コラム

 公開日: 2013-04-19  最終更新日: 2014-07-04

弁護士コラムvol.48 「刑事事件の流れ」 粟井良祐

山下江法律事務所 弁護士 粟井良祐
1 はじめに
 特に悪いこともせずに生活していたら,なかなか警察にお世話になることはありません。しかし,「冤罪」という言葉もあるように,誤って逮捕されることも絶対ないとはいいきれないのが世の中です。今回は皆さんにあまりなじみのない「刑事事件」の流れについて触れてみようと思います。

2 逮捕されると?
 人は,通常逮捕,現行犯逮捕,緊急逮捕によって逮捕されます。それぞれ異なる要件があるのですが,今回はおおまかな流れについての説明ですので,簡単にだけ説明し,細かい要件はまた別の機会で触れたいと思います。まず,ドラマなどで逮捕状を被疑者に示して,逮捕している場面を思い出してみてください。あれが通常逮捕であり,逮捕のためには逮捕状というものを裁判官に出してもらう必要があります。現行犯逮捕は,言葉通り,現に犯罪をしている人について逮捕状なしで逮捕する場合です。緊急逮捕は,一定の重大犯罪について,嫌疑が十分であることを条件に,一時的に逮捕状なしで逮捕する手続きです。
 警察官に逮捕されてしまった場合,身柄拘束状態となり警察署の留置施設に留め置かれることになります。それから,どういう犯罪をしたと疑われているかについて捜査官から説明があり,それについて自分の言い分を話す弁解の機会を与えられます。また,その際に弁護人を選任する権利を持っていることが告げられます。知っている弁護士がいない場合であっても,一度無料で弁護士が出動する「当番弁護士制度」があるので,弁護士と話をしたい場合には,捜査官に当番弁護士を呼ぶように依頼してください。
 被疑者を逮捕した警察官は,次の勾留の手続きを取る必要があるかどうかを48時間以内に判断します。勾留の手続きが必要であると判断された場合には,警察官は検察官に被疑者を送致する手続きを取ります。逆に,勾留する必要がないと判断された場合には,直ちに釈放されることになります。
 そして,送致を受けた検察官は被疑者を受け取ったときから24時間以内に,勾留する必要があるかどうかを判断し,勾留が必要であると考えた場合には裁判官に勾留することの許可を求める請求を行い,勾留が不要であると考えた場合には釈放することになります。

3 勾留
 勾留というのは原則10日間に及ぶ身柄拘束です。逮捕から勾留が請求されるまでは長くても3日間(72時間)で手続きが終わりますが,勾留は原則10日間に及ぶのでとても長いです。勾留が認められるためにも要件がありますが今回は省きます。
 勾留は,さらに一定の場合には最大10日間の延長をすることが出来ます(一部の重大犯罪については15日間)。実際の事件では,この10日間の延長が行われることが少なくありません。
 勾留されている間に何が行われるかというと,捜査機関が刑事裁判で使うための証拠を集めたり,被疑者の取調べを行ったりします。取調べの際には,自分の思っていることと違うことや,ニュアンスが違うことを書面に書かれ,「自分が話した内容と間違いありません。」と署名押印を求められることがあります。長い時間の取調べで自暴自棄になりがちですが,後で撤回するのは非常に困難ですので,事実と違うことやニュアンスが違うところがある場合は必ず訂正を求めるようにして下さい。
 一方で検察官は,勾留されている間に,被疑者を起訴するか釈放するかを判断しなければなりません。起訴とは刑事裁判を起こすことをいいます。検察官は起訴しない場合には,釈放しなければなりませんが,釈放された後に起訴されることもありますので,その点は注意が必要です。
 また,一定の犯罪については,勾留の手続中に国から弁護人を付けてもらう,被疑者国選制度もありますので,頼みたい場合には勾留請求の後に行われる裁判官からの勾留質問の際に裁判官にその旨を伝えることが出来ます。また,勾留後に捜査官の人にその旨を伝える方法もあります。

4 刑事裁判
 勾留されている状態で,検察官によって起訴された場合には,そのまま身柄拘束状態が続きます。刑事裁判に移行すると,「被疑者」という呼び方から「被告人」と呼び方が変わります。
 刑事裁判では,検察官の請求する証拠をもとに被告人が犯罪を行ったかどうか,犯罪を行ったとするとどの程度の罰が与えられるべきかどうかが裁判官によって判断されることになります。その手続きの中で,被告人が質問に答えることがあったり,証人を呼んで証人尋問をしたりすることもあります。
 刑事裁判は,逮捕勾留と異なり明確な時間制限があるわけではないので,どれだけの時間で終わるかは分かりません。刑事裁判での被告人は弁護人と協力しながら自分の言い分を裁判所に伝えていくことになります。

5 まとめ
 以上,かなりざっくりとしたものになってしまいましたが,刑事事件の大まかな流れの説明となります。細かくは,勾留中に人との面会を制限された場合にどうすればいいか,身柄拘束から早く解放されたい場合はどうすればいいか,等もありますので,それらの点はまた別の機会に話したいと思います。
 被疑者本人以外の人も,弁護士に頼んで本人に会いに行ってもらうこともできます。知り合いが逮捕されてしまったなど心配であれば,弁護士に相談してください。
 
 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 粟井良祐 (広島弁護士会所属)

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