コラム

 公開日: 2011-11-22  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「取引先から突然の「破産申立通知」が…」

2011/11/21(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「取引先から突然の「破産申立通知」が…」について
山下江法律事務所 法律相談 破産

■取引先から突然の「破産申立通知」が…
 相談者 68歳/男性

Q: 部品販売先であるA社から、突然、A社代理人弁護士名にて「破産申立通知」が届きました。
 当社はA社に対し商品代金の売掛金が300万円あります。
 この300万円は諦めるしかないでしょうか。
 何とかならないでしょうか。

A: はい、このように前兆無しに、突然、破産申立人(相手会社=A社)代理人弁護士から「破産申立通知」が来たときは、ほとんどの場合になすすべはないと言っていいです。

Q: あら…、相手の会社が倒産したりするとなすすべがない?

A: 原則そうですね。
 独自に破産手続きとは別に、相手会社(A社)からの回収をしようと思っても、なかなか難しいです。
 なぜなら、こういう場合には、自社が相手方に対して有している債権、持っている債権ですね。この場合は売掛金300万ということです。この債権は、裁判所と、そして裁判所に任命される破産管財人という人がA社を管理することになり、これによる破産手続きの中において、法律に則って処理されることになるからです。

Q: 「原則不可能」とのことですが、例外はどのような場合でしょうか。

A: そうですね。
 例えば、相手方の所有する不動産に対し抵当権(売掛債権についてそれを担保するための権利)を設定していた場合は、この抵当権の実行をして債権回収をはかることができます。
 この場合でいうと、商品代金の売掛債権…、売掛債権とは、例えばモノを相手方に売った場合に通常はその場で代金をもらうのですが、その場ではもらわないで1ヶ月先に払って下さいよ、という債権、その権利を売掛債権と言います。
 この売掛債権を担保するために、A社の不動産に抵当権を設定していれば、破産手続とは別に、独自に抵当権を実行して代金を回収できることになります。

Q: この方の場合は、そのようなことはないようです。
 ただ、A社から材料を仕入れており、A社に対して200万円借りている、債務を負っているとのことですが、これは支払わなければならないのかと聞いています。

A: それは、不幸中の幸いと言ってよろしいでしょう。
 この200万円の債務(借り)と相手会社への300万円の売掛債権、つまり債務と債権とを相殺することが可能かと思われます。
 「相殺」とは、前にも出てきたと思いますが、「アイコロス」と書いて「ソウサツ」ではなく「ソウサイ」と読みます。
 これは当方から相手方への債権と、当方の相手方に対する債務を、対当額において消滅させる行為です。
 この場合には、200万円の限度で相殺が可能となり、それにより、当社の200万円の支払義務はなくなる、と同時に、当初の売掛債権300万円は200万円減額となり、100万円ということになります。
 実質的には売掛債権200万円を回収したのと同じことになり、これが、聞かれた「例外」のひとつです。

Q: ということは、その他に例外的に回収できる場合はあるのですか。

A: そうですね。これは実際上難しいのですが、本件の場合は商品代金ということですから、もし、当社が売った商品(部品)がまだA社にあるならば、先取特権の行使という方法もあります。

Q: 「先取特権」ですか…。

A: はい、先取特権です。「先に取る」と書きまして「サキドリ」です。
 「先取特権」というのは、この言葉のとおり、他の債権に優先して先に取る、先に回収することができる権利です。

 いろんな先取特権がありまして、例えば典型的なものに「雇人給料の先取特権」があります。
 これは、会社が債務者としますと、会社に雇われた人は、その給料が支払われていない場合、最後の6か月間の給料については、他の債権に先んじて権利を主張できることができます。
 これを「雇人給料の先取特権」と言います。「雇人(コニン)」が「雇われる人」という意味ですね。

 本件の場合は、「動産売買の先取特権」と言われるものです。
 不動産が土地や建物、動産とは商品ですね。
 動産の売主(相談者)は、代金とその利息につき、その動産の上に先取特権を認められています。
 本件の商品は動産に該当しますから、これが使えるわけです。
 もっとも、これは使い勝手が少し良くなくて、商品が相手方の手元にまだあること、相手方が商品の差押えを承諾することを証する文書が必要です。
 本件のように、相手方が倒産の場合、相手方とそもそも連絡が取れなくなることが多く、また連絡が取れたとしても相手方が承諾してくれないということもありまして、実際上は、このような文書を相手方から入手することは困難です。

Q: いろいろあるのですね。

A: はい、もう1つだけ紹介しましょう。
 それは、「代位弁済」と言って、債務者以外(取引先のA社以外)の第三者に、代わりに支払って貰うことです。
 ただこれも、そうした代わりに支払ってくれるような人ははたしているのだろうか?ということで、実際上は、難しいことがほとんどと言えます。

Q: そうすると、先取特権も代位弁済も困難なことが多いということですね。
 ただ、相殺は、自社に相手方に対する債務があれば可能ということになりますね。

A: そういうことです。
 ですから、相手会社が倒産する前に、その兆候をつかんで、事前に、取引を慎重にするとか、なんらかの保全措置を取っておくことが必要ということになります。

Q: そういうことですか。
 結局、相手会社から「破産申立通知」が来たときには、対策を打つことはほとんど難しい、その前に手を打つように、ということですね。


■次回のテーマ
「支払延期を求められたらどうすべきか?」について
2011/11/28(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■取引先が破綻した場合の回収方法↓↓↓
 http://www.hiroshima-kigyo.com/105/10510/

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