コラム

 公開日: 2011-05-26  最終更新日: 2014-07-04

弁護士・江さんの何でも法律相談「契約書の必要性」

2011/5/23(月)15:30頃~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。
今回のテーマは、
「契約書に必要性」について
FMちゅーピー「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」

■契約書の必要性

Q: 今月は、企業法務をテーマに話をしていますが、仕事上、よく出てくる単語に「契約」という言葉があります。また、「契約書」というものもあります。キチンと契約書を作って契約が成立するというのは分かるのですが、企業間の取引において契約書を作成しなくても、契約が成立したと言えるのでしょうか。それで問題ないのでしょうか。

A: 「問題がない」とははっきり言えないです。すなわち、case-by-Caseということなのですね。
 詳しく言いますと、契約が成立するかどうかという問題と、契約書を作成するかどうかいう問題は、イコールではないのです。

Q: イコールじゃない?

A: そうなのです。契約の成立にとって、契約書を作ることは必要不可欠なものではありません。
ただ契約書を作らなかった場合には、後にいろいろと問題が生じることがあります。

もう少し詳しく説明しましょう。

 契約書がないと契約成立と言えないかというと、そうではなりません。すなわち、契約書がなくても契約は成立します。
 では契約の成立とはなんなのか?と言いますと、契約には必ず相対立する当事者がいます。

Q: こうしましょう、そうしました、と。

A: そうですね。当事者の間でお互いの「こうしよう」という意思表示が合致した…これが契約の成立になります。ですから、意思表示が合致したかどうかが、契約が成立したかどうかの問題になります。
 そして契約書というのは、意思表示の合致を証明するもっとも重要な証拠となります。
 ですから、契約の成立と契約書の作成は別のレベルの問題です。

Q: 具体的に教えてもらえますか?

A: では身近な例から説明しましょう。
 100円のパンを買ったとします。
 パン屋さんはこのパンを「100円で売ろう」と意思表示しました。お客さんはこのパンを「100円で買いますよ」と意思表示しました。
 するとこの両者の間に、100円のパンを「売る」と「買う」という意思表示が合致したので、これにより、100円のパンの売買契約は成立したことになります。

Q: なるほど。大変わかりやすいです。こういう場合は契約書は不要ですよね。

A: そうですね。ちなみに、この売買契約が成立したことにより、お互いどういう義務を負うかと言いますと、パン屋さんはそのパンをお客さんに引き渡す義務を負うと同時に、代金100円を受け取る権利を取得することになります。
 お客さんは逆に、そのパンをパン屋さんから受け取る権利を取得すると共に、代金100円を支払う義務を負うことになります。
 100円のパンの売買契約が成立したことによって、買主と売主がそれぞれ法律上の権利と義務を負うのですね。

Q: う~ん。おもしろいですね。100円のパンの売買にもそういうドラマがあるのですね。
 でも100円のパンの売買で、契約書を作る必要性が出てくることもあるのでしょうか?

A: それはないでしょうね。このように日常的に行われている金額の低いショッピングなどは、その場ですべてが済んでしまうので、わざわざ契約書を作成する必要はありません。

 しかしこれが、A社がB社に対し、もちろん個人でもよいのですが、500万円の工作機械を製作してもらう、という契約だとどうでしょう?

Q: 口約束だけだと金額があまりにも大きいので、ちょっと、不安ですね。

A: そうですよね。A社は、B社に工作機械の製作を頼んだものの、B社がちゃんと製作して引き渡してくれるかという不安を持つかもしれません。
 また、B社も、A社がちゃんと500万円の代金を支払ってくれるか不安になるかもしれません。

Q: 双方に不安が生まれますね。

A: そうです。例えばB社の方は、A社から後になって450万円だったと言われると50万円損をすることになります。
 このように、不安材料があるときには、後日争いが起らないようにするためにも、きちんとした契約書が必要となるわけです。

 すなわち、取引について契約書を作るか作らないかは、原則自由です。
ただし、例外的に、消費者保護や弱者保護などの社会的政策により、契約書作成が義務づけられているものがあります。契約書を作成しないと、契約が成立したとは言えないわけです。例えば、割賦販売契約(分割払い)や建築工事請負契約(家を造ってもらうなど)です。

Q: なるほど。よくわかりました。
 いくら知っている人同士の間でも、契約書というものはあった方がよさそうですね。
 原則、法的に決まりはないということですが、実際に「契約書」は存在します。契約書が必要な理由を簡単にまとめていただけますか?

A: 「契約書」を作るのには、3つの理由があります。
 第一には、「契約内容を明確にする」ということです。
 口約束では、何を約束したのかわからないということが後から出てくる場合があります。お互い人間同士で、価値観も違いますし、認識も…ひとつの言葉の意味に対してもいろんな解釈があります。

Q: 私も最近はずいぶんいろんなことを忘れるようになりました。

A: 内容が不明確であったり忘れたり…、ということがあるわけですから、契約書を作れば、どのような内容で契約したのか、合意したのかを明確にできます。

 第二番目は、「後々の証拠となる」ということです。
 契約に基づいてお互いが行為をしたのに、後々になって代金の支払いなどをめぐって争いになり、裁判になることもあります。

Q: なるほど。その時にはよくても、何年か後には状況が変わっているかも知れませんね。

A: そうですね。裁判になった場合には、お互いに自分が正しいということを何で証明するかという証拠になります。
 証拠には、人証と書証があります。人証とは人の証、書証は書類の証拠です。
 人証には証人尋問がありますが、人の記憶は曖昧であり、間違いの多いものです。自分自身におきかえても3日前の食事はなんだったかな…とそれもなかなか思い出せません。

Q: 3日前どころか、今朝のものも忘れている場合があります。

A: それに比べて書証は、非常に正確で、圧倒的に信用力があります。ですから、証拠になった時に強いのは、契約書です。

 そして最後に「紛争抑止力」の役割を果たすことです。
 後に争いになっても、その契約書に明確に内容が書かれていて、それと異なった主張をしても結局は負けることになるので、無用な争いはおこさないでいようということになります。

 こういったことがありますので、日常的なことは良いのですが、やはり会社同士、あるいは大きな金額で、お互いが義務を履行するという時には、親しい仲でもキチンと契約書を作って、後から争いがないようにすることが一番良いのではないでしょうか。


■次回のテーマ
「請求書発送と時効の中断」について
2011/5/30(月)15:30頃~ FMちゅーピー(76.6MHz)


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