コラム

 公開日: 2013-05-24  最終更新日: 2014-07-04

弁護士コラムvol.50 「多額の借金があるけど,マンションを手放したくない・・・」 新名内沙織

山下江法律事務所 弁護士 新名内沙織
1 多額の借金があってすべてを返していくことが難しいとき,通常は,破産手続をとらざるを得ないということになります。その際,所有しているマンション等に住宅ローン債権者の抵当権がついていたりすると,その抵当権を実行されてしまいマンション等を手放さなければならなくなってしまいます。
 しかし,どうしてもマンション等を残しておきたいと考える方もいらっしゃいます。そのような場合には,破産手続きではなく,民事再生手続きを利用することをおすすめすることがあります。

2 個人の民事再生手続きがどういうものかを簡単に説明すると,住宅ローン以外の債務について原則として3年(例外的に5年)の返済期間で,法律で定められた割合の債務を分割弁済する計画を立て,それに従って支払うことで残りの債務の免除をうけるというものです。具体的にどれだけの債務を支払うことになるかというと,債務の額が100万円未満であればそのすべて,100万円以上500万円未満であれば100万円,500万円以上1500万円未満であれば債務の5分の1の額,1500万円以上3000万円以下の場合は300万円,3000万円を超え5000万円以下の場合は債務の10分の1の額を返済すれば良いことになります(債務が5000万円を超える場合は個人再生を選択することはできません。)。
 個人の民事再生手続きでは,住宅ローンの弁済計画について特別な取り扱いをする「住宅資金特別条項」を定めることができる場合があります。住宅ローンの債権者は本来抵当権を自由に実行して住宅を売却し債権を回収できる立場にあるのですが,その債権者の権利を侵害しないような特別条項(原則は,元々の住宅ローンの計画に従って支払いを続け,支払いが遅れている部分があれば他の債務と一緒に支払うといったものです。)を定めることで,抵当権が実行されてしまうのを防ぐことができるのです。

3 ただし,破産ではなく再生手続きを選択し,住宅資金特別条項を再生計画で定めるためには,いくつかの要件があります。
①破産する場合よりも,債権者に多くの配当ができること
 破産すれば,基本的に手持ちの資産はすべてお金に換えて債権者に配当すべきことになるので,その権利を侵害しないように,再生手続きでは破産になった時よりも多くの金額を返済しなければなりません。例えば,債務の額が300万の場合,上記の基準で行くと,再生計画で返すべき金額は100万円となりそうだけれども,500万円の資産がある場合には,500万円を返済する計画にしないといけないということです。(抵当権がついているマンションであれば,マンションの価格から抵当権のついている債務の額を引いた額が資産となります。)
②住宅ローン以外の抵当権がついていないこと
 住宅ローン以外の抵当権がついていると,結局その抵当権を実行されてしまうことになるので,住宅資金特別条項を定めることはできません。

4 この他にも,再生手続きを選択するには,いろいろな条件がありますので,詳しくお知りになりたい方は,ぜひ一度当事務所までご相談下さい。

 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 新名内沙織 (広島弁護士会所属)

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