コラム

2011-12-27

弁護士・江さんの何でも法律相談「預金通帳が盗まれたときの対処は?」

2011/12/26(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「預金通帳が盗まれたときの対処は?」について
FMちゅーピー 山下江 なやみよまるく

■預金通帳が盗まれたときの対処は?
 相談者 54歳/女性

Q: 今回は54歳の女性の方が相当憤慨してご相談をされています。聞いてください。

 先日、どろぼうに入られ、預金通帳・印鑑・キャッシュカードと現金を約10万、盗まれました。
 その後、盗んだ人が預金通帳と印鑑を使用したらしく、銀行から150万円が引き出されてしまいました。
 銀行は身分証明の提示を求めなかったのでしょうか?
銀行に責任は追及できないのでしょうか?

A: これは大損害ですね。
 なんとか銀行にその分を返してくれと言いたいところでしょうが、残念ながら、銀行に責任を問うことはできません。
 銀行は、預金通帳と届出印鑑に符合する印鑑を持っている人を、支払を受ける権利のある人とみなして支払えば、責任を免れるということになっています。

Q: ただ、盗まれたことが分かった時点で、銀行にも盗難届が出ているはずですよね?
 届けをする前に、引き出されてしまったのでしょうかね?

A: そうですね、そのちょっとしたタイムラグが、悩ましいところでもあります。
 ただ、銀行が盗難などの事故届が預金者から出されているのに気付かず、あるいは忘れてしまい、支払ったような場合には、銀行に過失・不注意があったとして、銀行の責任を問うことができます。
 おそらく今回の場合はそうではなかったのでしょう。

Q: 年末・年始と、これからなにかと出費もある時期です。
 相談者のこの方も、どうすれば良いのかわからない…と不安でいっぱいの様子です。
 江さん、何か良いアドバイスをお願いしたいのですが…。

A: とりあえず、警察に被害届を出していないのであれば、すぐ出してください。
 銀行にも事故届を出しましょう。
 どろぼうが捕まるかどうかはわかりませんが、捕まった時には、どろぼうに対して、被害金額を損害賠償として請求していくことになります。
 当たり前のことかも知れませんが、そのようにするしかありません。

Q: 当たり前のことかも知れませんが、もう一度押さえておきましょう!
 まずは、警察、そして銀行に届出をすることが先決ですね。
 届出は、犯人がみつかった後でも、関係してくる可能性があるので必ず出しておきましょう。

A: 1つ付け加えたいのは、この方、キャッシュカードも盗まれていますが、これについては引き出しなどされていないのでしょうかね?
 というのも、キャッシュカードについては、2006年に「預金者保護法」という制度が施行され、カードの盗難・偽造による被害は、被害発生から30日以内に金融機関に届け出れば、金融機関が原則として、補償してくれることになっています。

Q: 30日以内。

A: そうですね。
 ですからキャッシュカードの盗難によりお金が引き出された場合は、損害の回復が銀行からされることがあります。
 しかし、これは補償の範囲が「カードの盗難・偽造」に限定されていることに注意が必要です。

Q: 「カードの盗難・偽造」に限定されている、ということはどういうことでしょう?

A: この「預金者保護法」の正式名称は、「偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律」であり、スキミング(カードから磁気データを読み取る)の手口による預貯金引き出しから預金者を保護しようとしたものです。

 この方に限ったことではなく、カードを盗まれた場合、警察に届けを出す際、あくまでも盗まれたことをきちんと申し出て被害届を受理してもらうことが必要です。
 カードが手元からなくなったことで「遺失物届」を出しているケースがありますが、これでは、紛失ということになるので、銀行から補償を蹴られることがありますので注意が必要です。

Q: 紛失ではダメで、盗難でなければ、補償が効かないということなんでしょうか?

A: そういうことですね。
 盗難の場合であれば被害の全額が補償されますが、紛失の場合は補償はゼロということになってしまいます。
 紛失は、カード保有者に責任があると、判断されるからです。

 なお、盗難や偽造の場合でも、預金者にも責任がある場合は、補償額が減額されることがあります。
 例えば、暗証番号を生年月日にしていて、生年月日が分かる書類と一緒に保管していた場合には、軽過失ありとして、損害額の75%の補償しか受けることができません。

Q: そうなんですか!
 電話番号や誕生日などがわかるような書類を、一緒に置いておかない方が良いということですね。

A: そうですね。
 極端な例になりますと、暗証番号をカードに記載していた場合には重過失ありとして、補償額はゼロとなります。

Q: なるほど、預金者の責任という問題もあるのですね。
 ここは絶対に気をつけておきたいところです。

 さて、江さん、毎年、この時期になると、盗難被害が多くなるというデータがあるように、人ごとではなく、私たちも気をつけなければいけませんね。
 どろぼうに入られる、また、盗難に遭うなどの被害を受けないために、どうしたらいいでしょうか?

A: まず、当たり前と思われるでしょうが、家の戸締り・警備は日頃からきちんと行いましょう。
 もう1つ気をつけた方が良いのは、面倒かもしれませんが、通帳と届出印鑑は別の場所に保管しておくことです。

Q: 私は一緒に入れているような気がしますが…。それはダメですね。

A: どこに置いたか忘れちゃう、ということが後から起こると、もっと面倒なことになるかも知れませんけれど、通帳と届出印鑑は別の場所に保管しておくことは原則ですね。
 そしてキャッシュカードですが、先ほどの例でも触れましたが、暗証番号も、誕生日などの、だれでも考えそうな日にちを設定しないようにすることです。
 そして、もし盗難が発覚したら、直ちに、銀行に事故届を出し、警察に被害届を出すようにしましょう。

Q: 江さん、年末、私も気をつけたいと思います。
 みなさまもどうぞお気をつけて、良いお年をお迎えになってください。


■次回のテーマ
「過払いについて」について
2012/1/5(木)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)
※年始のため、次回は木曜の放送です。

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