コラム

2011-11-01

弁護士・江さんの何でも法律相談「胎児は相続できますか?」

2011/10/31(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「胎児は相続できますか?」について
山下江法律事務所 離婚 相続

■胎児は相続できますか?
 相談者 32歳女性

Q: 私は2か月前に結婚して海外へ新婚旅行に行きましたが、その旅行での夫の態度に失望し、帰国後すぐに離婚しました。
 夫はその後、交通事故で死亡しました。
 その後、私が妊娠していることが判明。父親は離婚した夫です。
 この夫は市内に不動産を所有していたので、今、その相続問題が発生しています。
 私は離婚をしているので、相続の権利はないのでしょうか。
 また、私のお腹の中の子どもは、どうなのでしょうか?

A: いわゆる、成田離婚ですね。
 相談者の方がだんな様の死亡前に離婚をしていなければ、相談者は配偶者ということになります。ですから相続人となるはずでした。
 しかし、この文面からみるからには、離婚した後でだんな様が死亡したようですので、その死亡の時点では配偶者ではないですよね。
 ですからこの相談者は、相続人となることはできません。

Q: そうですよね。
 離婚された時には赤ちゃんがお腹にいることをご存じなかったのかもしれませんね。
 では、お腹のこどもについては、どうでしょうか?
 まだ、生まれてきていませんが…。

A: 民法に規定があり、胎児(お腹の中の子ども)は相続に関してはすでに生まれたものとみなされることになっています。

Q: 相続権があるということですね

A: そうなんです。相談者のお腹の中の子どもは、離婚した夫(子どもの父)の相続人になります。
 したがって、相談者であるこの方は、胎児が生まれてきてから、胎児の代理人として、胎児のために、離婚した元夫の相続財産に対し、相続人としての権利を主張することができます。

Q: 権利を主張することができるのですね。無事、生まれてくるといいですね。

A: そうですね。万が一、流産ということになってしまうと、先ほど述べた民法の適用はなくなり、お腹の中の子どもには相続権は発生しなくなります。
 民法では、胎児が死体で生まれた時は、既に生まれたものとみなすという規定は適用しない、と定められているのですね。
 相続問題が発生しているということなので、穏やかな環境ではないかもしれませんが、あまりストレスを溜めないで、ゆったりと過ごしていただきたいですね。

Q: 本当にそうですよね。
 お腹の子どもが相続人となるのであれば…という書き出しでもうひとつ質問があります。
 生まれてきた子どもの他に、離婚した夫の親族で相続人となる人は、いるのでしょうか?ということなんですが…。

A: 離婚しただんな様が交通事故で死亡するまでの間に、他の誰かともし結婚していれば、その方がこのだんな様の配偶者ですので、相続人となります。
 結婚していなければ、相続人は相談者のお腹にいる胎児のみということになります。

Q: このだんな様はご両親がご健在のようですが、だんな様のご両親は相続人とはならないのでしょうか?

A: ご両親にしてみれば自分の子どもが死亡したうえに、離婚した相手の女性の方に子どもの財産がいってしまう、というのはちょっと堪らないかもしれませんね。
 ですが法律では、このだんな様のご両親は相続人とはならないのです。

Q: ならない!ならないのですか?

A: そうです。なりません。

Q: お子さんだけが相続人なのですか?

A: そうなんです。胎児が子どもとなされますので、子どもが相続人になる場合は、その次の相続順位である亡くなった方の父親・母親は相続人にはならないということになるのですね。

 先ほど申し上げたように、もし相談者との離婚後に、このだんな様が誰かと結婚していれば、その女性も相続人となります。
 また、その女性が妊娠していれば、その胎児も相続の権利をもつことになるということです。

 さきほど、相続順位と言いましたが、相続については決まりがあります。

Q: ぜひ教えてください。
 私はご両親が相続できるものだと思っていましたけど、子どもさんが1番であると・・・順位があるのですね。

A: 必ず相続人になるのは配偶者です。これは結婚していれば、ですね。離婚していればもうだめですよ。あるいは死亡していれば。
 結婚していて配偶者がいれば、配偶者が相続人です。これは1番であって、2番や3番になることはないです。配偶者は常に相続人です。

 配偶者があって、それと同順位、同じような位置であるのが、子どもがいれば子どもが相続人になります。

 そしてここから順位があります。
 子どもがいれば、子どもでおしまい。
 子どもがもしいなければ、亡くなった方のご両親、父親・母親が相続人となります。それがいればそこでおしまいです。
 それがすでに死亡していた場合には、3番目に兄姉妹。

 というように、子ども、両親、そして兄弟姉妹という順位があります。
 だから、配偶者しかいなければ配偶者なのですが、配偶者に子どもがいれば配偶者と子ども、子どもがいれば、そこでおしまいなのですね。

 ですから今回の場合、胎児が子どもとみなされますから、ここでおしまいです。
 その亡くなった方のご両親は相続人にはならない、ということになります。

Q: 子どもがいるかいないかで、相続人が変わってくるんですね。
 まずは、このご相談の方のお腹の子どもが無事に生まれてくること願っています。
 相続は、それからの問題ですよね。

A: そうですね。
 遺産分割協議は、複雑な問題です。
 お腹の中の子どもが生まれてみないと、相続人が誰か、その相続分がいくらなのかも決まらないのです。
 遺産分割は子どもが生まれるまで待ってですね、その子が無事に生きて産まれてから、この子を相続人に加えて、遺産分割の話し合いをすることになるでしょう。
 もちろん、その生まれたばかりの子はまだ話せませんし、理解もできない未成年者ですから、その親である、この相談者の方(親権者であるお母さん)が代理人として、遺産分割協議の話し合いに参加することになると思います。

Q: 相続の問題は、人それぞれの立場によって変わってきますから、疑問や争いがあれば、弁護士などの専門家を訪ねて、相談して対応していくのが、いいかもしれませんね。


■次回のテーマ
「印鑑の押していない契約書は有効ですか?」について
2011/11/7(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■遺産分割の方法「法定相続人とは?」↓↓↓
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