コラム

2011-05-31

弁護士・江さんの何でも法律相談「請求書発送と時効の中断」

2011/5/30(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「請求書発送と時効の中断」について
FMちゅーピー「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」

■請求書発送と時効の中断
相談者 年齢不詳

Q: 当社は衣類の製造販売をしているのですが、販売先の会社がなかなか代金を支払ってくれません。代金請求には時効というものがあることは知っているので、請求書を出し続けています。これで時効にはかからなくなると思いますが、それで大丈夫ですか。

A: 残念ながら、大丈夫ではありません。

Q: えっ。だめなんですか。

A: そうです。これは良くある勘違いです。請求書を出し続けていれば、時効にはかからないということはありません。
 いろんな請求権には、時効消滅期間というものがあります。その消滅時効期間内に請求しなければなりませんが、その請求をしたときから6ヶ月以内に裁判上の請求、すなわち、裁判を起こさないと、請求権は消滅時効にかかることになります。

Q: 請求をしたときから、6ヶ月以内に裁判上の請求、すなわち裁判をおこさないと、請求権は消滅時効にかかることになる…と。

A: そういうことですね。ときどき、飲み屋のママさんから、あのお客さんは飲み代を支払わないから、請求書を出し続けているということを聞きますが、請求書を出し続けているだけでは、時効は止まらないのです。裁判を起こさねば。
 ただ、このような飲み屋の請求のような場合は、金額も多くないですから、わざわざ裁判を起こすのは大変だと思います。このような場合は、本裁判を起こすのではなく、少額訴訟という簡便な手続きもあります。

Q: 少額訴訟ですか。

A: はい。これは、60万円以下の売掛金や貸付金について、1回の裁判で即日判決をもらえる制度です。普通の裁判は、最低でも半年くらいはかかります。この少額訴訟では、申し立てをしてから審理の期日が入るまでには1ヶ月くらいかかるかもしれませんが、この期日が入った1回の裁判で、即日判決がもらえます。
 そしてこの少額訴訟は、弁護士を付けないで自分でもできます。書式は簡単で、インターネットでも取得できますし、裁判所に行けば書式をもらえますので、ご利用いただければと思います。

Q: ところで、飲み屋さんの飲み代の時効は何年ですか。

A: 飲み屋さんは、1年なんです。

Q: 1年!短いですね。

A: いろいろな請求権の時効消滅の年数についてですが、基本は次のように覚えておいてください。

Q: え!時効年数というのは、いろいろ種類があるのですか?

A: そう、あるのです。原則は、「民事10年、商事5年」です。すなわち民事上の債権は10年が原則、例えばお金を個人同士で貸した場合、いつまでに返せという期限から10年ですね。そして商事・・・会社と会社の商売上のものは5年です。

Q: 個人だったら10年だけど、会社上のものだと5年。

A: そうです。あと、「飲み屋1年、商品2年、請負3年」。商品というのは、商品代金です。請負は請負工事ですね。

Q: 「飲み屋1年、商品2年、請負3年」、なんだかテンポがよいですね。

A: 1年のものを簡単にあげますと、家事使用人の給料、芸人のギャラ、運送賃、ホテル・旅館の宿泊費、飲食代などです。
 2年は、商品販売代金(注意:商事債権は一般的には5年ですが、これは2年です。商法522条)、学校・塾の授業料、弁護士の報酬債権等、労働者の給料などです。

Q: 私の場合(ナビゲーター)、芸人のギャラになるのでしょうか。そうなると1年なのですが、労働者の給料となるとこれが2年になるんですね。難しいですね。

A: これは明治時代に決められたものなのですよ。

 3年は、医師・産婆さんなどの職務上の債権、請負代金、不法行為(交通事故、医療過誤、慰謝料)による損害賠償請求権などがあります。
 5年というのが、家賃、地代、商事債権。
 そして10年というのが、民事上の一般の債権。そして、確定判決ですね、裁判で判決が確定すると10年です。

 ですから、請求書を出し続けているという相談者(製造販売)の例をあてはめてみますと、時系列で2年のうちに最後の請求書を出して、6ヶ月以内に裁判を起こします。裁判が進んでいる間は時効の進行はなく、時効はとまっています。そして判決が確定したときから、10年間は請求権は時効にかからないということになります。

Q: それから10年間。

A: はい。それだけ時効が延びるのです。

Q: 時効を中断させる方法は、裁判以外にもあるんですか。

A: 法律用語になりますが、差押・仮差押・仮処分という裁判上の手続きがあります。このほかに、「債務承認」という方法もあります。

Q: 債務の承認ですか。

A: はい。債務承認とは、請求される側が、確かにその債務はあるとそれを承認することです。債務承認があれば、そこで時効の進行は中断され、その時点から、さらに時効が進行することになります。

Q: 承認しなければ、時効は中断されないのですね。

A: そうですね。たとえば、100万円の商品代金債権が2年を経過しても支払ってもらえない場合、相手に2年経過したけど、「一部として1,000円だけでも払ってくれよ」と、1,000円を支払ってもらい、領収書に○○という商品代金100万円の一部として受け取った旨、そして日付も明記します。そして領収書のコピーを取っておきます。こうすれば、相手方は、期間が経過していても、100万円については債務を認めたということになりますから、その時点で時効は中断されて、そこから商品代金の請求権の時効が2年に延びます。

Q: 100万円借りたのだから、1,000円でも返しておこうじゃないかと思って、返したことで、時効が中断することになる。

A: そうですね。債権をちゃんと実現しようと思えば、相手に債務を承認してもらうことが一番です。
 このように時効は、時効消滅期間が経過すれば、当然に権利が消滅するのではなく、権利を行使された方が、すなわち請求された方が時効を主張しないと効力が発生しないのです。

Q: なるほど。「請求書を出してください」とか「もう1年たっていますよ」ということを言ったということが必要なのですか?

A: いいえ。言われたことに対して、言われた方が、「おれ、もう時効だよ」というふうに言わないと、時効の効力が発生しないのです。

Q: そうなんですか。

A: 時間が経過しただけでは効力は発生しません。時効を主張する、法律用語では「援用する」と言いますが、時効を援用しないと、時効の効力は発生しないのです。


■次回のテーマ
「裁判をせずに早期解決したい」について
2011/6/6(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)


■バックナンバー
・「契約書の必要性」 2011/5/23OA
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