コラム

2011-12-20

弁護士・江さんの何でも法律相談「公園の遊具で子どもが大ケガ」

2011/12/19(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「公園の遊具で子どもが大ケガ」について
FMちゅーピー 山下江 なやみよまるく

■公園の遊具で子どもが大ケガ
 相談者 34歳/女性

Q: 小学2年生の息子が、先日、うちの近くの公園で、ブランコから落ちて足を骨折しました。
 ブランコから落ちた原因は、ブランコのチェーンが外れたからというもの。
 子どもの不注意ではなく、遊具の故障が原因の場合、損害賠償請求はできるのではないかと思うのですが、先生、どうなんでしょうか?

A: これはいけませんね。
 息子さんがケガをした公園というのは、どの団体が設置・運営しているものか、書いてありませんか?

Q: そこまで詳しくは、明記されていませんが、「うちの近所」ということから考えると、市営の可能性が高いような気がします。
 例えば、市営の公園だったとして、教えていただけますか。

A: そうですね、市営だった場合は、市(広島であれば広島市)に対して、損害賠償請求ができるということになります。
 法律のことを若干説明しますと、国家賠償法という法律があります。
 ここには「公の営造物の設置または管理に瑕疵があったために、他人に損害を生じたときは、国または公共団体は、これを賠償する責任に任ずる」と定めています。
 市営の公園にあるブランコは、「公の営造物」と言えますので、この国家賠償法にあてはまります。
 先ほどの条文の中に、「瑕疵」という言葉がありましたよね。
 「公の営造物の設置または管理に瑕疵があったため」と。
 この「瑕疵」というのは、簡単に言うと「欠陥」ですね。
 欠陥があったために誰かに損害を生じたということなんですね。

Q: なるほど。この方の場合は、ブランコのチェーンが外れたから、と言われていますね。
 損害賠償はできる可能性があるということですが、どのような損害を請求できるのでしょうか?

A: この事故によって発生した損害のすべてです。
 今回のケースはブランコのチェーンが外れて落下、そして足の骨を折った、ということですから、治療費はもとより、通院費や、この事故によって被った精神的損害をも、請求できます。

Q: 精神的損害とは、いわゆる、慰謝料のことですね。

A: その通りですね、以前この番組にも何回か出てきましたね。
 実質、目に見える費用(治療費、通院費など)の他に、目には見えませんが、精神的ショックを受けたことによる損害として、慰謝料も請求できる項目のひとつとなります。

 また、これはないにこした方が良いのですが、息子さんに万が一後遺症が残った時、その場合は後遺症に伴う損害というのも請求できまして、それには2つあります。
 「逸失利益」というものと、「後遺症に対する慰謝料」、この2つです。

 まずそのひとつである逸失利益についてご説明しましょう。
 その後遺症によって、将来予想される収入が減ること…機能障害がなければちゃんと収入が得られていたのに、そのことによって収入が減るということが予想できるわけですね。
 例えば、この事故により膝の関節に機能障害が残ったとしたら、これは後遺障害第12級ということになり、労働能力喪失率は14%です。
 労働能力を14%失ったことになりますから、その分将来の収入が減少するとされ、その減少分が損害額となります。
 これは交通事故の際の自賠責法に定められている「後遺障害別等級表」に基づくことになります。
そこにどういう機能障害が残れば、どれだけの等級で、労働能力喪失率は何%か、ということが定められているのです。
 そしてそれに基づいて損害額が計算されます。

 もうひとつは、後遺症に対する慰謝料も請求できます。
 ちなみに、膝の関節に機能障害が残ったという後遺障害第12級の慰謝料は、交通事故の損害賠償額算定基準「赤い本」記載の裁判基準では、290万円ということになります。

 これら2つが対象となります。

Q: 後遺症が残らないことを祈るばかりですが、もし万が一後遺症が残った時、今、教えていただいた項目すべて、全額請求が、できるのでしょうか?

A: それは、事故の様子によるでしょうね。
 通常の方法で(1人で)ブランコを利用していて突然チェーンが外れた、といった事故であれば、全額請求はできるはずです。

 しかしその事故が、例えば、息子さんが1人でなく、お友達とじゃれ合って5~6人で一緒にひとつのブランコに乗ってワイワイ遊んでいた、など、この場合は通常の重さと違う重さがかかっているわけですよね。
 このような通常考えられない方法で使っていた場合には、息子さんの側にも過失、すなわち不注意があった、ということで、過失相殺が適用され、請求額は何割か減額されることになるでしょう。

Q: 「過失相殺」。この番組によく出てくる言葉ですね。
 損害賠償請求をする側に、少しでも過失があった場合はこの、過失相殺という制度が取り入れられる、というものでしたね。
 このあたりは、実際、現場検証などで明確になっていくものなのでしょうか。

A: そうですね。やはり実際にご本人や周辺の方にいろいろ事情を聞いて、最終的に判断されると思います。
 注意して、遊ぶ場合にも不注意でケガをすることがないように気をつけられた方がよろしいですね。
 また今回の場合、息子さんはまだ小学生ですよね。

Q: ええ、2年生ということです。

A: 未成年ということですから、市に対して賠償請求するのは、その親権者であるお父さんやお母さんが代わりに行うことになります。
 まずは公園の管轄を調べて、公園を管理・運営しているところに、賠償について具体的に話し合いをされるのがよろしいかと思います。


■次回のテーマ
「預金通帳が盗まれたときの対処は?」について
2011/12/26(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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