コラム

 公開日: 2017-10-24 

広島の弁護士・江さんの何でも法律相談「社長に辞めてほしいといわれた」

2017/10/23(月)13:30~FMちゅーピー(76.6MHz)
「なやみよまるく~江さんの何でも法律相談」での、
OA内容をお届けします。(※内容を要約しております)
今回のテーマは、
「社長に辞めてほしいといわれた」


解雇 相談 広島 弁護士

社長に辞めてほしいといわれた

Q: 今月は、「企業法務・労働」をテーマに、番組に寄せられました手紙やメールによるご相談に、法律の専門家であるお立場からお答えをいただきます。
 江さん、今日も、よろしくお願いします。

A: はい、よろしくお願いします。

Q: 今日は39歳の女性からのご相談です。

 「私は短大を出て、現在の会社に入り、もうすぐ20年になります。
 会社の中では中堅であり、業務チームのリーダーをしています。
 上司や部下と隔たりなく付き合えていると思っていますし、仕事についても、それなりに評価をしてもらっています。
 しかし、先日、社長に呼ばれ、「会社を辞めて欲しい」と言われました。
 ここ数年、会社をスリム化していたのはなんとなくわかっていました。
 社員が辞めても補充をすることなく、少しずつアウトソーシングを始めていたからです。
 社長は業績が上がらないことを理由にしていましたが、先輩から聞いた話では、私が子どもの都合に合わせ、定時で帰ること、有休を取ったり早退をすることを良く思っていない社員からのクレームが引き金になっているのでは?ということでした。
 私には子どもが4人おり、保育園の迎えはもちろん、小学校・中学校の行事を合わせると、確かに残業はできないし、有休も使うことが多いとは思います。
 しかしその分、仕事を家に持ち帰ったり、昼休みを返上して業務に充てたりと、仕事に穴を開けないように頑張ってきました。
 子どもにもお金がかかってくるこれから、今、会社を辞めて、すぐ就職できるとも思えません。
 とはいえ、このまま会社に残っても、異動を含め嫌がらせをされるのではないか…と不安でなりません。
 結果、辞めることになった。ということになるくらいなら、今、辞めてしまった方がいいのでしょうか?
 もう、どうしていいかわかりません。」

という、かなり深刻な内容です。
 江さん、どう思われますか?

A: う~ん、これはちょっと、ひどい話ですね。
 まず、相談者が明確な理由を聞かされていないという点からして、問題ありですね。

Q: これは「解雇」といわれるものですか?

A: 「解雇」というのは使用者の一方的な意思表示による労働契約の解約を言います。
 ここには正当な理由をもって行われることが前提となります。
 しかし、今回の場合は、「解雇」とは断言し難い歯切れの悪さが感じられますね。

Q: 会社側から退職を言い渡すのに「解雇」以外、何があるのでしょう?

A: 会社側が労働者に「会社を辞めてもらえませんか?」と申し入れる場合は、退職勧告、退職勧奨とも言います。
 退職を誘引する退職勧告ということです。
 あくまでも誘引するだけですから、強制力はありません。辞めるか、残るかは労働者の自由な意思に任せられます。

Q: 「解雇」ではなく、「退職勧告」だったとしたら、辞めなくてもいいのですね。

A: そういうことです。
 NOといえば、辞めさせられる力はありませんので、必ずしも従うことはありません。

Q: ただ、相談者も心配されていたように、会社側は辞めさせたいと思っているわけですから、今後、部署を異動させたり、何かしら嫌がらせをして、退職に追い込もうとする可能性は、ないでしょうか?

A: 無い!と言いたいですが、こればかりはわかりません。
 本来あってはならないことですが、会社側は辞めて欲しいと思っているわけですからね。
 あからさまな強要はせずに、正当性に欠ける人事異動や降格などによる嫌がらせがないとは言い切れません。

Q: そうですよね。
 ではやはり、辞めた方が賢い選択なのでしょうか?

A: 難しいところですね。
 「退職勧告」で気を付けなければならないのが、これに応じて会社を辞めた場合、「解雇」ではなく「退職」ということになります。

Q: 自ら会社を辞めたということになるのですか?

A: そういうことです。
 しかし、「退職勧告」に応じた退職であっても、そこに強迫や強要が伴った場合、「退職」を無効にすることもできます。
 また、会社側が必要以上に退職を勧めてくる場合を、「退職強要」と言いますが、これに対しては損害賠償を請求できる場合もあります。

Q: なるほど…。
 ちなみに、会社が「退職勧告」を行う場合、どんな理由が多いのでしょう?

A: やはり最も多いのは、経営悪化による人員整理でしょうね。
 この場合は経営が悪化している理由がありますから、この勧告に応じて退職すると、「自己都合退職」よりも優遇される「会社都合退職」となり、退職金の割り増し支給が受けられる場合もあります。

Q: 同じ退職でも「会社都合退職」であれば、優遇されるわけですね。

A: はい。
 「退職勧告」によって会社を辞めた場合、雇用保険では「特定受給資格者」と認定されます。
 原則、失業手当の給付は3ヶ月ですが、この給付期間が長くなる場合もあります。

Q: 今回のご相談者が言われたものも、「会社都合退職」となるのではないでしょうか?

A: ここがなかなか難しいのですが、例えば、個人的に勧告されたものに応じて退職願いを出した場合は、「自己都合退職扱い」になる場合があります。
 ですから、願いを出す前に、きちんと退職の理由を会社に確認しておく必要があります。

Q: う~ん、会社側の思いと、自分の思いがズレていると、納得できない結果となりそうですね。
 ここで一回まとめておきましょう。
 まず、会社から辞めて欲しいといわれた場合…

A: まずは「退職勧告」の理由と条件を確認しましょう。
 理由が納得できるものか、給与・退職金の支払い条件、退職期日、再就職支援の有る無し、退職は会社都合かそうでないか。

Q: 退職勧告に応じる場合は…

A: 退職手続きに入ります。
 会社都合退職の場合は、自己都合退職に比べて、失業手当を早く、長くもらえるメリットがあります。
 ただし、会社都合退職の場合、倒産が理由の場合は問題ないのですが、その他の場合に、再就職の際に、個人の業績不振や人間関係のトラブルがあったのではと疑問を持たれる可能性があります。
 再就職の際の対策が必要です。

Q: 逆に、「退職勧告」に応じない場合は、どうでしょう?

A: 事を継続することになります。
 ここで何もなければいいのですが、不当な人事異動や退職強要があった場合には、労働組合や労働基準監督署、または弁護士にご相談ください。

Q: 今回のご相談は、会社を辞めなければならない理由が明確になっていないところから、疑問点がたくさんあります。
 ご自分からは言い出しにくいかもしれませんが、将来を左右する大切な時期であることは間違いありません。
 きちんと会社に対して納得のいく話し合いをして、辞めるか否か…結論を出していただきたいと思います。
 そして、わからないこと、不安なことがあったら、一人で悩まず、弁護士に相談するのも、選択のひとつです。
 さて、山下江法律事務所の相談料ですが、事業者の場合は30分5000円+消費税とのことです。
 他方で、個人の相談は無料で対応をされています。
 お困りごとやお悩みのある方は、一度、相談に出向いてみてはいかがでしょうか?
 ここで山下江法律事務所の相談予約のフリーダイヤルをお伝えしておきましょう。
 山下江法律事務所フリーダイヤルは0120-7834-09 0120-7834-09 
 この番組名と同じ「なやみよまるく」と覚えてください。
 また、今日の番組の内容は、まちの専門家をさがせるウェブサイト「マイベストプロ」でもご覧いただけます。
 今日は、「社長からやめてほしいと言われた」というご相談に答えていただきました。
 江さん、今日はありがとうございました。


■次回のテーマ 
「残業代請求、会社が気をつけるべきこと」について
2017/10/30 13:30~13:40 FMちゅーピー(76.6MHz)

■山下江法律事務所HP「経営者のみなさまへ」

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