コラム

 公開日: 2011-09-13  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「離婚後、子と同じ氏にしたい」

2011/9/12(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「離婚後、子と同じ氏にしたい」について
山下江法律事務所 離婚問題

■離婚後、子と同じ氏にしたい
 相談者 35歳女性

Q: この度、夫と離婚することで合意ができました。
 私達には、未成年の子どもが一人おり、その親権は私が取ることになりました。この場合、当然、子どもは私と同じ氏を名乗ることができると考えていたのですが、どうやら、簡単な話ではない、ということを聞きました。親権者となっても、私と子が同じ氏を名乗るには、何か手続きが必要なのでしょうか?

A: そうなんですね。この相談者の方が親権者だからと言って、この方とお子さんが当然同じ氏(苗字)、すなわち同じ戸籍となるわけではありません。

Q: そうなんですか!初めて知りました。

A: 子の親権者が誰か、という問題と、子の氏の問題はまったく別の問題なんです。

 氏というのは、戸籍制度からきています。
 戸籍制度は、人の親族法上の身分関係を登録・公証する(公にする)ことを目的にしています。
 その場合に、「夫婦及び同氏の子同一戸籍の原則」が取られています。夫婦とその子どもは同じ氏で1つの戸籍、こういう原則が取られているのですね。これは、現在の民法が「夫婦同氏の原則」を採用していることによります。
 婚姻の届出の時に、原則として夫婦について新戸籍を編成することになります。その際には、夫婦の協議により、夫又は妻の氏を称し、その氏の者が戸籍の筆頭者となります。
 そして、この夫婦に子どもが生まれると、その子どもは、その筆頭者の元の戸籍に入ることになります。そして同氏を名乗ることになるのです。
 離婚をする前、すなわち婚姻中の戸籍の筆頭者が夫であれば、相談者は離婚によりその戸籍から抜けることになりますが、子どもは、離婚後も、筆頭者である夫の戸籍に入ったままです。

 そして、その戸籍(夫が筆頭者である戸籍)のその子の欄に、その子の親権者が母親である、ということが記載されるのみとなります。

Q: 基本、ほとんどの家庭が、戸籍の筆頭者は夫となっている場合が多いのではないかと思います。ということは、離婚後、母親が子どもの親権者となっても、別々の姓を名乗らなければならないということですか?

A: そうなんですね。通常ですと、婚姻中の戸籍の筆頭者が夫であった場合、奥さんは離婚によって氏を戻して婚姻前の氏となり、新しい戸籍がつくられます。そして子どもは、筆頭者である夫と同じ氏で、夫の戸籍にそのまま残ります。
 こうした場合には、母が子の親権者となったとしても、母と子の氏は別々ということになります。

Q: 筆頭者が夫の場合に、離婚後も、妻と子どもが同一の氏を名乗るには、どうすれば良いのでしょうか。

A: 離婚後、子どもと同じ氏を名乗る場合には、2つの方法があります。
 1つは、婚姻中と同じ夫の氏を名乗り続けたい場合がありますね。
 自分の婚姻中の氏はいろいろなところで通用しているから、もとの婚姻前の氏に戻るのではなく、婚姻中の氏を名乗りたい、そういう場合であれば、離婚後3か月以内に役場に「婚氏続称の届出」をすることです。
 そうすれば、夫と同じ氏を名乗ることになりますので、子と同じ氏を名乗ることができます。

Q: 新たにとる、ということですか?

A: 新たに届出をしなくてはなりません。3ヶ月以内に。
 何もしないでいると、もとの氏、旧姓に戻ります。こういう届出をすることによって今までと同じ夫の氏を名乗ることができます。
 そうすると子どもは筆頭者である夫の氏を名乗っているわけですから、お母さんとその子どもは「同じ氏」ということにはなります。

 ただし、この場合でも、外から見ると同じ氏なのですが、戸籍は別なんですね。
 お母さんが親権者であっても、子どもは夫の戸籍に入っており、お母さんは別の戸籍です。
 たまたま名乗っている名字(氏)が一緒であるということです。

Q: 子どもさんが婚姻届を出したいといった時に戸籍を見ることがあろうかと思いますが、その時に「お母さんと戸籍は別々だったの」というのは、寂しい気もしますね。
 この方と子どもさんの戸籍を一緒にすることは不可能なのでしょうか?

A: いえいえ、不可能ではありません。それがもう1つの方法です。
 この方と子どもが戸籍を同一にするためには、子どもが家庭裁判所に、「子の氏の変更許可」の申立をし、その許可を得て、子どもが母親の戸籍に入籍する届出をすることが必要となります。
 子どもが15歳未満の時は、その法定代理人である親権者、今回の場合はこの相談者の方が、子どもに代わってこの手続きをすることになります。

Q: 15歳以上なら、氏の変更は、自分の判断でできるということですか。

A: はい。15歳は20歳未満なので未成年ですが、民法は、どの氏を名乗るかについては、15歳以上なら自分の意思で決めていいよ、という法律にしたのです。

Q: 裁判所の許可がいるとのことですが、許可されない場合もあるのでしょうか。

A: 子の氏を親権者の氏に変更する申立については、たいていの場合に許可が出ています。
 そうではない、氏変更申立については、「反対者側の感情上ならびに社会生活上の利害をも十分考慮して、両者の利害の考量の上に立って許否を決すべき」と裁判例は述べています。
 ちなみにこの裁判の例は、旦那さんが、妻と子どもを10年前から遺棄して、別の女性と同棲して、その女性との間に子どもができたというものです。
 その女性の子どもは旦那さんと同じ戸籍ではありません。同棲している女性の戸籍にあります。この戸籍から旦那さんの戸籍に入れるべく「子の氏変更許可」の申立をしたことに対し、奥さん側が反対したもので、裁判所は申立を却下しました。

Q: よく分かりました。ところで、この方は、離婚後は旦那様の氏を名乗ることはやめて、婚姻前の元の氏を名乗ろうと考えていらっしゃるようです。そしてお子さんもこの方と同じ氏を名乗らせたい…ということでした。

A: では、先程お話した、後者の方法を取るべきですね。
 離婚後は、相談者は「婚氏続称の届出」はしないで、家庭裁判所に子の氏変更許可の申し立てをし、その許可を得て、相談者が筆頭者となっている戸籍への入籍届をすればよろしいかと思います。

Q: 手続きは少し手間がかかりますが、子どもさんと一緒の戸籍、そして同じ氏が名乗れる道があって、よかったですね。


■次回のテーマ
 『娘が「婚約を破棄したい」と言っているのですが…』について
2011/9/12(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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