コラム

2011-10-25

弁護士・江さんの何でも法律相談「遺留分を放棄させることは可能?」

2011/10/24(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「遺留分を放棄させることは可能?」について
山下江法律事務所 相続 遺留分

■遺留分を放棄させることは可能?
 相談者 67歳男性

Q: 先週、財産相続のお悩みの中で「遺留分減殺請求」という話がでましたが、今週のお悩みは、その放送を聞いてのご相談です。
 先週、この放送で聞いたのですが『遺言を残しておいても相続人は、「遺留分減殺請求」ができ、一定の財産を取得することができる。』とおっしゃっていました。
 私には、世話になった人がいて、その人に財産の全てをやりたい!と思っています。
 遺言書を作成すれば良いと思っていたのですが、どうやらそれだけではいけないようですね。
 遺留分減殺請求ができないようにする何か、良い方法はありませんか?

A: この方は、自分の相続人には財産をやりたくないのですね。
 お世話になった人に財産を全部、そういう方がいらっしゃってもおかしくないですね。
 相続人の協力が必要になりますが、そういう方の希望に応え、生前に全部が世話人に相続されるようにする方法は、あります!

 相続人が遺留分の請求ができるのとは反対に、被相続人の生前中に予め、推定相続人(相続人となる予定の人)に遺留分を放棄させる制度があります。
 今のうちに、相談者の方の推定相続人に、遺留分をあらかじめ放棄してもらえばよいのです。

Q: 放棄してもらえばいい!そんなこともできるのですか?どうすれば、いいのでしょう?

A: これは、家庭裁判所に申立をする必要があります。遺留分放棄の申立をして、家庭裁判所の許可が必要になります。
 家庭裁判所では、遺留分放棄の申立が、本人の自由意志に基づくものか、放棄の理由に合理性・必要性があるか、などを考慮し、許可、あるいは却下の決定をします。

 ですから、世話になった人に全てを取得させたい、というのであれば、この遺留分の権利を持っている人に、その事情を話し、その人に、家庭裁判所に遺留分放棄の申立をしてもらいましょう。

 もちろん、それとともに、相続財産全部を取得させたい人に、遺産すべてを取得させるという内容の遺言書を作成する必要もあります。

Q: 遺言書作成には、やはり、公正証書遺言が良いのでしょうか。

A: そうですね。今月の初めの放送でもお話ししましたが、普通方式の遺言書には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言、という3つの種類があります。
 公正証書遺言は、公証人役場に行って作ってもらうものですが、これが一番確実ですので、これをおすすめします。

Q: この遺留分放棄の申立は、相談者が生きている間に手続きをしておけばいいのでしょうか?

A: そのとおりです。

Q: 推定相続人に予め、相続を放棄して貰うという「相続放棄」という手続はできないのですか?

A: 「相続放棄」と「遺留分放棄」の手続きは、制度の違いなのですが、よく混同される方がいらっしゃいます。

 被相続人(亡くなられる人)が、生前に相続人が相続放棄をするということはできないことになっています。
 相続放棄は、相続開始後、すなわち、被相続人となる人が死亡した後でなければ、できないのです。

Q: 「相続放棄」と「遺留分放棄」は違うものだったのですね。


A: ちょっと整理しておきますと、遺留分は被相続人のプラス財産につき(借金などのマイナス財産ではない)、一定の相続人が権利を行使できるものです。
 そして遺留分放棄は、そのプラスの財産を相続開始前や開始後において行うものなのです。
 先ほど家庭裁判所の許可がいると言いましたが、それは、相続開始前だけ必要です。
 相続開始後は、家庭裁判所の許可は不要です。

 これに対し、相続放棄は、被相続人のプラスやマイナスの全ての相続財産について、相続開始後に、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に行うものです。

 両者は制度がまったく異なります。
 よく混同する人がありますので、注意して貰えればと思います。
 相続放棄はあくまでも死亡した後に、その相続財産の対象について自分が引き継ぐか引き継がないかという話であって、プラス財産もマイナス財産も全て含まれます。

 これに対して、遺留分放棄は被相続人となる人が死亡の前にも、法的な権利として一定の相続人であることによって当然取得することのできる権利を、予め放棄することができるという権利です。
 ですから、本当に本人の意思に基づいて行われたのかどうかということをチェックするために、家庭裁判所に対して遺留分放棄の申立をして、家庭裁判所が調査をしたうえでそれを許可する、あるいは却下する、という手続きになっています。

Q: 遺留分放棄は、被相続人が生存中に家庭裁判所に許可を得て放棄することはできるが、相続放棄は、被相続人が生前中には手続きをすることができない、ということですね。

A: はい。そうですね。
 例えば、被相続人の生存中に、遺留分放棄をしたとします。
 被相続人が、財産以上の多額の借金を負ったまま死亡したという場合もあります。
 この場合には、遺留分放棄は生前にしたけれども、さらにあらためて相続放棄の手続きをしないと、その借金を相続することになってしまいます。
 ですから、どちらかというと相続放棄の場合は、借金が多いような場合に取られる手続きであり、遺留分放棄は、プラス財産を要らないよ、と、そのことを予め生前に確認してもらうための制度と言ってよいのではないでしょうか。

Q: なるほど、これは気をつけなければなりませんね。私はこういう状態になったらまず弁護士事務所にかけつけることにします。


■次回のテーマ
「胎児は相続できますか?」について
2011/10/31(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■相続するか、しないか?その方法は3種類あります↓↓↓
 http://www.law-yamashita.com/105/10530/

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