コラム

 公開日: 2011-06-28  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「スーパーの床が濡れていて滑って右腕を骨折した」

2011/6/27(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「スーパーの床が濡れていて滑って右腕を骨折した」について
ぬれたスーパーの床でけが

■スーパーの床が濡れていて滑って右腕を骨折した
相談者 63歳/女性

Q: 梅雨のシーズンならではの、相談です。
 先日、スーパーに買い物に行った際、床が濡れていて、滑って右腕を骨折してしまいました。
 急いでいたため、自分の不注意もあるとは思うのですが、スーパーを経営する会社に対し、このケガの責任を追及できないでしょうか?

A: 事情をもう少し詳しくお聞きしないとわかりませんが、スーパーを経営する会社に対して、この方の被った損害につき、賠償請求をすることが可能になる場合もあるかと思います。

 裁判例にも、コンビニの床がモップによる拭き掃除の後、からぶきをしていなかったことで、顧客が滑って転倒し、左上腕部挫滅創(ざめつそう)の障害を負った事案について、コンビニを経営する会社には、「急いで買い物をすることは当然の前提として、顧客の安全を図る義務があり、店舗の床が通常より濡れ、滑りやすい状態にあるときは、からぶきをすべき義務があり、そのままの状態に放置した」ことは「安全配慮義務・管理義務違反」に該当するとして、会社に対し、治療費や休業損害、慰謝料など含めて、115万円を被害者の顧客に支払うよう命じたものがあります。

Q: コンビニを経営されている方のほうに責任があるという判決が下ったわけですね。
 でも、115万円というのは多額ですね。

A: かなり怪我をされたのでしょうね。

Q: 「安全配慮義務・管理義務違反」ということはどういう意味ですか。

A: はい、わかりやすく言いますと、この場合には、店を経営し、それによって利益を得ようとするものは、お客さんが安全に買い物ができるように、配慮し、また、店舗の管理をキチンと行う必要がある、そういう法律上の義務がある、ということです。

Q: なるほど、そういうことですか。これは法律上決められた、絶対にやらないといけないことなのですね。
 では、この相談者の方も、損害賠償はしてもらえるかもしれませんね。

A: そういうことですね。

Q: その場合、損害の全額をみとめられるのでしょうか?

A: それは、この相談者が滑った原因が、本人にも責任があるか…本人の不注意もあるかどうかにより異なります。

Q: 相談内容には「自分の不注意もあるとは思う」とありますね。

A: 通常の急ぐ程度であれば、この相談者には責任はなく、全額の賠償が可能と考えます。
 しかし、通常とは違ってかなり急いでいただとか、他にもこの方に不注意がある場合、その場合には、損害の一部の賠償しかもらえないということになります。

Q: 例えばどんなことでしょうか?

A: 例えば先に挙げた裁判例でも、被害者が両手に商品を持ち、靴底が滑りやすい靴を履いていたことが問題とされ、これが損害の発生・拡大に寄与した、その原因になったとして、被害者にも半分の過失があり、被害者は、被った全体の損害の50%を損害として認める、ということになりました。
 このように被害者の側にも過失があってそれを減額する、これを「過失相殺」といいます。

Q: 「過失相殺」ですか。過失があって、相殺、ですか?

A: 相殺とは、アイコロス、相手の相、と、殺す、ソウサツと書いて、ソウサイと読みます。
 過失相殺の意味ですが・・・ある事故により被害(損害)を被った人がいるとします。被害者ですね。しかし、その事故の責任(原因)は、加害者だけではなく被害者にもある場合があります。すなわち被害者にも不注意があった、過失があったということです。被害者の損害のうち、被害者の過失が原因である割合については、加害者に責任を負わせないのが公平だということで、被害者の過失割合を、加害者の責任から差し引こう(ソウサイしよう)というものです。

Q: そうですね。雨が降る日に両手に荷物を抱えて、滑りやすそうな靴を履いている、ということは、本人にも悪いところがあったということですね。

A: たとえば、事故による損害額が100万円の場合に、被害者自身にも不注意の割合が20%あるとすると、加害者の責任部分は、過失相殺20%をして、その残りの80%になります。加害者が責任を負わないといけないのは、20%の過失相殺後の80万円、ということになります。

Q: なるほど。よく分かりました。

A: ところで、この先に挙げた裁判例ですが、最初からこの損害が認められたかというと、そうではないのです。

Q: どういうことでしょう?

A: 裁判というのは1審、2審とあります。
 実はこの裁判の1審では、転倒して傷を負ったのは、被害者自身の責任であり、店には責任はないとして、被害者の請求が棄却されています。
 それが、第2審、高等裁判所でひっくり返り、半分の損害が認められたわけです。
 ですので、こういう判決があったからと言って、簡単に損害賠償が認められるわけではありません。

Q: そうですか。
 事故すべてについて、損害賠償の請求ができる…というものではないのですね。
 やはり、転ばないように注意することが一番ですね。


■次回のテーマ
「契約書なしで貸した金は返してもらえるか」について
2011/7/4(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)


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