コラム

2011-11-15

弁護士・江さんの何でも法律相談「契約解除はどのような場合にできますか?」

2011/11/14(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「契約解除はどのような場合にできますか?」について
山下江法律事務所 契約解除

■契約解除はどのような場合にできますか?
 相談者 64歳/女性

Q: 私は夫が死亡したため、現在、夫が作った会社の社長になっています。
 相手方の会社からの納入品に不良品が多いので、相手方との契約を解除し、別の会社との取引に変えようと思っています。
 相手方が同意しなくても、契約をやめることは可能なのでしょうか。

A: そうですね。この「やめること」というのを、法律上は「解除」と言います。
 契約解除は、相手方の同意を得て、相手方の納得済みで解除できれば、それに越したことがありません。
 これを「合意解除」と言います。

 しかし、ケースによっては、相手方が解除に応じないという場合もあります。
 こういうときに解除できないと、困りますよね。
 今後とも不良品を納入し続けなければならなくなるわけですから。
 そこで法律は、相手方の同意が無くても解除できる場合について定めています。
 この解除を、法律で定めた解除、「法定解除」と言います。

Q: どんな場合に、その「法定解除」ができるのでしょうか?

A: 一番典型的なものは、相手方が債務を履行しない場合に発生する解除権です。
 「履行」とは相手方が約束通りのことを実行することです。
 この相手方が債務を履行しない場合に発生する解除のことを、「債務不履行による解除」と言います。

Q: 「債務不履行による解除」、ですか・・・

A: はい、債務不履行による解除です。これには、次の3つの態様があります。
 専門用語で申し訳ないのですが、「履行遅滞」、ちゃんとした時間にやってくれなくて遅れてしまう、という場合です。
 2番目が「履行不能」、やることがもう出来ないとわかっている場合ですね。
 それから「不完全履行」、やってはもらったけれどちゃんと出来ていない・・・この3つの場合です。

 「履行遅滞」の場合は、相当期間を定めて履行を促しても(催告)、それでも相手方が履行しないときに、解除権が発生するものです。
 例えば、商品のカタログの製作を、いつまでにと契約して、印刷会社に注文したとします。
 ところがその会社が決めた期限までに製作してくれないという場合です。
 こういう場合に相当期間を定めて催告をしても、その会社が履行してくれなかったとき、解除することができます。
 催告、すなわち履行を促すことが必要であり、いきなり解除はできません。

 ただし、クリスマスイブ商品のようにイブまでに納入しなければ意味がないような場合の遅滞は、法律上「定期行為の遅滞」と言い、一定時点までに履行しなければ契約の目的を達成できないので、催告は不要です。

Q: そうですよね。クリスマスイブに間に合わなければまったく意味がないものは、困るだけですよね。
 そして、2つめは…何でしたっけ?

A: はい、「履行不能」の場合です。
 例えば、契約の相手方がその内容を履行する前に、倒産してしまって履行できないことが確実となったときなどです。
 履行不能は、そもそも契約の基づく履行が不能な場合ですから、催告は不要です。

 そして、3つめが、「不完全履行」と言われるものです。
 これは、約束の物がちゃんときたんだけれど、その目的物に欠陥(法律上は瑕疵と言う)がある場合や、その履行の方法が不完全な場合などを言います。
 その不完全な部分を後で補うことが可能な場合は、履行遅滞に当たりますから、催告をして相手方が応じなければ解除できます。
 後に補完することが不可能な場合には、履行不能に当たりますから、催告無しで解除できます。

 さて、今回のご質問の、「不良品が多いので・・・」というのは、この「不完全履行」の場合に当たります。
 ですから、相談者の会社としては、相手方に対し、 まず、欠陥を直したものを納入してくれと催告をする必要があります。

Q: まずは相手に「ちゃんとしたものを納入してくれよ」と言うのですね。

A: ええ。それでも同じように不良品を納入してきた場合に、解除(法定解除)が可能となります。

Q: なるほど。不良品が多いからといって、いきなり相手方会社に対して、契約解除というのはできないということですね。
 ちゃんとしたものを納めてくれとまずは要求して、それでもダメなときに、解除ができる、ということですね。

A: はい、そういうことです。
 1つ注意点があります。
 この3つの解除、「履行遅滞」「履行不能」「不完全履行」、いずれも債務を履行しない者の過失、不注意が必要なんですね
 ですから、例えば、大地震により相手方が債務の履行をできなくなった場合には、この債務者には過失がないので法定解除はできないことになります。
 ただ、この場合には両者とも仕方なしということで、それなりの合意ができると思います。

Q: 債務不履行による解除には、履行遅滞、履行不能、不完全履行の3つがあることは分かりました。
 法律で解除できる場合として、それ以外にどのような場合があるのですか?

A: いろいろあるのですが、時間の関係で、典型的なものを2つほど簡単にご説明しましょう。

 1つは売買契約における売主の瑕疵担保責任と買主の解除権というものがあります。
 売主には欠陥(瑕疵)のないものを買主に引き渡す義務がありますが、この欠陥がある場合に売主が負う責任を「瑕疵担保責任」と言います。
 例えば、相手方会社に、ある製品を作るための工作機械を発注しました。
 ところが、その工作機械には欠陥があり、当社が予定していた製品を作ることができないことがわかったとします。
 このように、買主が売買契約の目的を達成できない場合は、その契約の解除と損害賠償請求ができると法律で定められています。

 もう1つは非常に身近なもので、賃貸借契約における解除権というものがあります。
 典型的なもので、自分が住むためにマンションを借りたとします。
 この場合に大家さんに無断で、誰かに又貸しすると、大家さんはその賃貸借契約を解除できます。  
 今日はこのくらいにしておきましょうかね。

Q: 今日はいろいろと法律で決められていることを少しだけ聞かせていただきました。まだまだたくさんありそうですね。大変参考になりました。


■次回のテーマ
「取引先から突然の「破産申立通知」が…」について
2011/11/21(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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