コラム

2011-07-20

弁護士・江さんの何でも法律相談「認知症になった父が女性に金を・・・」

2011/7/18(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「認知症になった父が女性に金を・・・」について
相続 弁護士 山下江

■認知症になった父が女性に金を・・・
相談者 55歳男性

Q: すでに母は死亡し、82歳になる父がいます。その父が認知症になりつつあるのですが、父に近づいた女性に金をつぎ込んでいます。このままでは、父が所有している証券や不動産なども、その女性に取られてしまいそうです。
 父は、私たちの話を正常に理解することができない状態です。どうにかできないでしょうか。
  
A: 認知症の人は最近増加しつつあり、これをどう解決するかは、重要な社会的な問題となっておりますね。
 今回はお父さんの財産上の問題を解決したいということのようですね。

 お父さんが理解力や判断能力を持ち合わせていないのであれば、家庭裁判所に対して成年後見の申し立てをして、後見人を選任してもらうことができます。

Q: 成年後見という言葉が出てきました。これについて少し説明していただけますか?

A: そうですね。これは精神上の障害によって物事がわからなくなった、これを法律的には、事理弁識能力といいます。事実の「事」に、理科の「理」、弁護士の「弁」に、知識の「識」という漢字を用いて、「事理弁識能力」、すなわち、理解したり判断したりする能力、これがなくなったような人のために、その人の財産を保護するため、その人の財産を後見し、責任を持って保護してあげる人を選任してもらうという制度です。
 
 手続き的には、家庭裁判所が、お父さんの理解力・判断能力などがなくなったのか、医師が鑑定をし、その結果によって、お父さんに後見開始の審判をするかどうかを判断します。
 申し立て時に、医師による鑑定書を付けて申し立てることも多いです。

 後見開始の審判がなされると同時に、お父さんに代わって有効な法律行為をすることができる後見人が選ばれます。
お父さんが勝手に財産処分をしたとしても…、例えばこの女性に家を譲ったりしても、後見人はこれを取り消すことができます。
  

Q: 後見人の役割は大きそうですね。後見人は誰が選任されるのでしょうか。

A: ご本人の推定相続人…相続人となるであろう人がなる場合が多いです。申し立ての時に、その候補者を記載して申し立てをします。
 ただし、推定相続人となる人たちの間において、財産などの争い、あるいは、ご本人の処遇…どこに住むかなどをめぐる争いなどがあるような場合は、家庭裁判所は、公平な第三者ということで、弁護士や司法書士を選任することになると思います。
 私も現在、何件かの成年後見人となっております。

Q: それでは、このお父さんが、少しは理解や判断はできるが、正常とはいえないような場合はどうでしょうか。
 
A: 成年後見制度というのは、精神上の障害の程度によって、3つの制度が用意されております。
 先ほど私が申し上げた成年後見というのは、事理弁識能力を欠くという、「ない」という場合ですが、少しは理解できたり、もっと理解できたりという場合の3段階があります。
 事理弁識能力を欠く常況(じょうきょう)にあるという場合、「後見」といいます。
 そしてその能力が著しく不十分な場合を、「保佐」といいます。

Q: 保佐。

A: ええ、保育園の「保」に、佐渡島の「佐」という漢字を用います。
 そして事理弁識能力の不十分さが一番小さい場合…能力が不十分な場合が「補助」です。

Q: だいぶ軽いということですか?

A: そうですね。
 事理弁識能力を一番欠くのが「後見」で、その次が「保佐」で、その次が「補助」と、この3段階になります。

Q: なるほど。でもこれ、微妙な判断といいますか…。まったく欠くというのはわかりますけど、「保佐」と「補助」の違い、著しく不十分、と、単に不十分とはどこで見分けるのでしょうか。

A: これは難しい判断になると思います。最終的には、医師の鑑定と裁判所による判断になります。

Q: 3つのそれぞれの場合の違いはどうなるのでしょうか。

A: 後見制度では、成年後見人は本人の全面的な代理権を持っています。日常生活に関する行為以外の本人の行為について、本人の同意なしに取り消すことができます。

Q: 本人が同意しなくても!

A: そうです。かなり強力な権限ですね。
 これに対し、保佐制度では、保佐人が、本人の申し立て、または本人の同意を要件に、特定の法律行為について代理権を有します。
 特定の法律行為…、例えば不動産の売買や借金をするなど、こういう行為についてしか代理権を持ちません。
 保佐人は、本人の利益のために、やはり本人の同意なしに、特定の法律行為については取り消すことができます。

Q: できるものもある、ということですね。一番ゆるやかな「補助」はどうでしょう。

A: 「補助」の場合は補助人といいます。本人の申し立て、または同意を要件に、家庭裁判所が定める特定の行為、すなわち法律で定める特定の行為ではなく、家庭裁判所が定める法律行為について、補助人に代理権が付与されることになります。
 また、取り消しのためには、本人の同意が必要とされます。本人に理解があるわけですから、本人が「それは間違っていた、やっぱり取り消してくれ」という同意があってはじめて取り消しができます。

Q: 本人の意見、本人の同意が必要となってくるのですね。ご本人の保護のために、ちゃんとした制度があるのですね。

 ところで、例えば、今、意識がはっきりしているうちに、認知症になったときの財産管理がきちんとできるように、と、自分自身で将来のためになにかしておくということはできないのでしょうかね。

A: そうですね。認知症になってからでは遅いということで、任意後見制度という制度があります。
 自分の判断能力が十分あるときに、将来判断能力が不十分となったときに、自分の代理人(任意成年後見人)となるべき人と、その代理人の権限の範囲を、あらかじめ契約によって定めておくというものです。
 たとえば、生活、療養看護、財産管理など、代理人としてやってほしいということをあらかじめ契約で定めておいて、実際に、本人の判断能力が不十分な状態になったときに、任意後見制度が発動するという制度です。

Q: その契約の効力はいつ発生するのですか。

A: そうですね。いつ本人の判断能力が不十分になったかということですね。
 これは、本人や親族、任意成年後見人などからの申し立てに基づいて、家庭裁判所が、任意後見監督人の選任の審判をしたときからです。
 家庭裁判所という公の場所が、「この段階から任意後見人としての効力を発揮しますよ、確かにこの人は判断能力が弱くなりました」ということを判断した時から、その制度が発動します。

Q: 家庭裁判所が決めるということですね。これだったら安心して歳を重ねられそうです。


■次回のテーマ
「弁護士と司法書士って何がちがうの?」について
2011/7/25(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)


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