コラム

2011-08-23

弁護士・江さんの何でも法律相談「病院の駐車場で当て逃げされた」

2011/8/22(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「病院の駐車場で当て逃げされた」について
山下江法律事務所 交通事故

■病院の駐車場で当て逃げされた
 相談者 52歳男性

Q: 先日、病院で治療を終え、その病院の駐車場に停めていた車に乗ろうとしたら、右側のドアがくぼんでいました。
 停めている間に、誰かに当てられたようなんです。
 板金塗装の修理代金が約10万円もかかり、腹立たしい思いでいっぱいです。
 当て逃げだから…と、諦めようとしましたが、例えば、車を停めていた病院に責任を問うわけには、いかないのでしょうか?

A: そうですね…。
 この病院に、駐車場の管理の仕方について、問題があれば別ですが、そうでない限り、病院に責任を追及することは、困難だと思います。

Q: 管理の仕方に問題がある場合とは、どういうことですか?

A: 例えば、駐車場の出入り口が極端に狭いなどの理由により接触事故がよく起きているとか、頻繁に出入りする車があり、交通整理が必要なのに、それをしていないため、事故が多発しているような場合には、病院に対して責任を問える場合もあると思います。

Q: ではまずは、そのあたりの状況をもう一度思い起こしてみることですね。
 でも、思い当たることがない場合は、やはり、諦めるしかないのでしょうか?

A: 病院に管理責任が見当たらない場合には、やはり、当て逃げをした人に、損害を賠償してもらうのが筋でしょうね。
 当て逃げをした人、というのは、おそらくこの病院に来た人で、その人の車にもこちらの車のくぼみに対応した傷が付いているはずでしょうから、その人を探すことが先決ですね。

Q: 加害者をみつけるのも…時間が経過していたりするとなかなか容易ではありませんよね。

A: ええ、でも仕方がないですね。

Q: ところで、あちこちの駐車場でよく見るのですが、「駐車場内の事故につきましては、当院は一切の責任を負いません」というような看板がありますよね?
 そのような看板が提示されていない場合は、責任追及ができるなどという決まりはないのでしょうか?

A: こうした看板が出ていなくても、駐車場経営者の管理について、この場合は、病院の駐車場の管理についてですが、特に問題がなかった場合は、やはり、病院に責任を追及することは困難です。

 逆に、そうした看板が出ていたとしても、病院による駐車場管理に問題があれば、病院の責任追及は可能だと考えます。
 なぜなら、こうした「一切の責任を負いません」という看板の記載事項は、事情がある場合には無効になると思われるからです。

Q: なるほど。それが記載されているのは、何か効力があるからだと思っていました。
看板を出していたからといって、駐車場管理者が責任を回避できるとは限らないということなんですね。

A: はい。このような点について、消費者契約法には、「事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効」という項目があります。すなわち事業者が自分の責任を免除され、一切責任を負わないということを明記していても、消費者が不当に利益を害されることがないようにこういう法律が定められているのです。

Q: 消費者契約法というのがあるのですね。詳しく教えていただけますか。

A: 私的な、個人間の権利義務の関係は民法が定めている訳ですが、その場合には当事者が格差のない同様の存在であることを前提としています。
 しかし、実際の消費者の消費活動(購買活動)においては、事業者と消費者との間には、情報量や交渉力などの点において、大きな格差が実際には存在しています。事業者のほうが圧倒的に情報量や交渉力が高いんですね。消費者はそれに比べて非常に低い。
 にもかかわらず、格差のない同様の存在として規定している民法を同じように適用すると、消費者が損害を被り被害者となるおそれが生じます。
そこで、消費者を守るために、特別の規定が必要ということでできたのが、「消費者契約法」です。

Q: 具体的には他にどのようなことが規定されているのですか。

A: よくあるのが、不実告知や断定的判断の提供のような場合には、契約を取り消すことができるというものがあります。

Q: 不実告知とは、事実とは違うことですか?

A: そうですね。不実告知の場合の例をあげますと、シロアリの点検業者が、「シロアリがいるかもしれないから駆除業者が床下を点検させてください」とやってきた。そしてシロアリがいないのに、「あなたの家の床下にはシロアリがたくさんいて、このままでは家が倒れますよ」とウソの告知をしてシロアリ駆除の契約をした、という場合にはその契約を取り消すことができます。これが不実告知の例です。

 そして断定的判断の提供ですね。これは例えば株式売買において、証券会社の人が来てこの株は絶対に値上がりしますよと、儲かりますよと断定的な判断の提供をして、株式を購入させた。これは違法行為になり、株式の売買そのものを取り消して、なかったことにすることができます。

 あるいは、不退去や退去妨害により困惑した中での契約は取り消すことができます。例えば、高価な宝石を買わそうとして訪問し、「もう帰ってくれ」と言うのに家に居座って帰らない。または、宝石の展示販売会場から、店員が買うまで帰してくれない、退去させてくれない。こういうなかで困惑して買ってしまったような場合、その契約を取り消すことができます。

Q: 消費者を守るための契約法があるのですね。改めて聞くといろいろなものがあるのですね。おかしいと思ったら何か救済の方法があるかも知れないから、やはり、弁護士に相談すべきなのでしょうね。

A: そのとおりです。今日は交通事故の話から、消費者契約法の話になりましたけれども、やはりおかしいと思ったら、まず弁護士に相談されるのがよろしいかと思われます。

Q: 今日は、「病院の駐車場で当て逃げされた」についてお送りしました。

この番組では、みなさまからの法律上の悩み、相談事をメールで受け付けております。Eメールアドレス chupea@chupea.fm までお願いいたします。



■次回のテーマ
「バイクの乗せてもらった娘が事故で大けがを…」について
2011/8/29(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

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