コラム

 公開日: 2011-10-12  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「死亡した父の借金取り立てが来た」

2011/10/10(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「死亡した父の借金取り立てが来た」について
山下江法律事務所 広島弁護士 相続放棄

■死亡した父の借金取り立てが来た
 相談者 48歳女性

Q: 先日、一年前に死亡した父の債権者という人から、「父に貸した4,000万円を支払って欲しい」という内容証明郵便が来ました。
 父の相続人は、私のみです。私はこの4,000万円を支払わなくてはいけないのでしょうか?

A: これは、驚かれたでしょうね。突然、届いたのでしょうね。
 ただ、相続人が相談者の方だけ、ということですので、お父さんの借金は、法律上は相談者であるこの方が全て相続することになります。
 したがって、この方には、お父さんの借金4,000万円の支払義務が、相続によって生じてしまうことになります。

Q: 負の財産がこんなにあったのですね。とても残念なことですね。
 そして江さん、ここからがとても気にしていらっしゃる悩みのようです。ちょっと読んでみますね。
 「私には4,000万円を支払うことはとうていできません。父の相続財産も、特に他に見当たるものはないのです。」ということなんです。
 何か良い方法はないのでしょうか?

A: そうですね。
 借金の相続を回避するためには、「相続放棄」という方法があります。
 これは被相続人、すなわち亡くなられたお父さんの資産を譲り受けないかわりに、借金なども一切引き継がないという手続をすること、これを「相続放棄」と言うのですが、これが有効な手段と言えると思います。
 ただ、ここで気をつけなければならないのは、この相続放棄の出来る期間というものがあります。
 民法の条文上は、こうなっています。「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」。
 相続の開始があったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所に申し出る必要があるのですね。

Q: 相談者の方の場合、お父様が亡くなられてからすでに1年が経過しているということですが、この「3ヶ月以内」という期間については、大丈夫でしょうか?

A: 条文上の文言通りで言うと、3ヶ月を過ぎていることになるのですが、相談者の方は、お父さんの4,000万円の借金を、その内容証明郵便が届いた時点で初めて知ったと思われます。
 4,000万円の借金を知ったのは、その内容証明郵便が届いたことがきっかけではないですか?

Q: そのようです。まさに寝耳に水…状態だったようですよ。

A: そうであれば、今からでも相続放棄の手続は可能です。
 というのも、法律の条文は先ほど述べたようになっているのですが、法律も無理なことを言うことはできないわけです。
 相続人が、被相続人(亡くなったお父さん)に借金があることを知らないのに相続放棄をすることは、事実上困難なことです。
 そこで裁判所は、相続人が、被相続人の借金の存在を知った時から「3ヶ月以内」、つまり条文では「相続の開始があったことを知った時」、すなわち通常は死亡した時点になっているのですが、裁判所は、この条文の解釈について「被相続人の借金の存在を知った時から3ヶ月以内」とすべき、と判断しています。

Q: では、この内容証明郵便が届いてから3ヶ月以内であれば相続放棄ができる!ということですね。
 まだ、3ヶ月たってないといいのですが。

A: そうですね。3ヶ月たっていなければ出来るのですが、ひとつ、注意すべき事があります。
 相談者の方が相続放棄をすると、この相談者の方は最初から相続人でなかったことになります。
 そうすると、別の方が相続人となる場合があります。
 本件では、相談者が相続放棄をすると、お父さんの親が生きていれば、その親(相談者の祖父、祖母ですね)が次に相続人となります。
 ですから、次に祖父・祖母の相続放棄の手続が必要となります。
 祖父や祖母が相続放棄をする、もしくはすでに死亡している場合は、次の順位である、お父さんの兄弟姉妹が相続人となります。
 そうすると、今度はお父さんの兄弟姉妹が相続放棄の手続をしなくてはなりません。
 このように、誰かが相続放棄手続をすると、その方が最初から相続人ではなかったことになるため、それに引き続いて、第2次、あるいは、第3次の相続放棄の手続が必要となる場合がありますので、注意が必要です。

Q: 3次で終わりですか?

A: はい、終わりです。どんなに多くても3次で終わりです。
 2次で終わるもの、あるいは次の順位がない場合もありますが、最長で第3次の相続放棄の手続が必要です。

Q: なるほど、結構時間がかかりそうですね。
 ところで、もしこの3ヶ月が経過していた場合は、もうどうしようもないのでしょうか。

A: そうですね。
 借金の存在を知ってから放置していた場合に、この3ヶ月が過ぎていると相続放棄が無理ということになるでしょうね。
 その期間にそういう手続があるのにしなかったということですから、債権者としてみれば、お金を払ってくれるという期待を持つことになるので、法律もその期限を「3ヶ月」というふうに区切っているのですね。
 その場合に借金が多くてなかなか払えないというのであれば、自己破産をするなど異なる手続を考えていかなければいけません。
 この手続をとれば、相続をした借金も含めて、借金ゼロからの再スタートが切れることになります。

Q: 自己破産、まだ、別の手段があるんですね。
 相続放棄ができなければ、やむおえなく借金を背負わなければ…と悲観することはないのですね。
 このあたりは、やはり弁護士に頼ると、心強いですね。

A: はい。弁護士は悩みを持った相談者が納得できる、よりよい状況への解決方法を考えて、実行し、解決へと導いていくことが使命ですからね。
 一人で悩まず、まずはご相談いただくことをお勧めします。


■次回のテーマ
「弟から遺留分の請求が…」について
2011/10/17(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■相続と相続放棄についてはコチラ↓↓↓
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