コラム

 公開日: 2016-09-02 

弁護士コラムvol.132 「遺言と遺留分」 松浦 亮介

遺言と遺留分

山下江法律事務所 弁護士 松浦亮介
 このコラムのvol.117「遺言書を作る理由」で、相続において遺言が大きな影響力を持つことを述べました。遺言は被相続人の自己決定の実現と相続人間の紛争予防に有効です。

 実際に遺言を書くときには、「遺留分(いりゅうぶん)」への注意が必要になります。

 遺留分というのは、法が一定の相続人に保障している被相続人の財産に対する割合的な権利です。例えば、被相続人Xが「長男Aに全財産を相続させる」という遺言を残していた場合、遺留分制度がなければ、配偶者Pや二男BはXの財産を相続できません。Xの自己決定や紛争予防を優先するなら、これも一つの有り様でしょう。しかし、法は、PやBが望めば、Xの財産の一定割合を取得できるように保障しました。これが遺留分です。
遺留分は相続人のうち、配偶者、直系卑属(子、孫など)、直系尊属(父母、祖父母など)のみに認められており、兄弟姉妹には認められていません。

 遺留分は財産における一定割合ですが、「総体的遺留分」(相続人全員に合計として認められるもの)と「個別的遺留分」(相続人に個別に認められるもの)があり、多くの場合「遺留分」といえば個別的遺留分を指しています。総体的遺留分は、直系尊属のみが相続人の場合は財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1。個別的遺留分は、兄弟姉妹と配偶者が相続人の場合は配偶者のみに2分の1、それ以外の場合は「総体的遺留分×法定相続分の割合」、となります。

 先の例では、PやBが、Xから生前贈与等も含めて個別的遺留分に相当するだけの財産をもらえていない場合(この状態を遺留分が侵害されているといいます)、Xの死後、遺言内容を知った時から1年以内に、Aに対して遺留分についての権利行使(遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう))をして、遺留分を確保することができます。

 PやBが遺留分減殺請求をするかどうかは自由です。遺留分を侵害する遺言も有効ですので、遺留分減殺請求がなされなければ、そのまま有効な遺言として確定することになります。

 しかし、ひとたび遺留分減殺請求がなされると、遺言の一部が効力を失い、遺留分減殺請求をする側(P、B)、される側(A)とで紛争に発展するおそれが大きく、遺言を作成した意義も減じられます。この意味で、遺言と遺留分は切り離せませんので、遺言作成時には十分に注意を払うべきでしょう。

 以上、遺留分について簡単に述べました。この他にも、遺言には気を配るべき事柄がいろいろとありますので、遺言を作成したいときは一度当事務所へご相談ください。


 執筆者:山下江法律事務所 弁護士 松浦 亮介 (広島弁護士会所属)

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