コラム

 公開日: 2012-02-16  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「交通事故の責任は自分にあるが、賠償金をもらえるか」

2012/2/13(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「交通事故の責任は自分にあるが、賠償金をもらえるか」について
交通事故 弁護士

■交通事故の責任は自分にあるが、賠償金をもらえるか
 相談者 31歳/男性

Q: 3ヶ月前に、車にはねられて大けがをしました。
 私が赤信号を無視して横断歩道を渡っていたときの事故で、責任は自分にあるのは承知しています。
 このような場合でも、賠償金を受け取ることはできるのでしょうか?

A: 信号無視はいけませんでしたね。
 さて、ご相談ですが、賠償金は全く受け取れないということはありませんから、心配されなくても大丈夫です。
 相談者のように、横断歩道の赤信号を無視して横断中に事故にあった場合は、歩行者の過失割合が7割、車の方の過失割合が3割、というのが、基本的な過失割合です。
 と言いますのも、車は歩行者側が赤信号であっても人がいないかどうかを注意して進行する義務があるのです。
 車の方の信号は青だから何の問題もない、ということにはならないのですね。

 さて、過失割合とは、不注意の度合いの割合をいいます。
 今回の事故が起きた場所は横断歩道ということで、原則このように決められているのですが、それに例えば住宅地だったかどうか、車側に飲酒運転などの重大な過失があったかなどの諸要素がプラスマイナスされて、最終的な過失割合が決まります。

Q: 「過失割合」とはよく耳にする言葉です。様々な条件で割合が決まるのですね。

A: そうなんですよ。
 例えば、歩行者と自動車の交通事故の場合、信号のない横断歩道上、とか、信号のある交差点の横断歩道上とか、様々な場所での進入時の信号が、青だったか黄色だったか、赤だったか…など、いろんなケースの組み合わせで、過失割合が決められていきます。

Q: では、数字的に7:3と言っても、7.5:2.5とか、いろいろな割合に変わってくるんですね。

A: そうですね。これは交通事故の損害額や過失がどうなるかということを定めた、いわゆる「赤い本」、「青本」に掲載されています。

Q: また出てきましたね!「赤い本」と「青本」、これは分厚い本でしたよね!

A: これは過去の裁判例などから過失割合を定めたもので、裁判になった場合には、通常これが採用されることになります。

 今回の相談内容からすると、ほかに事情がなければ、7:3で歩行者である相談者の過失は7となり、事故によって生じた損害額のうち、相手方の有する過失の割合、ここでは3割となりますが、これを相手側に請求できます。
 ですから加害者の方に3割過失があるわけですから、この被害者の方は、例えばこのケガによって損害が1,000万円だったとすると、その3割の300万は加害者である運転者に請求できます。

Q: この方は「自分が信号無視をしてしまったと、負い目もあるのですがなんとかならないでしょうか」という相談でしたから、少しでも請求できることが分かって、ホッとされていると思います。

A: そうですね。もめることなく請求できて補償を得られるといいですね。

 というのもですね、事務所に来られた相談で過去にこんなことがあったのです。
 今回のご相談のように、信号無視をした歩行者と車の接触事故で、歩行者側が損害賠償を請求したところ、相手方は所有自動車の任意保険に入っておらず、賠償交渉に応じてもらえなかった。
 ということで、当事務所に相談に来られました。

Q: 法的に「過失割合」がきちんと出ていても、そのようにこじれてしまうこともあるのですね。
 このような場合はどのような方法がとられるのでしょうか?

A: こういう場合はご本人同士ではうまくいかないので、弁護士が入って法律上の説明をしたり、 内容証明を送ったり、交渉したりするのですが、どうしても相手方が交渉に応じない場合、最終的には裁判所の判決をもらって、相手方からそのお金を強制的に回収する以外にありませんね。

 ただ、今回のように被害者側、すなわち歩行者の過失がかなり大きい場合には任意保険ではなくて、自賠責保険あるいは自賠責共済における被害者の直接請求の制度を利用するのも一つの方法です。

Q: 自賠責保険・自賠責共済ですか。

A: はい、自賠責保険・自賠責共済は、自動車を保有する人には義務付けられている強制加入の保険です。
 自動車というのはそもそも危険なものであって、お互いに過失が全くなくても誰かにケガを負わせてしまうということがあるわけですね。
 そして、ここが重要な点なのですが、加害者・被害者の過失の有無にかかわらず、被害者の損害、いわゆる治療費や慰謝料、後遺症、逸失利益など、損害の程度に応じ、任意保険に比べて金額は少ないのですが、一定限度内の保険金が支払われるというものです。
 この制度は被害者救済のためのものであり、被害者に過失があるかどうか、それが大きいかどうか、あるいは加害者の過失の有無に関係なしに支払われるものなのです。

Q: なるほど、自動車を保有している人は必ず入っている自賠責保険、これは「被害者の過失」や「加害者の過失」と関係なく支払われる保険金ということですね。
 少し安心して町を歩けますね。

A: 最低限の保障ですけどね。

Q: 自賠責保険や自賠責共済の制度には、そのような保障が備わっているのですね。改めて、知りました。
 強制的に入らされている、というイメージが強いので、正直、私自身が保険の内容についてまであまり考えたことがありませんでした。
 こうやって教えていただいて、良かったです。

A: そうですね。本来であれば法律的に損害賠償請求できるのは、加害者側に過失や不注意がある場合です。
 そのような場合でも、交通事故の場合には被害者を救済することが必要なので、自賠責保険という制度があります。

Q: 前回の番組で車は危険物であるとありましたが、こういう保険は本当に必要ですよね。

A: 今回の事例の場合は、相手に過失が3割あったわけですが、それが全くゼロの場合でも賠償請求はできます。
 今回のご相談のようにご自分の過失がかなり大きい場合、例えば任意保険に入っていても任意保険では自分の過失が大きすぎてほとんど賠償金をとれない場合でも、この自賠責保険を利用すればちゃんととれます。
 もっと正確に言いますと、自賠責保険でとれるものをまずとり、任意保険は自賠責の限度額を超えた場合にプラスする部分です。

Q: そうですね、これは良いアドバイスをいただきました。
 やはり、専門家に相談すると、自分だけでは抱えきれない問題を解決していただくためのたくさんの引き出しがあるということも改めてわかりました。
 いろいろな解決法を見つけてもらえそうですね。

A: はい、そのための、専門家ですから、恥ずかしいとか思わずに、気軽に相談していただきたいですね。


■次回のテーマ
「交通事故の相談は、誰にすべきか」について
2012/2/20(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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