コラム

 公開日: 2011-11-29  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「支払延期を求められたらどうすべきか?」

2011/11/28(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「支払延期を求められたらどうすべきか?」について
山下江法律事務所 FMちゅーピー なやみよまるく

■支払延期を求められたらどうすべきか?
 相談者 58歳/男性

Q: 相手方のA社に対しては、約10年間にわたり、製品の材料を販売してきたのですが、この度、A社から、予定の支払日を1か月先に延ばして欲しいと要請がありました。
 どうしようか悩んでいるのですが…。

A: 前回の放送でお話ししましたように、相手方から「破産申立通知」が来たときには、ことすでに遅しということであり、打てる手はほとんどありません。
 ですから、今回のように相手方から支払延期の要請があったときは、これが債権回収…その代金を回収する最初で最後の最大のチャンスと思う必要があります。

Q: 最初で最後の最大のチャンス!

A: はい。この時にちゃんとした判断をしないと「破産申立通知」が来て、なすすべがないということになります。
 今回のように要請があった場合、相手会社との間で継続的取引を今後行うかどうか、すなわち、今後出荷を停止するか継続するかの判断をすぐに行う必要があります。

Q: 出荷停止か出荷継続かということですね。

A: はい。相手会社が「支払延期を」と要請してきたことは、相手会社の経営状態が良くないことを示していますよね。お金がないわけですから。
 今後、漫然と従来と同じように取引をした場合には、売掛債権の回収が困難となる可能性が十分に考えられます。
 この売掛債権とは、ある商品を売ってその場でお金をもらうのではなくて、1ヶ月とか2ヶ月先にお金をもらう、そういうものを「売掛」と言いまして、そういう債権を「売掛債権」と言います。
 この売掛債権の回収が困難になる可能性があるのですね。

Q: 具体的には、どうすれば良いのでしょうか。

A: 1つには、相手方の信用調査をするべきですね。
 どのような状況なのか、いろいろ調査会社もあります。あるいは同業者に聞くなどですね。
 今後の支払も困難と判断すれば、即、出荷停止とすべきです。
 具体的には、内容証明郵便で、継続的供給契約の即時解除条項に基づき、契約解除を通知することになります。

 そうではなく、この支払延期要請は一時的なもので、今後の支払いはなんとか大丈夫と、財政状況はそんなに悪くはないと思われると判断したときは、出荷継続となるでしょう。

 出荷継続となっても、この際に今後の取引につき「信用取引」、すなわち売掛ではなく現金決済にしてもらう、全て売った時にお金を払ってもらうように支払方法を変えるのも一方法です。

 また、売掛債権について、連帯保証人を付けてもらうことも考えるべきです。
 もしその債権の回収で、会社が支払えなかった場合には、代わって払ってくれる保証人を付けてもらう、ということですね。
 その場合、社長個人の連帯保証だけではダメです。
 というのは、通常は会社が銀行から借入をする場合には、会社の社長が連帯保証人になっていますので、もし社長に今回の売掛債権について連帯保証人になってもらっても、銀行の連帯保証分だけでもう満杯で、社長の支払能力を超えている場合がほとんどなんですね。
 ですから、社長以外の、資産ある、あるいは収入のある人に連帯保証人になってもらうことで、万一その売掛債権の回収がその会社から無理な場合は、その保証人から回収できるようにするということですね。

Q: なるほど、社長以外の人に、債権について、連帯保証人となって貰うとよい、ということですね。
 その他に何か方法はありますか?

A: この連帯保証人のことを、「人的担保」、すなわち、人が債権を担保することを人的担保と言いますが、それと対照をなすものとして、「物的担保」、物により債権を担保して貰うこともできます。
 具体的には、相手方が不動産(土地、建物など)を所有している場合には、その不動産を、今回の売掛債権の担保に出して貰うということです。
 これは通常、不動産に抵当権を設定することにより行われます。
 これには登記が必要であり、登記をすることが、第三者に対する対抗要件となります。
 「第三者対抗要件」とは、第三者に対して権利者が優先できる、と言う意味で、後から、第三者が同不動産に対して抵当権の設定登記をしても、先にしたものが勝つと言う意味です。

Q: 不動産に抵当権を設定する、ということですね。
 他の方法はありますか?

A: はい、不動産ではなく、動産に質権を設定する方法もあります。

Q: 動産とは、物ですよね。

A: そうですね。例えば、相手方が所有している高価な宝石とか、絵などの美術品とかを持っていれば、それに質権を設定します。
 この質権を設定するには具体的にどうするかと言うと、その高価な宝石をいったん預かっておき、実際に売掛債権の支払いがあった時に相手方に返還します。
 この場合の第三者対抗要件は、その宝石を持っていればよく、これを動産の占有と言います。
 もし担保をとって支払の延期を認めた場合、しかし延期はしたけれども結局は支払がなされなかったときは、宝石なり動産を換価…お金に換えて、その代金から当初の債権額を回収することになります。

Q: 宝石の売却代金が、当初の売掛債権を上回っていたときは、その差額は相手方に返還しなければならないのでしょうか。

A: はい、宝石はもらったわけではなく、担保で預かっているだけですから、当然宝石の価値が高ければ、実際の売掛債権との差額については相手方にちゃんと返さなければなりません。

Q: そうですね。当然ですよね。

A: その他にも、法律用語で恐縮ですが、所有権留保や譲渡担保など、様々な方法があります。

 所有権留保とは、典型的なものに自動車の割賦販売があります。
 所有権をいったんクレジット会社なりに留保しておいて、実際には購入した人が自動車を使うのですが、そのクレジット会社なりに代金を支払い終った時に所有権が購入者・消費者に移る、これが所有権留保です。

 譲渡担保とは、債務者が所有権をいったん債権者に移しますが、債務者はそれを借りて利用し、債務を弁済すれば所有権を債務者に戻すものです。

 専門的すぎますし、ここでは時間がありませんので、詳しい内容や具体的な検討については、実際に問題が起こった時に弁護士なりに相談されることをお勧めします。


■次回のテーマ
「借家明け渡しの際、敷金を返してもらえない」について
2011/12/5(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■債権回収の8つの方法↓↓↓
 http://www.hiroshima-kigyo.com/105/105058/

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