コラム

 公開日: 2011-08-09  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「保険金請求権の時効は」

2011/8/8(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「保険金請求権の時効は」について
山下江 保険金請求

■保険金請求権の時効は
 相談者 28歳男性

Q: 私は2年3ヶ月前に自動車事故にあい、重症を負いました。
 しかし、当時、仕事が忙しくて、まだ、自賠責保険の請求をしていません。今からでも、被害者として、損害保険会社に対して自賠責保険を請求できるでしょうか?

A: 残念ながら、自賠責保険金請求権は、時効が2年です。通常の不法行為による損害賠償請求権の場合は3年ですが、それよりも短い2年で消滅時効にかかります。
 不法行為による損害賠償請求権というのは、民法上の請求権で、相手方の不法行為、本件の場合は不注意な運転により被害者に怪我をさせたことですが、これにより損害を受けた場合に、相手方に対し損害を賠償せよと請求することができるという権利です。これについては3年なのですが、自賠責保険を請求する場合の時効は2年と、短くなります。

Q: その賠償請求権の消滅時効が3年ということですね。しかし、保険金の場合は、消滅時効は2年と、短いということですね。
 保険金請求権は2年で時効にかかるとのことですが、いつから2年なのでしょうか。

A: その「いつから」というのを、「消滅時効の起算点」といいますが、被害者請求の場合、すなわち、被害者が直接、相手方(加害者)の保険会社に対して保険金を請求する場合は、損害を知った時からということで、すなわち原則として事故日からとなります。
 ちなみに、被害者に対して損害を賠償した加害者が保険会社に対し請求する場合は、加害者が賠償金を支払った時からです。

Q: 少しずれるのですね。

A: もっとも被害者が請求する場合でも、後遺症がある場合には、後遺障害が発現した日(症状固定日)、後遺症として症状が残ると固定した日が、時効の起算点となります。

Q: ここも少しずれるのですね。

A: そうですね。症状固定日は事故から6ヶ月程度が多いですが、事故・けがの様子によって異なります。
 後遺症があるときは、事故日から2年以上経過していても、症状固定日から2年以内であれば、保険会社に直接請求をすることができます。

Q: この方は後遺症はないようです。

A: そうですか。では、事故後2年3ヶ月経過しているこの方の場合には、被害者として自賠責保険を請求することは、出来ないということになります。

Q: これは、残念ですね。例えばこれが、自賠責保険でなく、任意保険の場合だと、どうでしょう?
 任意保険でも時効は、同じように定められているのでしょうか?

A: そうなんですよ。任意保険の保険金請求権も、自賠責保険の請求権と同じように、保険金を請求できるときから2年を経過すると時効により、消滅してしまいます。

Q: では、この相談者の方は、もう諦めるしかないのでしょうか?

A: いえいえ、諦めるのはまだ早いです。
 保険金請求権は消滅時効にかかっていても、交通事故による損害賠償そのものを請求する権利…これを不法行為による損害賠償請求権と最初に言いましたが、これは3年が時効です。
 ですから不法行為に基づく損害賠償請求権を行使して、被害者は加害者に対して損害賠償請求をすることができます。

Q: 保険金請求権ではなく、損害賠償請求権については、請求できる猶予が残っているというわけですね。

A: そうです。ですから、この方は、加害者に対し、損害賠償請求権を行使し、時効にかかる前に加害者に損害金を支払ってもらうか、請求しても支払ってもらえない場合は訴訟の提起をすることが必要となってきます。
 請求しつづけるだけでは時効は中断しないことは以前でもお話ししたかと思います。時効にかかる前に訴訟提起しなければなりません。裁判上の請求…訴訟とか仮差押えとか方法はいろいろありますが、この裁判上の請求をしなければ時効になってしまいます。

Q: 道が残されていて、よかったですね。
 ただそうなると、加害者は、今更だけど損害金を支払わなければいけません。でも、保険金請求に関わる時効は2年…。ということは、加害者は自腹で損害金を支払うことになるのでしょうか?

A: そうですね。まず加害者ご自身で賠償金を支払う必要がありますね。
 では加害者がその後に、保険を請求できるのかという問題が出てきます。これは被害者に対し損害金を支払った日から2年以内であれば、自賠責保険や任意保険を扱う保険会社に対し、支払った金額の限度において保険金請求することができるのです。

Q: 損害金を支払った日から2年以内。なるほど、これなら両者、納得できますね。

A: 保険金請求権の消滅時効が2年と短くなっているのは、交通事故については、大量に迅速な処理をする必要があるからです。
 ですから、事故にあわれたら、すみやかに保険金請求などの手続をするべきです。
   
Q: 任意保険の場合は、被害者の代理人として弁護士が入るかどうかで、支払われる保険金額に差が出るという話を、前回聞きました。そうでしたよね?

A: はい、そうですね。支払金額については、保険会社の基準と裁判所の基準が異なっております。弁護士が介入すると、保険会社の基準より高額な裁判所の基準に近いところで金額が決まることが多からです。当事務所では、交通事故については、初回1時間無料相談を行っております。まずは、ご相談されることをおすすめします。

Q: 今日のテーマは「保険金請求権の時効は」でした。

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■次回のテーマ
「息子が私の車を無断運転で事故。私の責任は?」について
2011/8/15(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)

■きちんとした補償を受けるには、事故直後から適切な対応をすることが大切です。
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