コラム

2011-10-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「夫が別の女性との間でつくった子に相続させたくないが…」

2011/10/3(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「夫が別の女性との間でつくった子に相続させたくないが…」について
山下江法律事務所 財産相続

■夫が別の女性との間でつくった子に相続させたくないが…
 相談者 70歳女性

Q: 私の夫は40年前に出て行き、別の女性との間に子どもをつくっています。私と夫は、離婚はしていません。
 私名義の不動産などの財産もありますが、私の死亡後にその子どもには相続させず、私の子どもに全部行くようにしたいと思っています。
何か、今のうちに手続き等、しておくことはありますか?

A: そうですね。まずは、相談者の方の子どもに対して、全部財産を相続させるという内容の遺言書を作成しておくことです。

Q: 以前、教えていただいた中で、遺言書にも何種類かの遺言方式がありましたよね?
 この場合、どのような遺言書を作成するのが、有効でしょうか?

A: よく覚えていらっしゃいましたね。その通りです。遺言には大きく分けて普通方式と特別方式があります。
 ここでは特別方式の話はさておくとして、その普通方式の中にも3つあります。
 ①自筆証書遺言…自分で書いてそのまま遺言にするもの。
 ②公正証書遺言…公証人役場に行って公証人に作ってもらうもの。
 ③秘密証書遺言…これも公証人役場に行くのですが、封筒に入れて何が書いてあるのかわからないように秘密にしておくもの。
 一般的には②の公証人役場に行って遺言を作ってもらうのがおすすめです。
というのは、自筆証書遺言の場合には、内容が本当なのか、その遺言が適法なのかということが争われる場合がけっこうあるためです。
 一番確実で内容もはっきりしているのは、公証人役場に行って作る公正証書遺言です。
 この遺言書に「すべての財産を自分の子どもに取得させる」と書いておきましょう。

Q: まずは、遺言書を作成する、これだけでは、ダメですよね?

A: はい。次に、だんな様に遺留分放棄の手続きを家庭裁判所にしてもらい、家庭裁判所の許可をもらうことが必要です。
 これは、相談者の方がだんな様より先に死亡した時は、だんな様も、相談者の方の相続人になります。
 この場合、先ほどお話したように、遺言書に「すべての財産を自分の子どもに取得させる」と書いていたとしても、だんな様は相談者の相続財産の4分の1を請求する権利、これを遺留分減殺(ゲンサイ)請求権といいますが、この権利を持つことになります。

 遺留分減殺請求権というのは、無くなった方の一定の相続人(配偶者を含みますが)は、その立場にあることだけで、被相続人の生前の意思と関係なく、すなわち、亡くなった方が生前に遺言書にどのように記載したとしても、一定の相続財産を取得できる制度です。
 相談者の場合は、だんな様の相続分は2分の1、さらにその2分の1が、遺留分として認められています。
 亡くなった方が遺言書に「すべて子どもに」と書いてあったとしても、だんな様は亡くなった方の財産の2分の1の2分の1、すなわち4分の1の財産を取得できることになるのです。

Q: そういう権利があるのですね。

A: そうですね。そうなると、40年前に出て行っただんな様は、相談者の方の4分の1を取得できますよね。
 その後、だんな様が死亡すると、別の女性との間に生まれた子どもがその一部を相続するということになってしまいます。
 結局そちらの子どもの方に、財産がいくことになります。
 ですから、だんな様が遺留分減殺請求権を行使できないように、予め、だんな様に、遺留分放棄の手続をしてもらう必要がある訳です。

Q: なるほど、予め言っておく必要があるのですね。
 では逆に、相談者の方より先に、だんな様が死亡したという場合には、どうなるのでしょうか?

A: この場合は何の心配もありません。
 だんな様が相談者の方よりも先に死亡した場合は、だんな様が別の女性との間につくった子どもは、相談者の方が死亡した場合の相続人とはなりません。

Q: 江さん、以前聞いたことがあるのですが、相続人が死亡してもその次の相続人が代わって相続する、と言う話、ありませんでしたか?

A: それは「代襲相続」のことですね。
 これは、相談者であるこの方が死亡した時に、この方の子どもがすでに死亡していたというような場合に発生します。
 子どもの子ども、すなわちこの相談者のお孫さんが、代わって相続人となるということです。
 しかし、配偶者との関係では「代襲相続」の適用はありません。
 ですから、相談者の配偶者であるだんな様が先に死亡したからといって代襲相続はありません。

Q: だんな様と別の女性との間の子どもが相続をすることはない、ということですね。この点は、安心できますね。

A: そうですね。だんな様が先に死亡すれば何の問題もないのですけど、どちらが先に亡くなるかはわからないので、もしだんな様より自分が先に死亡した場合に、自分の財産がだんな様に相続され、そしてそのだんな様の子どもに相続されていくということが発生するのですね。
 そういうことですから、絶対に向こうの女性の子どもには財産を取られたくない!ということであれば、まず「財産はすべて自分の子どもが取得する」という遺言書を作成すること、そしてさらにその、まだ離婚はしていないけれども別の女性と住んでいるだんな様に、遺留分放棄の手続きをしてもらい、家庭裁判所に許可をしてもらう。
 まずはこれらを実行していただくことで、この相談者の方の悩みは解決できます。


■次回のテーマ
「死亡した父の借金取り立てが来た」について
2011/10/10(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■相続問題「遺言のすすめ」はコチラ↓↓↓
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