コラム

 公開日: 2012-09-28  最終更新日: 2014-07-04

弁護士コラムvol.34 「親を扶養する義務」 久井春樹

山下江法律事務所 弁護士 久井春樹

 親が一人で生活することが困難になった場合,子が,親の面倒をみることは,道義的には当然のことといえるでしょう。それでは,法的な義務はあるのでしょうか。

1 民法877条第1項は,「直系血族及び兄弟姉妹は互いに扶養をする義務がある。」と規定しており,直系血族にあたる親や兄弟を扶養する義務があることを明示しています。したがって,子は,法的に親の面倒をみる義務があるということになります。
 ただし,親の扶養義務は,親に十分な生活能力がなく,他からの援助を受ける必要性がある場合に限り発生します。そして,その扶養の程度は,自分の地位に見合った生活をしてそれでもなお余力があれば,援助するべき,という程度と考えられています。したがって,未成熟の子供や配偶者を扶養する場合と異なり,自分の生活を犠牲にして親を扶養する義務は,法的にはありません。

2 親の扶養義務があるということは,親は,援助を受ける必要性がある場合は,余力のある子に対し,扶養するよう請求できるということになります。
 親が,子に扶養することを拒否された場合は,家庭裁判所に扶養料の支払いを求める調停又は審判を申し立て,扶養料を支払うよう決定してもらうことができます。ただし,親を援助することが必要で,かつ,子に余力がある場合でも,子が親を扶養すべきという決定が一律にされるわけではありません。親子関係を考慮の上,扶養料の支払いを減額する,あるいは扶養の必要はないと判断をされる場合があります。典型例として,親が子を虐待していた場合等が考えられるでしょう。

3 この親に対する扶養義務は,男女の別,出生の順番にかかわらず,子である限りは同等に負うものとされています。ですから,たとえば,長男であるという理由だけで,他の兄弟姉妹よりも扶養の負担を大きく負うことにはなりません。兄弟姉妹それぞれの生活状況等を考慮して,扶養の負担を分担することになります。
 この扶養の負担は,基本的には兄弟姉妹で話し合って決めることになります。もし,話し合いが上手くいかない場合は,家庭裁判所に扶養に関する調停又は審判を申し立て,裁判所で,兄弟姉妹それぞれが,どのような方法で,どの程度の扶養をするかを,決めることになるでしょう。

 不幸にも,親の扶養のことでもめてしまった場合は,専門家にご相談ください。

 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 久井春樹 (広島弁護士会所属)

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