コラム

2011-09-30

弁護士・江さんの何でも法律相談「離婚したら夫の年金の半分がもらえる?」

2011/9/26(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「離婚したら夫の年金の半分がもらえる?」について
山下江法律事務所 年金問題

■離婚したら夫の年金の半分がもらえる?
 相談者 62歳女性

Q: 夫との離婚を2年くらい前から考えています。
 離婚をすると、夫の年金の半分がもらえる制度があると、友人から聞いたのですが、これについて詳しく教えてください。

A: いわゆる「熟年離婚」ですね。
 この方のご主人は、サラリーマンだったのでしょうか?

Q: そのようですよ。長い間会社勤めをして…と書いてあります。

A: そうですか。お友達から聞いたというのは、おそらく「離婚時の年金分割」制度のことでしょうね。
 この制度は2つあり、平成19年4月1日から実施されている「合意分割制度」と、平成20年4月1日から実施されている、いわゆる「3号分割制度」と言うものがあります。

Q: 平成19年、20年と2回に分けて制度があるのですね。

A: そうです。若干説明しますね。

 1つめの「合意分割制度」は、平成19年4月1日以降に離婚をした場合に、婚姻期間中の当事者の厚生年金や共済年金の標準報酬(支払額)について、当事者の合意又は裁判手続によって、その分割割合を定める制度です。
 合意や裁判手続きによりますので、「合意分割制度」と言っています。

 もう1つの「3号分割制度」は、平成20年4月1日以降に離婚をした場合で、かつ、その日以後に被扶養配偶者、これはその扶養を受けている配偶者のことです。

Q: この相談の場合は奥様のことですね。

A: そうですね。通常はサラリーマンの奥さんなどのことです。
 国民年金の第3号被保険者、第3号被保険者とはサラリーマンの奥さんなどのことですが、この第3号被保険者であった期間がある場合において、その人からの請求により、他方配偶者、すなわちサラリーマンの奥さんであれば旦那さんの、一定の期間、平成20年4月1日から離婚するまでの期間の標準報酬を、当然に2分の1に分割してもらえる制度です。

Q: 「第3号被保険者」というのは、つまり、サラリーマンの妻ということになるわけですよね。

A: はい。サラリーマンの奥様もそうですが、逆の場合もあります。奥様がサラリーマンで旦那さんが家のことをされている場合もありますので。
 ですから正確に言いますと、「第2号被保険者」に扶養されている配偶者ということになります。

 「第2号被保険者」とは何かと言うと、厚生年金に加入する会社員とか、共済年金に加入する公務員等です。これを国民年金(基礎年金)の「第2号被保険者」と言います。
 この「第2号被保険者」に扶養されている配偶者で、年収130万円未満、例えば専業主婦などで、20歳以上60歳未満の人が、「第3号被保険者」です。

 この「第3号被保険者」が対象となる「3号分割制度」では、社会保険庁長官に請求をすれば、自動的に、平成20年4月以降離婚するまでの期間の標準報酬の2分の1を受け取れることになります。
 しかし、もう1つの「合意分割制度」では、合意ないし、裁判により婚姻期間中の標準報酬について、この方が専業主婦であれば、ご主人が受け取る厚生年金の最大で50%を社会保険庁から直接受け取ることができます。

Q: 「最大で…」ということは、自動的に50%と決まっているというわけではないということですか?

A: そうですね。「合意分割制度」の方は自動的に決まっているわけではなくて、離婚に伴う財産分与の場合と同じように、ご主人の財産形成に、奥さんがどの程度寄与したか、どの程度貢献したかを考慮して決まります。
 また、奥さんが結婚後の一時期働いていて、厚生年金に加入していたという場合は、奥さん側が受け取る年金も加算した合計金額の最大50%ということになります。

Q: 専業主婦が離婚した場合、年金の低さが問題となっていましたが、このような制度で守られているということなんですね。
 半分でも受け取れると、随分助かると思います。

A: ここでよく勘違いをされている方がいるので、補足しておきましょう。
 1つは、平成20年4月以降に離婚をすれば、「夫の年金を半分もらえる」と思っている方が多いようですが、分割の対象となるのは、厚生年金のうちの報酬比例部分だけで、基礎年金部分は対象外となります。

Q: 全部ではないのですね。

A: そうですね。すなわち、日本の年金制度は、基礎年金ないし国民年金の1階部分、厚生年金や共済年金などの被用者年金という2階部分、そして、私的な年金など企業年金の3階部分からなっています。分割の対象となるのは、その2階部分のみです。

Q: 私的な年金の部分も分割してほしいような気がしますが。

A: それは対象になっていないのです。
 もう1つ、忘れてはいけないのが、分割される年金は結婚期間分だけです。
 相手が働いて厚生年金に加入していても、独身期間については、分割の対象にはならないということです。
 すなわち、その方の勤続年数と対象となる保険支払期間は、同じ年数ではないということを理解しておくことが必要です。

 そしてもう1つ、「3号分割制度」というのは、平成20年4月1日から離婚までの期間が分割支払の対象となるだけです。
 ですから、両制度を組み合わせた請求、ないしはどちらかに包含して合意分割するなど、いろいろな解決方法があります。

Q: そうですか。
 結婚生活においては、妻のサポートがあるから、夫が外で働ける…という基本の考え方に基づいているわけですからね。
 一緒に保険料を支払った期間、すなわち婚姻期間が対象というのは、当然ですよね。

A: そうですね。すべて自動的に半分もらえるわけではないよ、一緒にいた結婚期間の分がその対象になりますよ、ということです。
 あと、この年金分割制度は、先ほど申し上げたように厚生年金と共済年金の場合についてのみ対象となる制度ですから、自営業で、国民年金にしか入っていない場合は、対象外です。

Q: では、専業主婦以外の場合ではどうでしょう?
 先ほど、結婚後一時的に厚生年金に加入していた場合という例は出てきましたが、長い間、共稼ぎだったご夫婦についてはどうなのでしょうか?

A: 共稼ぎでも、年金分割は適用されます。その場合、夫婦で支払った保険料の合計の50%が最大ということになります。
 離婚後の生活が不安で、ストレスをためながら婚姻生活を続けて行くのもいかがなものかと思います。だからといって、後先考えず離婚を選んでしまうのも、どうかと思います。
 やはり、何事にもそうですが、一人で悩まず、まずは相談をしていただきたいですね。


■次回のテーマ
「夫が別の女性との間でつくった子に相続させたくないが…」について
2011/10/3(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■離婚にまつわるお金の問題「年金分割」
 http://www.hiroshima-rikon.com/105/10525/

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