかかり、生活に全く余裕の無い状況です。
離婚について友達に相談していた際、別居していても夫婦である以上は、夫から生活費がもらえる。ということを教えてもらいました。
このことについて、もっと詳しく教えていただければと思いメールを送ります。
よろしくお願い致します。」
という内容です。
江さん、離婚に向けた別居の際にも、生活費が受け取れる、または支払わなければならないということが、あるのでしょうか?
A: そうですね。
このお友達が教えてくれたことは正解です。
民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」と書かれています。
「婚姻から生じる費用」とは、婚姻中の衣食住に関する費用や、子どもの教育費など夫婦が生活していくのに必要なお金をいいます。
夫婦は「婚姻から生じる費用を分担する義務」があり、婚姻関係にある限りは、お互い同程度の生活を営む権利を持っており、収入の少ない方が、多い方に対し、双方が同程度の生活を営むことのできる限度で金銭を請求できるということです。
Q: 夫婦関係が破綻していてもですか?
A: はい。
離婚するまでは、婚姻費用を収入に応じて負担し、繰り返しになりますが、双方が同じレベルの生活を続けていけるように助け合う「生活保持義務」があるわけです。
Q: 義務ということは、拒絶したり、渡さないなんてことはあってはならないことという風に考えていいのですか?
A: 原則として、そのとおりです。
ただ、実際に別居に至ってしまうと、多くの人が相手の生活費まで払えない、と、支払いを拒絶するケースが多いのも事実です。
しかし、たとえ別居をしていたとしても、離婚が成立していない限り、婚姻中であることに変わりはないので、婚姻費用の分担義務は避けられません。
Q: 今回の相談者の方は、専業主婦をしていて、別居後パートタイマーで働いているということですので、婚姻費用は請求できると思いますが、夫婦共に働いていて収入も大きく差がない場合は、どうなるのでしょうか?
それでも、夫が妻に支払うことになるのですか?
A: 婚姻費用の分担は、お互いの収入によりますので、例えば妻が十分に生活できるほどの収入があり、夫と同程度の生活水準を保持できるのであれば夫に対しては請求できない場合もあります。
そして、常に妻が夫に対してということではなく、妻の方が収入が多い場合は、夫が妻に対して婚姻費用を請求できる場合もあります。
また、その他に、婚姻費用の請求が認められないケースがありますので、ここで紹介しておきましょう。
例えば正当な理由もなく、一方的に説明もなしに別居を強行した上、相手の同居請求を無視して、夫婦関係の回復に努力しない場合は、婚姻費用の請求はできないとされています。
あと「自分が不倫相手と勝手に出て行って一緒に暮らし始めた」場合です。
なぜなら別居になった原因は、自分にあるからです。
Q: それはそうでないと不公平ですよね。
自分に非があるのにもかかわらず、生活費を請求するのはムシがよすぎますよね。
A: ただし、このような場合であっても、請求者が子どもを育てていれば、その子どもの生活費分は請求できることもあります。
Q: 離婚する、しないという親同士の問題がどうであれ、子どもは親と同レベルの生活を保証される権利がある。ということですか?
A: そういうことです。
今回の相談者は、現在家計を助けるためのパート勤めをされている、ということですから、「夫婦間の協力扶助義務や婚姻費用分担義務」により、旦那さんに対して別居中の生活費を請求できることになるでしょうね。
Q: よかったですね。
実際、婚姻分担費用の相場、なんてあるのでしょうか?
A: それぞれの家庭状況によって異なりますので、金額もまちまちですが、家庭裁判所が行う、客観的で合理的な婚姻費用の分担額算定基準などがあります。
詳しくは法律の専門家である弁護士にご相談下さい。
Q: 一応の基準があるということですが、その基準のとおりに夫に請求しても、夫が応じない場合はどうすれば良いのでしょうか。
A: はい、その場合には、家庭裁判所に、婚姻費用分担請求の申立をすることになります。
その場でも話し合いが行われますが、どうしても折り合いが付かない場合は、家庭裁判所は、双方の収入や生活状況などを考慮して、相手方が申立人に支払うべき婚姻費用の金額を決定することになります。
Q: やはり、最後は裁判所なのですね。
A: はい、そのとおりです。
Q: 離婚に向けての別居ということなので、これからも色々と大変でしょうが、ひとりで悩まず、地元広島の山下江法律事務所にまずはご相談されてみてはいかがでしょうか?
今週は、別居中の夫から生活費を受け取れるのか?という相談に答えていただきました。
■次回のテーマ
「夫と話すことなく離婚手続きを進めたい」について
2014/2/17 15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)
■離婚問題「離婚とお金の問題」についてはコチラ↓↓↓
http://www.hiroshima-rikon.com/105/
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