コラム

2011-07-06

弁護士・江さんの何でも法律相談「契約書なしで貸した金は返してもらえるか」

2011/7/4(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「契約書なしで貸した金は返してもらえるか」について
広島 法律相談 山下江

■スーパーの床が濡れていて滑って右腕を骨折した
相談者 51歳/男性

Q: 友人に頼まれ、300万円を貸しました。
 親しい間柄なので、契約書を作らなかったのですが、返してもらえるか、気になっています。

A: 貸したお金ですからね。返してもらえるのが通常です。
 しかし、その友人から反論が出てくる可能性はないでしょうか?
 例えば「あの金は借りたものではなく、もらった金だ」とか「借りたのは自分ではなく、他の人であり、自分は間に入っただけだ」とか…。
 あるいは、「借りたのは100万円だったではないか」「すでに返したではないか」そして、「そもそも借りたことはない」などと言う、そのような話が出てくることもけっこうあるんですよ。

Q: この方の場合も、そういうことが絶対ないとは言えないのかもしれませんね。
 親しい間柄とはいえ、返してもらえるかという不安を持っているからこそ、この相談がきたのではないかと思います。
 しかし、既にお金は貸してしまっているという事実があるわけですよね。
 こういった場合、今からだとどのような対応をすれば、この不安を取り除くことができるのでしょうか?

A: やはり今からでも、金を貸した、借りたという契約書、消費貸借契約書を作ることが必要でしょう。

Q: なるほど。どのような内容を書面に書けば良いのでしょうか。

A: 正式には金銭消費貸借契約書と言います。
 誰が誰に、いつ、いくらの金額の金を貸した。すなわち、契約者の当事者、貸付日、貸付金額、貸し付けたこと=お金を相手方に渡したこと。これをまず書きます。
 次に、返す日ですね。弁済日と言います。

Q: 「ベンサイビ」、これはどのような字を書くのですか?

A: 弁護士の「弁」に、返済の「済」で、「ベンサイ」と言います。聞きなれない言葉かもしれませんが、「支払う」という意味です。これを法律上は「弁済」と言います。

Q: 初めて聞きました。

A: まずはこの弁済日を書くこと。
 それから、利子を付けるなら利子。例えば、年5%とか。
 さらに、弁済日に支払わなかった場合の遅延損害金。約束違反の罰則のようなものですね。例えば、1年に10%とか。
 そして契約書の最後に、契約締結日、両当事者の住所、氏名、そして押印ですね。

Q: でも、今さら、書いて欲しいということができない場合はどうすれば良いのでしょうか。契約書を作成するほかに、何かこれに代わる良い案はありませんか?

A: 前にもこの放送で話したことがあると思いますが、契約書を作ることは必ずしも契約の成立条件ではありません。あくまでも契約の成立を証明する、非常に重要な証拠になるものです。
(2011/5/23放送「契約書の必要性」
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1811
 ですから、契約書以外で証拠になるようなものを残しておけば、相手が後々事実と違うことを言ったとしても、それを出して証拠とすることができます。

Q: 裏付けるものですか?

A: そうですね。
 例えばですね、契約書作成を切り出せない場合には、「お金の貸し借りがいつあったよね」「いつ返すって、約束したよね」というような会話を録音しておく、という方法もあります。

Q: 録音ですか。
 相手に隠したままで、隠し取りをすることになりますが、これは問題ないのでしょうか。プライバシーの侵害とかになりませんか。

A: 話をしている両当事者間では、プライバシーの侵害の問題、法律的問題は生じないというのが一般的な考え方です。道義的問題は生じる余地はないわけではありませんが、このような場合にはやむを得ない方法だと思いますね。

Q: ちょっと気が引けますが、しょうがないですね。
 やはり、紙にしろ、音声にしろ、その貸し借りの内容がわかるものを持っておくべきということですね。
 ちなみに、契約書の場合、友人の署名のほか、印がないと効力はなくなるのでしょうか?

A: そんなことはありません。先ほど申し上げましたように、契約書は、あなたが友人に貸したことの証拠となるものです。友人の署名があれば、印がなくても筆跡が残っていますので、有力な証拠になります。
 印のあるなしで効力が生じたり生じなかったりということはありません。
 ただ、印があれば、その書面の証拠としての価値が高まります。印があればそれだけ信用がおける書面だということになります。やはりなるべくなら、印ももらっておいた方が良いと思います。

 さらに、一番強力な手段がありますので、紹介しておきましょう。
 それは、公証人役場へ行き、公正証書を作成してもらうことです。

Q: これは以前にも出てまいりましたね。
 (2011/4/25放送「子どもがいない夫婦の相続はどうなるの」
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1602

A: 若干の手間はかかりますが、公正証書を作っておけば、友人が返済しなかったときに、通常なら裁判所で裁判をおこして判決をもらい強制的に執行する手続きになるところ、裁判で判決をもらわなくても、この公正証書に基づいて、友人の財産、いわゆる不動産や給料などから差し押さえをして、強制的に貸した金を回収できるのです。

Q: 例えばこの方の場合ですと300万円です。公証役場に行って公正証書を作った場合、いくらくらい費用がかかりますか?

A: 300万円程度の金額であれば、2万円くらいまでの費用ですむと思います。

Q: ずいぶんと安心材料を頂きました。
 親しき仲にも…という言葉がありますが、お金を貸す・借りるというのは、大変なことだと思いますので、切り出しにくいという気持ちは捨てて、きちんと最初に「契約書を作りましょう」と、話すことが大切ですね。

A: その通りですね。
 お金を借りると言うことは、それだけ責任の重いこと相手に依頼するということです。契約書の話が出れば、借りる側の気持ちの引き締めにもなると思いますよ。お金のことで友情がくずれないようにするためにも、今後は、最初から契約書を作る話をするようにすべきですね。


■次回のテーマ
「愛犬が他人の飼い犬にかみついた」について
2011/7/11(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)


■ 「親切な相談」と「適切な解決」これが私達のモットーです。
 http://www.law-yamashita.com/


■バックナンバー
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 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/2177
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・「消費者金融からお金を取り戻せますか」 2011/6/13OA
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/2016
・「裁判をせずに早期解決したい」 2011/6/6OA
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1961
・「請求書発送と時効の中断」 2011/5/30OA
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1908
・「契約書の必要性」 2011/5/23OA
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1811
・「再建か倒産か」 2011/5/16OA
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 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1739
・「残業代の不払い」 2011/5/2OA
 http://mbp-hiroshima.com/law-yamashita/column/1717
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TEL:0120-7834-09

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