コラム

 公開日: 2013-11-12  最終更新日: 2014-07-04

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「遺言書通り分けないといけない?」

広島 山下江法律事務所
2013/11/11(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「遺言書通り分けないといけない?」
相続 遺留分減殺請求

■遺言書通り分けないといけない?

Q: 今月は、相続をテーマに、様々な悩みを解決していただきたいと思います。
 江さん、今日もよろしくお願いします。
 では早速、50代 女性からのご相談を紹介しましょう。

 「先日、かねてから病気療養中の父が80歳で、病院で亡くなりました。
 葬儀や埋葬など役所の手続きを終えて、残された母から父の遺言状があることを聞かされました。
 父の財産である田舎の家・畑・山・預金など、母と私と弟の3人にあちらの畑は私、こちらの山は弟と、事細かく財産の分与について指示がありました。
 実家の近くにいる私はともかく、東京に出ている弟は、田舎の山を相続しても困るといっていました。
 相続する財産は、遺言状の通り分けなければならないのでしょうか?」

という質問です。
 江さん、今週もよろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。
 そうですね。
 ご相談者の方の場合、こうして財産を残してくださったお父様には感謝すべきですが、畑や山などはその近くに住んでいる人でないと実際の価値を見いだせないかもしれませんね。

Q: 財産を残してくれる親御さんがおられるなんてすばらしいですよね。
 しかも先週の放送にもありました、遺言書もしっかり書いていらっしゃるということで、しっかりしたお父様の残されたご家族への愛情という印象をこの相談内容からを感じるんですけど。

A: そうですね。
 さて、民法に定める「法定相続分」は、この相談者の場合、お母様が二分の一、この相談者を含む二人のお子様がそれぞれ四分の一ずつになりますよね。

Q: はい。
 以前この番組で江さんから教わりました。

A: 民法に定める法定相続分というのは、相続人の間で遺産分割の合意ができなかったときに、基準となる各相続人の遺産の取り分であり、相続人全員に合意がある場合は、必ずしもこの相続分で遺産の分割をしなければならないわけではありません。

Q: なるほど、では江さん、この相談の方のケースでも、相続人全員の合意があれば、分割についての遺言書に記載された内容とは異なる分け方をしてもいいのでしょうか。

A: そうですね。
 遺言者の意思に反する分割方法となりますが、それぞれの相続人が遺言書と異なる分割方法を望み、合意ができた場合には、それでも構わないということになります。
 遺言書どおりに分割した場合でも、関係者が違う分け方を望めば、遺言書どおりに分割した後、お互い取得した財産を交換したりできるわけですよね。
 そうすると、手続が二度手間になります。
 結果的には同じことになるわけですから、関係者のすべてが同意した場合は、遺言書記載の方法とは別の方法で分割することも認められているということです。

Q: でも、遺言者の意思とは異なる分け方になってしまうので、遺言者による遺言の意味がなくなってしまうし、遺言者は墓場で悲しんでいるというようなことになりませんか。

A: う~ん。
 そういわれると、つらいですね。
 でも、遺言者は死んでしまった以上、仕方のないことではないでしょうかね。
 すなわち、遺言者は、自らの意思を残った人々に遺言という方法で伝えることはできるが、関係者全員が違う分割方法を望んでいる以上、それを阻止するという強制力までは持たないということではないでしょうか。
 先ほども述べましたように、遺言書通りに分割しても、どうせその後に、各相続人間で、相続財産を交換したりできるわけですから。

Q: なるほど、よくわかりました。
 ご相談の方の場合はそのようなことはないと思いますが、仮に遺産分割の方法につき、相続人同士の間で話がつかないときは、どうしたら良いのですか。

A: はい、本件のように、遺言書がある場合は、それが前提となりますので、トラブルは少ないと思います。
 ただし、遺言書があっても、ある相続人の取得分が少なすぎると、その方に遺留分減殺請求権というものが発生する可能性があります。

Q: 遺留分減殺請求権ですか。

A: はい、遺留分減殺請求権です。
 これは、相続人として被相続人と血が繋がっていると言うことだけで、取得できる財産の割合というものが決まっておりまして、相続の開始を知ったときから1年以内に権利を行使することが必要です。
 また、相続開始を知らなくても、相続開始から10年を経過したときは、権利は時効消滅します。

Q: そうですか。
 期限の制限があるのですね。
 その遺留分ですが、どの程度の割合になるのでしょうか。

A: 直系尊属のみが相続人であるときは、被相続人の財産の3分の1。
 それ以外では、被相続人の財産の2分の1。
 法定相続分の2分の1ということです。
 なお、被相続人の兄弟姉妹は、相続人となる場合がありますが、遺留分はありませんので、注意が必要です。
 この相談者の場合には、お母さんの遺留分は相続分2分の1の2分の1で、4分の1になります。
 相談者を含む子ども2人の遺留分は、各相続分4分の1の2分の1ということで、各8分の1ということになります。

Q: 遺言書がなく、相続人間で遺産分割に合意ができない場合は、どうすれば良いのでしょうか?

A: はい。
 相続人同士の話し合いで遺産分割の合意が出来ないときは、相続人の誰かが他の相続人全員を相手方として家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
 「調停」というのは、裁判所の調停委員が取り持って話し合いを進める手続きです。
 通常月に1回程度の割合で調停期日が開かれます。
 各相続人は、それぞれ調停委員に自分の考えを言うことができ、調停委員は全員の言い分を聞きながらその調整をしてくれます。
 調停でも話合いがまとまらない場合は、家庭裁判所の審判に移行します。
 「審判」というのは、家庭裁判所の裁判官が一切の事情をもとに遺産分割の方法を決めるものです。

Q: その「一切の事情」というのは、どういう内容ですか?

A: 条文(民法906条)では、「遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。」となっています。
 すなわち、遺産が建物であるとか株券であるとかそうした性質や、各相続人の年齢や職業など、すべてを勘案するということですが・・・

Q: やはり、抽象的でよく分かりませんね。

A: そうでしょうね。
 法律では、まったく抽象的にしか決められていないのです。
 要は、裁判官が、公平と正義の観点から、どのように判断するかということになり、裁判官の判断に委ねるということになるんでしょうね。
 ですから、生き残った人々が混乱しないように、遺言書を作っておくことがオススメですね。
 とくに、子どものいない夫婦、子どもたちの仲が悪い場合、農業や個人事業の経営者、内縁の妻がいる場合、先妻の子どもと後妻の子どもがいる場合、孫に資産の一部をやりたい人、相続人がいない人などは、作るべきでしょうね。

Q: 今日は、相続や遺言について、いろいろ教えていただき、ありがとうございました。

A: はい、疑問などある方は、どうぞお気軽に地元広島の山下江法律事務所へご相談ください。


■次回のテーマ
「生前贈与あり、公平に遺産を分けたいが」について
2013/11/18(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■相続問題「遺留分の問題」についてはコチラ↓↓↓
 http://www.hiroshima-sozoku.com/500/

■バックナンバー(相続)
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