コラム

2012-02-08

弁護士・江さんの何でも法律相談「従業員が交通事故でけが、会社に損害が出たが…」

2012/2/6(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「従業員が交通事故でけが、会社に損害が出たが…」について
交通事故 弁護士

■従業員が交通事故でけが、会社に損害が出たが…
 相談者 62歳/男性

Q: 私は薬を配置販売する会社を営んでいます。
 先日、従業員が交通事故で大けがをし、担当地区を回れなくなりました。
 そのため、会社の利益が120万円も落ちたのです。
 事故に遭った担当者は20年もの間、一人でその地区を担当しており、代わりの従業員もいない状態です。
 会社としても大きな痛手となっており、交通事故の加害者に対して会社の利益が減じた分の120万円の損害を賠償請求しようと思うのですが、可能でしょうか?

A: これは大変ですね。
 非常にお気の毒なのですが、この相談者の方が請求しようとしている損害賠償請求は、原則として無理だと思ってください。

Q: 無理なんですか。

A: そうなんです。
 従業員が交通事故で会社を休むことで、会社が損害を被ったとしても、原則として、会社は交通事故の加害者に対して損害賠償請求することができない、というのが裁判所の判断です。

Q: そうなんですか。
 他の従業員の方が代わってその地区の担当をすることができればいいのですが…。
 この不景気のなか、そんな余裕もない、という会社も多いのではないでしょうか。

A: そうですね。
 そういう事情から言うと、会社の方が言われていることもわからないではないのですが、裁判所は、このような事例について次のように判決の中で述べています。

 「事業の経営者は従業員が交通事故や病気、不時の災害を受けても、営業に支障がないように対策をとっておくべきで、従業員に代替性(交代)がないこともって、会社の損害と交通事故との因果関係を認めさせることはできない」と。

 もう少し説明しますと、会社の損害を交通事故の加害者に対して請求できるためには、その会社の損害がその交通事故によって通常発生するものであることが必要です。
 それを「因果関係」と言います。
 この判決は、会社たるもの一従業員に事故があっても、他の従業員が代わって仕事ができるようにしておくべきであり、一従業員の事故による怪我が、通常、会社に損害を発生させることにはならない、と、すなわち因果関係がないと判断したのです。

Q: なるほど、こういうことは起きてはいけないことですが、万が一、起きてしまった時には、会社は、それに対応できるように、予め組織を作るとか、計画的な従業員の体制を作るとか、しておかなければならないのですね。

A: その通りです。
 経営者にはいささか酷な話ですが、経営者たるもの、日ごろから会社経営に関してこうした危機管理をしておくべき、ということです。

Q: そうですか…、ただ、江さん。
 この番組では、何度も「とはいえ…、」という例外が出てきていますよね。
 今回の相談は、そのような例外はないのでしょうか?

A: 原則的にはできない、ということは、例外がある、ということですね。
 この例外について、具体的なものを紹介しましょう。

 例外の裁判例ですが、これは交通事故にあったのは従業員ではなく、会社の経営者の場合です。

 「その会社の経営者が交通事故で休業せざるを得ず、会社に損害を与えた場合について、その会社が法人とは名ばかりの個人会社であり、実権が経営者個人に集中し、会社の機関(取締役会など)としても代替性がなく、経済的に個人と会社が一体の関係にある場合に限り、会社は加害者に対し、会社の損害について損害賠償請求ができる」と判断しています。

 もう少し砕けた言い方をしますと、会社というのは株式会社であるとか有限会社であるとか、法人格を有しています。
 ですから、個人とは別になります。
 けれども、法人格を持っていたとしても、実質的には個人企業と同じで、個人と会社が一体の関係にある場合には、会社の損害は個人の損害とほぼ同様に考えることができるので、そうした場合には、会社の損害について、交通事故の加害者に損害賠償請求できる、としたのです。

 ただこの場合でも、会社が被った損害額の算定には、利益の減少のうち、どの程度が交通事故の被害によるものなのか判断が必要です。
 例えば、不況のせいかも知れませんし、ほかに原因があるかも知れません。
 そうすると、交通事故が原因で減少したのか、ほかの理由で減少したのか、判断が非常に難しいです。
 ですから、交通事故の加害者に損害賠償請求できるという場合であっても、賠償金の算定などについて、困難を伴うことは多いですね。

Q: そうですか…。
 従業員が被害者になった場合は、会社の損害については賠償請求は困難だが、例外があって、経営者が被害者となった場合は、その会社が経営者個人と実質的に一体、すなわち個人と会社が一体の関係にあるとみなせるような場合には、会社の損害について、賠償請求が可能になる場合があるということですね。
 しかしその判断というのは難しそうです。
 こうなると、こんな時こそ、法律事務所のドアを叩いてみるとよいのではないでしょうか。

A: そうですね、専門的な判断、判例などを調べまして、なんとか被害者の損害の賠償を可能にするように、いろいろ考えるのが私たち法律事務所の仕事です。
 ですから交通事故に遭われた場合、今回のケースに限らず様々なケースがあるでしょうが、そういう場合には是非相談にいらしていただければと思います。
 ちなみに、交通事故被害の救済という観点から、山下江法律事務所では、交通事故に関する相談は、初回1時間は無料で実施しています。

Q: 初回1時間が無料とは、嬉しいですね。

A: そうなんです。ですから、気軽にお電話いただいて、相談に来ていただければと思います。

Q: 一人で悩まずに、まずは相談されるのがいいかも知れません。


■次回のテーマ
「交通事故の責任は自分にあるが、賠償金をもらえるか」について
2012/2/13(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■交通事故 損害賠償額の計算方法 ↓↓↓
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