コラム

2011-09-21

弁護士・江さんの何でも法律相談『娘が「婚約を破棄したい」と言っているのですが…』

2011/9/19(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
『娘が「婚約を破棄したい」と言っているのですが…』について
山下江法律事務所 婚約破棄

■娘が「婚約を破棄したい」と言っているのですが…
 相談者 52歳女性

Q: 私の娘の縁談が整い、結納も済み、結婚披露宴の案内も出したところです。
 しかし、今になって、娘が「結婚をしたくない」と言い出しました。「婚約破棄」と言う言葉は聞いたことがありますが、それに伴う様々な事柄については正直、よく分かりません。
婚約を破棄した場合には、どのような問題が生じるのでしょうか?

A: おめでたい話なのに…どうしたのですかね?
 娘さんは、なぜ婚約を破棄したいと言っているのでしょう?
 何か、情報が明記してありますか?

Q: 娘さんは、理由として「相手と性格が合わないことがわかった」と言っているようです。

A: それだけですか?

Q: それだけしか…見当たりませんね。この理由というのが、なにか重要なポイントとなるのでしょうか?

A: 婚約破棄に正当な理由があるかどうかで、娘さんに生じる責任は変わってきます。
ですから、理由はとても重要になってきます。
今回のように「性格の不一致」のみを理由にして婚約を破棄する場合は、裁判所において、婚約破棄に正当な理由がない、と判断されることが多いです。

 このような場合は、娘さんの方に約束違反があるということで、法律的には「債務不履行」あるいは「不法行為」の責任が生じます。
 すなわち、婚約が成立したということは、両者の間で、結婚するという契約が成立したことになります。
 婚約破棄というのは、その契約を一方が、一方的に破棄するわけですから、婚約破棄をする正当な理由がなければ、契約の債務不履行ということになるわけです。
 婚約したけど結婚するのがいやになった人に対し、結婚せよと強制することはできません。ですが、結婚するという約束をした以上、これを破ったことに対する責任を逃れることはできない、ということです。

 また、先ほど「不法行為」と言いましたが、娘さんに不注意があり、そのことによって相手方に損害を与えたと評価される場合には、この不法行為という責任が生じることになるわけです。

 具体的にどのような損害が生じるかと言いますと、この場合、婚約破棄によって相手方に生じた損害、例えば、披露宴のホテルのキャンセル料や披露宴の通知費用などです。
 そして、相手方はショックを受けるわけですから、その精神的損害に対する慰謝料などの支払い義務が生じると思われます。

Q: 婚約というものを最近はしない若者も多いのですが、この「婚約の成立」というのはどの時点で婚約が成立したというふうに思ったらよいのですか?

A: 婚約というのは、両者が結婚しようという意思が合致した時にこの契約が成立します。今回は、明らかに意思が合致したことが、「結納」ということで証拠があります。
 合意の成立で契約が成立しますから、特に結納ということがなくても、両者が本当に結婚の約束をしたということであれば、これは婚約の成立と言えます。

Q: この方の場合は結納もされたということですから、もちろん、結納金も返還しないといけないのでしょうね?

A: そうですね。娘さんの方に責任がある以上、結納金は返還する義務が生じます。また、単にそのお金を返せば良いだけでなくて、倍返しなどのその地方の慣行がある場合には、それに従わなければいけないでしょうね。

Q: 「倍返し」はよく聞きますね。このお手紙だけでは、よく分かりませんが、例えば、娘さん側が責任を負わない場合ということはあり得ないのでしょうか?

A: 裁判では次のような場合に、婚約破棄の「正当な理由」があるとして、破棄した側の責任を問わなかったという例があります。

 婚約の相手方に不貞行為があった場合です。すなわち相手側に婚約者以外との性的関係があった場合です。

 相手方から暴行とか、暴言、侮辱を受け、それが婚約を破棄するに値するような場合です。

 相手方に社会常識を相当程度に逸脱した言動があった場合です。
 面白い判例がありまして、ちょっと古いですが、昭和48年頃の判にある事例です。
 男性が入籍前の結婚披露宴で非常にふしだらな格好をし、花嫁側の親戚に挨拶もせず、新婚旅行中も花嫁に笑顔を見せず、旅館では一人入浴食事をし、不安で戦慄して着替えもしていない花嫁と強引に肉体関係を持って、そのまま就寝したが、その初夜に、花嫁が逃げ帰った。翌朝目が覚めて初めて花嫁の失踪に気がついたという例です。
 こういう社会常識を相当程度逸脱した言動があった場合には、婚約破棄の正当な理由となります。

 ほかには、相手方が、性的不能者となってしまった場合、相手方が失業や倒産などにより、収入が極度に低下した場合などです。

 逆に、正当理由がないとされている例は、風水などによると方位が悪い、家風に合わない、性格的に合わないなどです。

Q: 先ほどの、結納金ですが、婚約破棄に正当な理由がある場合でも、返さなくてはならないのでしょうか。

A: 婚約破棄に正当な理由があるときは、相手方が悪いのですから、返還する法的義務はないと言えるでしょう。

Q: 一方的に婚約を破棄したい、と言い出したからといって、理由によっては、全ての場合に責任を問われるということではない、ということですね。
 ご相談のお手紙に書いてあること以上に何か理由があるかもしれません。
 娘さんともよく話をして、解決に向かって欲しいですね。

A: そうですね。無理して結婚して将来離婚するよりは、婚約の段階で破棄した方が良いとも考えられます。
 いずれにせよ、婚約・結婚は一生の問題ですから、慎重に判断していただきたいですね。


■次回のテーマ
「離婚したら夫の年金の半分がもらえる?」について
2011/9/26(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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