コラム

 公開日: 2012-05-18  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「勤務中の頻繁な私的メールを理由に解雇できるか?」

2012/5/14(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「勤務中の頻繁な私的メールを理由に解雇できるか?」について
従業員の解雇

■勤務中の頻繁な私的メールを理由に解雇できるか?
 相談者 52歳/男性

Q: 私は、情報処理業を営んでいますが、従業員が、勤務時間内に私的メールのやりとりを頻繁に行っており、仕事をさぼっています。
 この従業員を辞めさせたいのですが、解雇をしても問題ないでしょうか。

A: 残念ながら、問題ないとは言えないと思います。
 その従業員とよく話し合いをして、従業員が納得して会社を辞めるのなら問題はないのですが、そうではなく、従業員が勤務し続けたいと思っているのに、解雇をする場合には、慎重な検討が必要です。

Q: そういうものですか?
 勤務時間内にさぼるのは良くないことだと思いますし、このような人は、辞めてもらっても当然という考えが生まれるのも仕方ないのかな…とも思ったりしますが。

A: 確かに、そのような考え方もあるでしょう。
 しかし、従業員が会社を辞めると言うことは、その従業員にとっては、食べていける基盤を無くすることであり、極端に言うと、死ねと言っているに等しいことになります。
 そのようなことから、労働基準法等の法律は、労働者の権利を守る規定を定めており、また、裁判例も、労働者の解雇を容易には認めない方向にあります。

Q: 具体的には、どういうことでしょうか。

A: では、説明しましょう。
 会社には労働者との契約を解除する権利、すなわち、解雇権があります。
 そして、解雇には、2つの類型があります。
 普通解雇と懲戒解雇です。

 「普通解雇」は、少なくとも30日前に予告するか(解雇予告)、30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)を支払うことによって行います。
 もう一つの「懲戒解雇」は、従業員が、就業規則で定める懲戒解雇事由に該当した行為をした場合に、その制裁として行われるものです。

 しかし、いずれの場合も、形式的にこれらに当てはまるからと言って、即、解雇が適法となるものではありません。

Q: 形式的に当てはまっただけではダメなのですか?

A: そうです。先ほども申し上げましたように、解雇は、従業員(労働者)にとっては死刑に等しいものとも言えます。
 そこで、判例においては、確かに会社側に解雇権があったとしても、その権利を濫用することは認めないという法理が確立されています。
 これを「解雇権濫用法理」と言います。

 判例は、「使用者の解雇権の行使も、それが客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認することができない場合には、権利の濫用として無効になる。」としています。
 すなわち、解雇に、客観的な合理的理由がなくて、社会通念上も相当とは言えないような場合には、その解雇は無効ですよ、ということです。

Q: その「社会通念上相当」ということはどういうことですか?

A: この言葉は判決などによく出てくる言葉ですが、・・・一般常識から考えて妥当かどうかというようなことですね。

Q: 一般常識というのは難しいですね・・・。

A: そうですね。結局は、最終的には裁判官が判断することになります。
 「一般常識」というのは時代によっても変化するものではありますが、私ら弁護士が判断する場合には、過去の裁判例を調べて、解雇が適法とされた事例、違法とされた事例を集めて、問題となっている事案について、判断するという方法をとることが多いです。

Q: 今回の相談者の場合、すなわち、仕事時間内に私的メールを頻繁に行っているという従業員を解雇することは、どうなんでしょうか。

A: 似たような判例がありました。
 この例は、就業時間中に頻繁な私的なメールのやりとりをし、その回数が半年間で1,700件余りとなった事案です。
 判決は概略次のように述べています。

 私的メールのやりとりは、職務規律に反し、職務専念義務に反する。
 しかし、職場環境を良好なものとするために、一定の限度でパソコンを私的に利用することは通常黙認されており、異常な職務専念義務違反とまでは言えない。
 同違反は、解雇を可能ならしめるほど重大なものと言うことはできない。
 したがって、解雇には正当な理由があるとは言えず、解雇権の濫用として無効だ。
 としました。

Q: なるほど、解雇するということは慎重にしなければならないのですね。


■次回のテーマ
「上司の部下へのセクハラにつき会社は責任を負うか?」について
2012/5/21(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■従業員を解雇する場合 ↓↓↓
 http://www.hiroshima-kigyo.com/115/11505/
 
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